マーケティング基本概念の用語である「マーケットイン」についてご存じでしょうか?企業の強みを最大限に活かして商品を開発するのがプロダクトアウト、市場調査をすることでユーザーのニーズ基準としているのがマーケットインです。プロダクトアウトはニーズをわかっていないユーザーの潜在ニーズ、マーケットインはユーザーがニーズを把握している顕在ニーズが対象となります。マーケットインは安定した売り上げが期待でき、プロダクトアウトは企業の技術やノウハウを活かすため他社との差別化をしやすく大ヒット商品になる可能性があります。これらのことからそれぞれのマーケティングにおける考え方は特徴やメリット、ターゲットとなる対象が異なるため状況に応じて必要な考え方を選んだり、両方を導入したりする必要があることを考慮するべきです。この記事では、顧客の視点でマーケティングをするマーケットインのメリット・デメリットを含めたポイントをご紹介します。また、「プロダクトイン」との違いについても解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。マーケットインとプロダクトアウトの違いは?マーケティングの基本概念に「マーケットイン」と「プロダクトアウト」という考え方があります。どちらも製品の開発、販売する上で重要な考え方です。言葉の意味から、対義語としてなんとなく理解しているつもりになりがちな2つのマーケティング用語ですが、まずはその違いを説明します。マーケットインマーケットインとは、「顧客の意見やニーズを汲みとり、それに基づいて商品開発や販売戦略を行う」という考えのことです。言い換えれば、「顧客志向」の考え方です。顧客が求めているものを作ることで、「売れるものを作る」ことになります。また、顧客の視点に立つ際に押さえておきたい戦略ポイントとして、ロバート・ローターボーンが提唱した「4C」分析があります。4Cとは、「Customer Value=顧客価値」「Cost=顧客にとっての経費」「Convenience=顧客の利便性」「Communication=コミュニケーション」を指し示し、これら4つの英語の頭文字Cをとって、「4C」といいます。プロダクトアウトプロダクトアウトとは、「良いものであれば売れるという発想から、企業の方針や得意とする技術や強みから商品開発を行い、販売する」という考えのことです。「企業が作りたいものを作り売る」ことで、他社との差別化を図ったり、企業のブランドイメージを強化することにもつながります。また、顧客視点の4Cと反対に企業側からの視点として、ジェローム・マッカーシーが提唱した「4P」分析があります。4Pとは、「Product=製品」「Price=価格」「Place=流通」「Promotion=販売促進」を指し示し、これら4つの英語の頭文字Pをとって、「4P」といいます。マーケットインについて押さえておきたいポイント7つ顧客ニーズを重視し商品開発をするマーケットインの考え方は、急速に広まっています。しかし、メリットばかりではありません。メリットだけでなくデメリットも理解した上で、活用していきましょう。ここではマーケットインについて、押さえておきたいポイントを7つ紹介します。押さえておきたいポイント1:売上が予測しやすいマーケットインでは市場調査を重点的に行います。顧客のニーズを反映して企画・製造・販売をするため、売り上げの予測がしやすい利点があります。また、市場調査の結果によって、ターゲット層や販売する量などを的確に決められ、より効率の良い販売戦略が立てることに役立ちます。押さえておきたいポイント2:他社が似た製品を開発する可能性がある世の中のニーズをもとに商品開発をするということは、需要があるほど多くの類似品が出回る可能性があります。独自の技術などが必要ない製品の場合、すぐに他社でも同じような製品が開発され、自社製品と競合となり価格競争に発展してしまうかもしれません。そのため、開発後もさらなる調査や研究開発、改良を行い他社に負けない製品作りをする必要があります。押さえておきたいポイント3:対象のターゲットを定める市場調査をすることでターゲットを決めることができます。ターゲットを決めることで商品開発がしやすくなり、そのニーズを反映した製品は一定の需要を確保することができ、失敗リスクを抑えた開発・販売ができるのです。押さえておきたいポイント4:会社の期待度や信頼度が上がるマーケットインでは顧客が求めるものを把握して提供するため、顧客から企業への期待度や信頼度が上がり、結果リピーターになることにつながります。また、ターゲットの満足度が上がれば、口コミなどで製品の良さが広まり、新規顧客獲得にもつながるでしょう。押さえておきたいポイント5:爆発的に売れるとは限らない顧客ニーズに合った製品を作るということは、ある程度の需要はあっても、爆発的に売れるとは限りません。それは、既存の製品をもとに開発されることが多く、斬新で革新的な製品として世の中にブームを起こすことは難しいからです。しかしながら、爆発的に売れなくても、顧客ニーズが長く持続して売れる可能性がある製品やサービスを開発することも大切です。