コロナ禍によるオンライン集客の需要の高まりから「BtoBコンテンツマーケティング」に更なる注目が集まっています。自社でもBtoBコンテンツマーケティングに本格的に取り組みたいという企業も増えていますが、その一方で「既に施策を始めているが効果が出ない」「運用の仕方が分からず施策がストップしている」といった声も多く聞かれます。BtoBコンテンツマーケティングは始めれば必ず成果が出るといった"マーケティングの飛び道具"ではなく、メリットやデメリット面をしっかりと理解した上で、正しい手順を踏んで始める必要があります。本記事では、これからBtoBコンテンツマーケティングに取り組む企業の担当者に向けて、基礎知識からメリット・デメリット、施策を開始するまでの手順などについて解説します。そもそもコンテンツマーケティングとは?BtoBのコンテンツマーケティングを理解していく前に、そもそもコンテンツマーケティングとは何なのかをしっかりと頭に入れておく必要があります。コンテンツマーケティングとは、ユーザーが抱えている「課題」や「悩み」を、企業がユーザーにとって有益なコンテンツを提供することで解決する手段のことです。例えば、とある企業がオンラインでの集客方法に悩んでいるとします。この悩みに対して、Web広告で効果的にユーザーを集める方法・オウンドメディアの運用方法などオンラインでの集客手法を、テキストや動画といったコンテンツとして提供することによって、解決へと導きます。コンテンツマーケティングと言うと、ブログやコラムといったものを思い浮かべる方も多いかと思いますが、コンテンツの形式は多岐に及びます。記事コンテンツ(ブログ / コラムなど)LP(ランディングページ)ホワイトペーパー動画メールマガジンSNSプレスリリースあくまでも「求めている成果を獲得すること」がコンテンツマーケティングの大前提上記でコンテンツマーケティングとは、ユーザーが抱えている「課題」や「悩み」を、企業がユーザーにとって有益なコンテンツを提供することで解決する手段のことと述べました。ここでコンテンツマーケティングの基礎情報としてもう一つ頭に入れておかなければいけないのが、コンテンツマーケティングはあくまでも企業が求めている成果を獲得するために行うものであるということです。当たり前の話ですが、コンテンツマーケティングは企業が行うマーケティング手法の一つです。マーケティング活動である以上、コストはかかりますし、かかった費用以上の売上があがらなければマーケティングとして失敗と言わざるを得ません。そのため、ただユーザーに有益な情報を提供するだけでなく、コンテンツを通して自社や自社の商材に興味や関心を持ってもらい、最終的に顧客化することがコンテンツマーケティングの主たる目的です。ここであえて主たる目的としたのは、コンテンツマーケティングを展開する目的は企業によって若干の違いがあるためです。例えば、新規顧客を開拓するためではなく、既存顧客により長く自社の商材を使ってもらうため、もしくはよりグレードの高い商材やプランに切り替えてもらうためにコンテンツマーケティングを行うケースもあります。また直接的にユーザーを顧客化するのではなく、企業のブランディングや新たな人材獲得のためにコンテンツマーケティングを展開する企業もあります。このように目的は異なれど、企業が求めているさまざまな成果を得るための手段の一つがコンテンツマーケティングと言えるでしょう。プロが立てるコンテンツマーケティングの戦略を詳しく見るBtoBコンテンツマーケティングを実践するメリットコンテンツマーケティングは数あるWebマーケティング手法の中でも、費用対効果の高い手法の一つと言われています。例えば、Web広告で継続的に集客を行うためには、常に広告を配信し続けなければいけません。そのため、毎月の広告費用が必ずかかってきます。その一方で、自社でメディアを立ち上げて記事コンテンツを配信すれば、広告費用は必要としません。かかるのはメディアの維持費やコンテンツの作成やメンテナンスの費用だけになるため費用対効果を高めやすくなります。ただし、勘違いしてほしくないのは、あくまでも「やり方次第」で費用対効果が高まるということです。