購買行動や消費者ニーズ、生活様式などが今後ますます多様化していく予測の中で、日本企業においては、CMOの導入割合はまだまだ低いのが現状です。この記事では、CMOの概要や取り入れている企業の割合、そしてCMOの役割と求められる資質等に関して解説しています。企業のマーケティング戦略の重要性への高まりに備え、CMOの仕事内容と役割をしっかりと理解しておきましょう。CMOとは?CMOとは、Chief Marketing Officerの略称で、日本語では最高マーケティング責任者と訳されます。経営に携わりながらも、主にマーケティング戦略を立案し、具体的に実行する役割を担います。現代のインターネット普及に伴う購買行動の変化を背景に、CMOという役職が設置されるようになったと言われています。日本ではまだまだ認知度が低いですが、欧米では多数の企業で役職が設けられています。CMO設置の時代背景CMO設置には、消費者の購買行動や生活様式の変化、企業のグローバル化といった時代背景が大きく影響を及ぼしています。以下では、CMO設置に至る時代背景を3つの項目に分けてご紹介します。購買行動の変化ECサイトの普及や商品選択肢の増加などに伴い、消費者の購買行動は大きく変化しました。現代においては、ただ製品やサービスを提供するだけでなく、ファーストコンタクトからアフターフォローまで、一気通貫の購買体験が求められています。企業としては、あらゆる部署が一体となりマーケティング戦略を成功に導く必要があります。CMOには、部署の垣根を超えた横断的なマーケティングを実現するための手腕が問われています。生活様式の変化少子高齢化による国内の市場規模縮小は、企業のグローバル化を促進し、欧米企業では主流となっているCMO設置を日本企業にもたらしました。インターネットの普及により、企業の情報がより早く・簡単に手に入るようになりました。また、SNSの登場により、消費者同士のつながりも生まれるようになりました。こうした変化は、より高度なマーケティング戦略の必要性を企業に認識させることとなりました。グローバル化日本ではまだ知名度が低く、実際にCMOを採用している企業も少ないのが現状です。一方、欧米企業では、CMOは一般的となっています。少子高齢化などに伴い、内需は縮小傾向が続いています。日本企業の海外進出や海外企業の日本参入が加速していることなども加わり、日本企業でもCMO設置に繋がったと言われています。また、今後CMOを設置する日本企業が更に増えることが予想されています。CMOを取り入れている日本企業日本の上場企業でCMOを設置している割合は、おおよそ8~11%程度と言われています。欧米ではおおむね50~60%を超える割合と言われていますので、CMOの浸透について日本は大きく出遅れています。企業のグローバル化の加速に加え、マーケティングに関する幾つかの研究においても、CMOの設置は企業の業績にも良い影響を及ぼすことが証明されており、今後日本でもCMO設置が広がることが予想されています。CMOの主な仕事内容と役割4つCMOには、大きく分けて4つの役割があります。社内・社外を含め対象とする相手により、その役割は変化します。以下、「マーケティング部門の統括」「経営者との関係」「社員との関係」「社外への発信」という4つの立ち位置から、CMOの役割をご紹介します。CMOの主な仕事内容と役割1:マーケティング部門の統括企業が一貫性のある戦略を立て、それを実行していくための統率力がCMOには求められています。人・資金・モノ・情報などの企業の限られた資源を、どう分配していくか、全体を見ながら決定していく必要があります。それぞれの部署が同じ方向に向かって進めるような、長期的な視点を持ったマーケティング戦略の策定及びその実行が、マーケティング部門の統括としてのCMOの役割です。CMOの主な仕事内容と役割2:経営者との関係マーケティング戦略は、企業の意思決定や経営判断に直結する場合があります。経営とマーケティングが効果的に融合できるよう、CMOにはマーケティング部門の最高責任者として経営陣への説明責任が伴います。マーケティング戦略や現場の声を経営陣に正しく伝えることで、企業の意思決定や経営判断を正しい方向に導くことができます。CMOの主な仕事内容と役割3:社員との関係マーケティング部門の統括としての役割からも、自社のマーケティング戦略を社員に正しく理解浸透させることがCMOには求められています。これは、マーケティング部門の社員に限った話ではなく、その他の部署の社員に対しても同様です。各部署が連携し同じ方向を向いて進んでいくためには、所属部署を超えた「横断的なコミュニケーションの醸成」が必要となります。CMOの主な仕事内容と役割4:社外への発信企業のマーケティング戦略は、社外に対しても一貫していることが重要です。CMOには、マーケティング部門の顔として対外的な発信を行う役割もあります。社外と一言で表しても、顧客・事業パートナー・報道機関・株主など様々です。それぞれの部署がバラバラに対応していては、企業としての統一感を出せません。社外への個別のやり取りをCMOに集約し発信することで、企業として一貫したマーケティング戦略をアピールできます。CMOに求められる資質5つ企業の中のあらゆる部署が連携してマーケティング戦略を実行するために、CMOには多くの資質が求められます。マーケティング部門のことだけを考えていては、CMOは務まりません。以下では、CMOに求められる多くの素質から厳選した5つをご紹介します。人間的な資質や実務的なスキルまで幅広く存在しますので、参考にして下さい。