押さえておきたいポイント6:企業イメージとズレが生じることがあるマーケットインでは、場合により、これまでの企業イメージや製品イメージとズレが生じてしまうことがあります。企業の考えや個性よりも顧客のニーズに重点をおいているため、新規顧客を獲得することができても、既存の顧客が離れていってしまう可能性があります。そのため、常に自社の強みや技術力とも合わせながら商品開発をすることが大切です。押さえておきたいポイント7:求められているものを提供できるマーケットインでは、あらかじめ顧客ニーズを調査して製品開発しているため、顧客が求めているものを提供することができます。これは、大きなメリットであり、顧客獲得や企業のイメージアップにつながります。マーケットインを活用した例今や身近なものとなった製品には、マーケットインの発想から生まれたものが多くあります。その中には、世の中でヒットした製品の特長を把握した上で、さらなる顧客ニーズを満たして成功した例や、ターゲットを絞って開発したことでヒットした例などがあります。ここでは具体的にマーケットインを活用した事例を紹介します。缶コーヒーの開発アサヒ飲料の朝専用コーヒーは、マーケットインを活用した成功例です。アサヒ飲料は市場調査において、多くのビジネスマンが朝型生活を希望しており、朝の必需品として「ネット」「メール」「缶コーヒー」をあげるという結果がでました。その結果から、「朝に気軽に飲める缶コーヒーがほしい」というビジネスマンのニーズを導き出し、朝専用をコンセプトにした缶コーヒーを開発、朝の時間帯に大々的にサンプリングを行うなど適切なマーケティングを行った結果、大ヒット商品となりました。また、「朝専用」とネーミングした点も、消費者の商品選択に大きくアピールすることにつながり、ヒットの秘訣でしょう。このようにターゲットを絞ったマーケティングのやり方をすることで、他社と差別化した商品開発ができたのです。スマートフォンの開発マーケットインの発想で生まれたものにスマートフォンがあります。iPhoneが発売されて以降、日本の企業も次々とスーマトフォンの開発に乗り出し、iPhoneのヒットにより、その直感的なタッチスクリーンでの操作性やデザイン性など、それまでにない新しい携帯電話の形が、多くの人が求めるものであることが示されました。そこで、日本の企業も、iPhoneのような特徴を基本に持ち、さらに顧客ニーズに合った機能や特徴を併せ持った、様々なスマートフォンを開発するようになりました。プロダクトアウトの発想といわれるiPhoneをもとに、顧客ニーズを優先し、類似したスマートフォンを開発・提供することはマーケットインの考え方といえます。USJの来場者数増加商品開発の分野だけでなく、テーマパークのマーケティングにもマーケットインは活用されています。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)は、2001年にハリウッド映画のテーマパークとしてオープンし、オープン当年度は1,000万人以上の来場者数を記録しましたが、数年後には落ち込んでしまいました。そこで、「消費者視点」というマーケットインの考えを導入し、それまで映画のテーマパークということにこだわって作っていたものを、アニメやゲームなどのコンテンツも積極的に取り入れるなど、消費者が求めるエンターテイメント全般のテーマパークへ切り替えたのです。これにより、映画ファン以外の顧客を取り込むことに成功し、来場者数は大幅に増加しました。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンは、消費者視点のマーケティングをすることで、「作ったものを売る会社」から「売れるものを作る会社」に変わり、成功しています。マーケットインとプロダクトアウトの両者を活用することが大切ここまで、マーケットインのメリット・デメリットをポイントとしてあげました。マーケットインでは顧客ニーズに合わせた商品開発をするので、プロダクトアウトのような画期的なものが生まれにくいデメリットがあります。そして、その考えにより、他の企業に製品やサービスを真似されることにより、類似商品が増え、価格競争が起き、会社の利益も下がってしまいます。つまり、マーケットインの考え方だけでは、大きな利益は得にくいのです。マーケティング戦略では、「マーケットイン」と「プロダクトアウト」どちらか一方の考え方だけではなく、両者を上手く融合させてマーケティングをすることが大切です。マーケットインを理解し活用しよう「マーケットイン」「プロダクトイン」について理解いただけたでしょうか?顧客ニーズに自社の強みやテクノロジーを融合させることで、まだ見ぬ市場価値の高い製品やサービスを作ることができるのではないでしょうか。弊社Start-Xは総合的なマーケティング支援を得意としております。他のマーケティング支援会社と比較すると、コストパフォーマンス高く支援可能なメニューが多くございますので、何かお困りごとがございましたらお気軽にお問合せください。ご相談はいつでもオンラインで無料でご対応可能です。