自社のメディアに記事コンテンツを配信しても、メディアへの流入手段が確立されていなければ、ただコンテンツを配信するだけで「誰も見てくれない」「コンテンツ制作の費用がかさむだけ」といった状態に陥ってしまいます。コンテンツマーケティングは低予算といった情報が一人歩きし、自社でも始めてみたいと考える企業も多いですが、コンテンツマーケティングはあくまでも正しいステップを踏み、求めている成果を得るための設計や、適切な運用がなされて初めて費用対効果が高まります。「低予算」「費用対効果を高めやすい」といった言葉だけを鵜呑みにせず、本記事の後半でも解説している正しい実践手順や成功のポイントを忘れないようにしましょう。BtoBコンテンツマーケティングを実践するデメリットBtoBコンテンツマーケティングに取り組む前には、必ずコンテンツマーケティングの悪い側面についても理解しておく必要があります。BtoBコンテンツマーケティングの最大のデメリットは、効果が出るまでに時間がかかる傾向があることです。後ほど詳しく解説しますが、BtoBコンテンツマーケティングで十分な成果を出すためには、多くのケースで少なくとも3ヶ月〜1年くらいの期間をかけてコンテンツを制作〜配信し、PDCAサイクルを回しながら徐々に成果を出していく必要があります。Web広告であれば、配信の仕方次第では今日から一定の集客を行うことが可能ですが、BtoBコンテンツマーケティングはそうはいきません。特にGoogleなどの検索エンジンからメディアへの流入を見込む「コンテンツSEO」では、Googleがサイトやコンテンツを認識し、検索結果の上位に表示するためには、一定の期間を必要とします。このように時間がかかる傾向があるという側面を知らずにBtoBコンテンツマーケティングを始めてしまうと、「あまり成果が出ない」といった理由ですぐに施策をストップしてしまうことも少なくありません。BtoBコンテンツマーケティングを始める際には事前に経営層やチーム内で中長期的な施策であることを共有することが大切です。BtoBコンテンツマーケティングでも短期で成果を出せないことはない一見すると矛盾するようですがBtoBマーケティングだからといって必ずしも成果を出すために多くの時間を必要とする訳ではありません。例えば、BtoBコンテンツマーケティング施策の目的が「既存顧客のナーチャリング(顧客にするための育成)」なのであれば、既に保有しているリードに対してメルマガを配信するといった手法があります。コンテンツSEOなどとは違い素早くかつダイレクトに顧客に届くので、BtoBコンテンツマーケティングの施策の中でも比較的短期間で成果が出やすくなります。また、既に世間や業界で認知度の高い企業や商材であれば、SNSやインフルエンサーなどをうまく活用することで、短い期間で一定の成果を見込むことができるでしょう。BtoBコンテンツマーケティングは時間がかかる傾向が強いが、やり方次第では成果が出るまでの期間を短くできることも頭に入れておきましょう。【5ステップ】BtoBコンテンツマーケティングを実践する手順ここからは、今からBtoBコンテンツマーケティングを実践したいという企業に向けて、具体的に施策を実行するまでのステップについて解説します。現状で抱えているマーケティング課題を明確にするBtoBコンテンツマーケティングの目的を決めるコンテンツのペルソナとカスタマージャーニーを作成する成果指標(KPI)を設定する成果の計測環境を整えるSTEP1:現状で抱えているマーケティング課題を明確にするまずは最初のステップとして、自社で抱えているマーケティング課題を明確にしましょう。例えば、「商材のリード数が足りていない」「リードは十分にあるが、顧客にするためのナーチャリング(育成)がうまくいっていない」といった課題が挙げられます。ここで重要なのが、BtoBコンテンツマーケティング施策ありきで課題を考えないことです。ケースによって異なるので一概には言えませんが、高単価商材や特定の業界だけで使用されるニッチ商材などはコンテンツマーケティング施策が有効と言えないケースもあります。自社の業界や市場環境なども加味しながら、課題に対する最適なマーケティング施策を決めましょう。