CMOに求められる資質1:人材を活かす能力限られた企業の資源を有効活用する上で、人材を活かす能力は欠かせません。マーケティング戦略実行においては、部署の垣根を越えた組織としてのパフォーマンスの最大化が必要です。社員一人一人が与えられたポジションで最高の成果を出せるよう、CMOにはマーケティング部門以外の部署も意識した人材活用が求められます。多種多様な人材をどのように活かすかという手腕が、CMOには問われます。CMOに求められる資質2:データを読み解く能力デジタルマーケティングが中心となっている現代では、マーケティングにおいて膨大な量のデータを取り扱います。取り扱う膨大なデータから、自社のマーケティング戦略に必要なものを抽出し、読み解く力がCMOには求められます。CRMやBIなどのツールの発達により、データを集めることは容易となっています。しかし、データを集めることと、それを読み解いて活用することは大きく異なるのです。CMOに求められる資質3:起業家精神ここで言う起業家精神とは、「企業が有する資源を最大限活用する力」「所属メンバーを率いるリーダーシップ」「アイデアをビジネスに転換する力」「顧客と良い関係性を築く力」などの資質や能力を総称しています。起業家精神は、「自社のマーケティング戦略を策定し、それを全社一丸となって成し遂げ、顧客から評価を得る」という、CMOの一連の役割に必要となる資質ばかりなのです。CMOに求められる資質4:経営者の視点CMOの役割としてご紹介した通り、CMOにはマーケティング部門の統括だけではなく、経営陣や社外への説明責任などが伴います。つまり、自社のマーケティング戦略を経営者の視点から論じることが必要になります。ただマーケティングに関する知識を備えているだけでは、経営陣を納得させることや、自社のマーケティング戦略を株主に分かりやすく伝えることはできないでしょう。CMOに求められる資質5:SNSなどのメディアやテクノロジーのスキルSNSなどのメディアには、顧客からの多くの声が集まっています。これらを丁寧に拾い集め、自社のマーケティング戦略に活かすことはCMOに必要な資質です。また、先述の通り膨大な顧客データの収集や分析には、様々なテクノロジーが登場しています。こういったテクノロジーを使いこなせなければ、データを効果的に活用できません。時代に合わせたメディアやテクノロジーに関するスキルが、これからのCMOには求められます。CMOの採用方法CMOを外部から採用するためには、高所得者層に特化したキャリアエージェントやヘッドハンターに依頼するのが一般的と言われています。しかしながら、CMOに対する需要の高まりや、候補となる人材自体が不足していることなどから採用には長い年月と高額な経費が掛かることが見込まれます。自社のCMOとして必要なスキルや要件を、事業規模・業種・商材・販売チャネルなどから整理しておくと良いでしょう。CMOと関係のある役職3種企業経営におけるマーケティング戦略、ひいてはCMOの役割の重要性をここまでご紹介してきました。しかしながら、CMOだけでは経営は成り立ちません。以下、CEO・COO・CFOというCMOと関わりの深い3つの役職について、企業経営における役割やCMOとの関係性についてご紹介します。CMOと関係のある役職1:CEOCEOとは、Chief Executive Officerの略称で、日本語に訳すと最高経営責任者となります。企業経営に関わる全ての業務を統括し、経営に対する全責任を負います。現代においては、マーケティングは経営に直結する重要なテーマの一つです。そのため、マーケティング戦略などについては、マーケティング部門の最高責任者であるCMOとの密な連携が必要不可欠です。CMOと関係のある役職2:COOCOOとは、Chief Operating Officerの略称で、日本語に訳すと最高執行責任者となります。CEOが下した経営判断を実際の業務執行に反映させる責任者で、実質的なNO.2と考えられるケースが多いです。マーケティング戦略が策定されるまでは、CEOとCMO主導で行われることも多いですが、実際に戦略に基づき実行に移される際には、COO指揮のもとCMOが統括するという構図が一般的です。CMOと関係のある役職3:CFOCFOとは、Chief Financial Officerの略称で、日本語に訳すと最高財務責任者となります。企業の財務経理の実務全般を管轄する責任者です。最近では企業のグローバル化に伴う、国際会計基準に沿った財務管理が必要となっています。マーケティング活動には、一定程度の資金が必要となります。マーケティング戦略実行における資金面のやり繰りは、CMOとCFOの連携が重要です。CMOについて理解しよう日本企業においては、CMOの導入割合はまだまだ低いのが現状です。しかしながら、テクノロジーの進化に伴い、購買行動や消費者ニーズ、生活様式などは、今後ますます多様化していくでしょう。こういった時代においては、企業におけるマーケティング戦略の重要性もさらに高まることが予想されます。CMOの仕事内容と役割をしっかりと理解し、今後想定される変化にもしっかりと対応できる準備を進めましょう。弊社Start-Xは総合的なマーケティング支援を得意としております。外部CMOのような形で、マーケティング戦略全体をお任せいただくことも可能です。他のマーケティング支援会社と比較すると、コストパフォーマンス高く支援可能なメニューが多くございますので、何かお困りごとがございましたらお気軽にお問合せください。ご相談はいつでもオンラインで無料でご対応可能です。