STEP2:BtoBコンテンツマーケティングの目的を決める課題を明確にしたら、BtoBコンテンツマーケティングを実施する目的を決めましょう。企業がコンテンツマーケティングを実施する「よくある目的」として以下のようなものが挙げられます。商材のリード獲得数を最大化する商材の顧客数を最大化する商材やブランドの認知度をあげる商材やブランドイメージを変えるLTV(顧客生涯価値)を最大化する売上を最大化する優秀な人材を獲得する(※採用でコンテンツマーケティングを実施する場合)STEP3:コンテンツのペルソナとカスタマージャーニーを作成するSTEP3として、コンテンツを誰に見てもらうのかといった「ペルソナ」と、想定しているペルソナにコンテンツを提供していった結果、どのようにペルソナの考えや意思・行動が変化していくのかをまとめた「カスタマージャーニーマップ」を作成しましょう。ペルソナカスタマージャーニーマップ商材を利用する典型的なユーザー像が「ペルソナ」ペルソナを作成することで、ユーザーに対してどのようなコンテンツを制作し発信していくのが最適なのかを理解する手助けになります。より具体的にイメージするためにも、細かく属性を分けてペルソナを作成することをおすすめします。【人材サービスを提供するA社のペルソナ例】名前山田太郎年齢48歳性別男性家族構成妻(41歳)子供(8歳・3歳)居住地都内仕事製造メーカーの人事部長状況慢性的な人手不足に悩まされており、広告媒体にも出稿しているものの、思っている人材を獲得できていない。クウォーターごとに採用目標があり、達成しているが「各部署から欲しい人材とは違った」「より優秀な人材が欲しい」といった要望を受けているSTEP4:成果指標(KPI)を設定する続いて、BtoBコンテンツマーケティングの成果指標(KPI)を設定します。コンテンツマーケティングにおいてよくある間違いが、「制作したコンテンツが多くのユーザーに見られているから施策が成功している」といったようにトラフィック基準で施策の成否を判断してしまうことです。あくまでもBtoBコンテンツマーケティングは、抱えている課題の解決や目的の遂行のために実施するものです。トラフィックが多くても、お問合せや認知度向上に繋がらなければ、意味がありません。そのため、どの数値を達成したら施策がうまくいっているのかを判断するための成果指標が必要となってくるのです。例えば、商材の資料請求やお問合せといった「リードを増やしたい」と考えているのであれば、コンテンツ経由の月間のリード獲得数がKPIとなります。また認知度の向上であれば、ブランド名や企業名の指名検索数やトラフィック、SNSのフォロワー数といったものがKPIになります。STEP5:成果の計測環境を整える最後にKPIを達成できているかを判断するために、計測環境を整えます。お問合せや資料請求数などは、Googleアナリティクスなどの解析ツールでコンバージョン設定を行う必要があります。BtoBコンテンツマーケティングの成功事例BtoBコンテンツマーケティングの代表的な事例について、施策開始前の課題や背景・実施した施策の特徴などを交えて解説します。サイボウズ式(グループウェア開発事業)パーソルホールディングス(人材派遣・紹介事業)コンテンツマーケティングの成功事例について詳しく知りたい方は別記事「【2023年最新】コンテンツマーケティング の成功事例10選|成功の共通点を徹底分析」で解説していますので、併せて参考にしてください。サイボウズ式(グループウェア開発事業)出典:サイボウズ式 | 新しい価値を生み出すチームのメディアメディア名サイボウズ式運営会社株式会社サイボウズ施策の目的認知向上とブランディング課題新規顧客開拓の頭打ちサイボウズ式は、2012年に「新しい価値を生み出すチームのためのコラボレーションとITの情報サイト」として株式会社サイボウズが立ち上げたオウンドメディアです。サイボウズは2011年まで新聞広告や雑誌広告・メルマガなどでマーケティングを展開していましたが、新規顧客開拓が頭打ちになっているという課題を抱えていました。そこでBtoBコンテンツマーケティング施策としてオウンドメディアを立ち上げを決定しました。サイボウズは、クラウドベースのグループウェアや業務改善サービスを提供する会社ですが、メディアであるサイボウズ式には、自社の製品についてほとんど触れていないのが特徴です。売上の向上を目的としながらも、直接的に製品を売り込むのではなく、顧客となる企業のチームワークや業務・働き方に関する有益な情報をコンテンツで提供することによって、「サイボウズ」という企業名の認知度の向上や、ブランディングを行なっています。パーソルホールディングス(人材派遣・紹介事業)出展:PERSOL(パーソル)グループ - はたらいて、笑おう。メディア名パーソルホールディングス運営会社株式会社パーソルホールディングス施策の目的有効リードの獲得課題コロナ禍によるアウトバウンドマーケティングへの先行き不安企業への人材派遣や紹介を行うパーソルホールディングスでは、Web広告やイベント出展からのリード獲得を中心にマーケティングを展開していましたが、2020年頃のコロナ禍以降にデジタルプロモーション強化の一環としてオウンドメディアの本格的な運用を開始しました。以前からオウンドメディア自体は運用されており、コンテンツ自体は大量にあったものの、流入したユーザーがお問合せや商談につながらないといった課題を抱えていました。そこで、オウンドメディアのリニューアルを実施し、コンテンツSEOを軸に「成果につながるコンテンツの制作」を強化しました。結果的にリニューアル実施からわずか1年でサイトへの流入数は約3倍となり、月200件以上を獲得するメディアへと成長を遂げました。戦略的にBtoBコンテンツマーケティングの設計〜施策を実行、運用を成功させている好例と言えるでしょう。プロが教える!コンテンツマーケティングに本当に強い会社を詳しく見るBtoBコンテンツマーケティングを成功に導くポイント以下ではBtoBコンテンツマーケティングを成功に導くポイントを2つ紹介します。コンテンツは作って終わりではなく、数値をもとに改善をし続ける初期設計をないがしろにしないそれぞれ見ていきましょう。コンテンツは作って終わりではなく、数値をもとに改善をし続けるコンテンツマーケティングの基本は「ユーザーに対して有益なコンテンツを提供すること」に他なりません。どれだけマーケティングとして良い設計をしたとしても、コンテンツのクオリティが低ければ成功に至ることはありません。コンテンツ制作をいざ始めてみると分かると思いますが、月ごとや半期ごとに新規コンテンツの制作の目標やノルマを設けることがほとんどで、ついつい一度作ったコンテンツを放置してしまいがちです。しかし、BtoBコンテンツマーケティングの本質はコンテンツを作ることではありません。有益なコンテンツを配信し、最終的にマーケティングの目的を達成するために行うものです。初期設計をないがしろにしないBtoBコンテンツマーケティングに関してよく受ける相談に、「コンテンツは多く制作したが思ったよりも成果が出てない」というものです。それらの相談の多くは、成果につながるコンテンツの制作や、成果達成までのユーザーの動線がうまく設計されていないケースがほとんどです。例えば、コンテンツSEOであれば「獲得したいユーザーとはどのような人物なのか」「それらのユーザーはどんなキーワードで検索をするのか」「コンテンツをみたユーザーは、社内で検討をするのか、それとも自分自身でお問合せをするのか」など、設計にコンテンツマーケティングは流行っているから自社でもといったなんとなくの理由で施策を始めるのではなく、明確な目的を定義し、それに紐づいた施策を実行していきましょう。BtoBコンテンツマーケティングに困ったら、Start-Xに相談しようBtoBコンテンツマーケティングを成功に導くためには、初期設計を意識し、適切なKPIに沿って正しく運用することが大切です。弊社では、BtoBコンテンツマーケティングの企画や設計・実際の運用のご支援も行っています。無料のオンライン相談を実施していますので、BtoBコンテンツマーケティングに課題を抱えている企業様がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。