企業に複数存在するブランドの役割や関係性を明確にするブランド体系は、ブランドアーキテクチャーとも呼ばれています。また、ブランドポートフォリオ戦略を実行することで相乗効果が期待できます。この記事では、ブランド体系やブランドポートフォリオについて、ご紹介します。興味のある方は、ぜひ参考にしてみてください。ブランド体系って何?「ブランド体系」とは、ブランド構造とも言われ、階層が存在するブランドの関係性を表す構造のことです。コーポレートブランドが最上位にあり、事業ブランドやシリーズブランド、そして商品ブランドというような階層構造になっています。ブランド体系を見ると、ブランド間の関係や役割などを明確にすることができます。ブランド全体の構造を表しているのがブランド体系です。ブランド体系の種類3つブランド体系には、「ファミリーブランド」や「グループブランド」、「商品ブランド」などの種類があります。ブランド間の関係性やブランドの役割を明確化することが可能です。ブランドを育てていくためには、種類によって構築方法が違うため、ブランドの種類のことを理解しておく必要があります。ここではブランド体系の種類を3つ、ご紹介します。ブランド体系の種類1:ファミリーブランドファミリーブランドは、いくつかのカテゴリーにまたがっている商品・サービスに共通のブランド名を付け、展開していくイメージになります。たとえば、資生堂の「TSUBAKI」が展開しているシャンプーやリンス、コンディショナー、トリートメントなど、さらにCHANELの香水や時計、洋服、アクセサリーなどです。ブランド体系の種類2:グループブランドブランド体系の種類の中に、グループ企業を束ねた「グループブランド」があります。たとえば、「セブン&アイ・ホールディングス」や「三井グループ」、「SMBCグループ(三井住友フィナンシャルグループ)」などです。ブランド体系の種類3:商品ブランドブランド体系の種類「商品ブランド」というのは、企業が展開している商品を明確にするためのブランドのことです。たとえば、カシオ計算機株式会社のG-SHOCKの「FROGMAN(フロッグマン)」や「G-LIDE(Gライド)」などやシャープ株式会社のAQUOSの「8Kと4Kチューナー内蔵のCX1」や「AQUOSポータブル」などです。このように商品そのものを明確にするのが商品ブランドになります。ブランド体系の主な戦略3つブランドを体系化することに何か意味があるのでしょうか?ブランドを体系化すれば、さまざまな戦略を実行するときに役に立ちます。ブランド体系の主な戦略としては、「複合ブランド戦略」や「ブランド・アンブレラ戦略」、「マルチブランド戦略」の3つです。ここでは、ブランド体系の戦略について、ご紹介します。ブランド体系の戦略1:複合ブランド戦略ブランド体系の戦略として、「複合ブランド戦略」があります。複合ブランド戦略は、マスターブランドのサブとなるブランドを組み合わせます。組み合わせることで、サブ展開しているブランドをマスターブランドがアシストする役割を果たします。たとえば、キリンホールディングス株式会社のキリン生茶やキリンレモン、キリンメッツなどです。マスターブランドがキリンでサブブランドが生茶ということです。サブブランド戦略が上手くいくと、生茶のようなサブブランドがマスターブランド化することもあります。ブランド体系の戦略2:ブランド・アンブレラ戦略ブランド・アンブレラ戦略は、マスターブランド戦略とも言われている戦略で、ブランドを1つに統一する戦略ですたとえば、スポーツシューズやウェア、グッズなどをナイキブランドとして統一しているNIKEはブランド・アンブレラ戦略の代表例です。ブランド体系の戦略3:マルチブランド戦略ブランド体系の戦略の1つ「マルチブランド戦略」は、独立したブランドを構築していきます。同一のカテゴリーに複数の自社製品ブランドを展開していくような戦略です。たとえば、花王や資生堂の化粧品などがこの戦略を採用しています。ブランド戦略について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。▶︎参考記事:ブランド戦略立案のポイントと戦略策定の方法5選|ブランド戦略のメリット5選ブランドポートフォリオとはブランドポートフォリオとは、複数ブランドを保有している企業がブランドの特性などを分析し管理する戦略のことです。それぞれのブランドの資源配分をコントロールし、ブランド全体を最適化できるようにします。ブランドポートフォリオ戦略によって、複数のブランドを保有していることで相乗効果を得られたり、リスクヘッジを図れたりします。ブランドポートフォリオ戦略のポイント4つそれぞれのブランドを特性などによって体系化し、関係性を把握することで企業内においてのブランドの優先順位を決定して合理化などを行い、複数ブランドによる相乗効果を目指すことをブランドポートフォリオ戦略と呼んでいます。ここでは、ブランドポートフォリオ戦略のポイントについて、ご紹介します。ブランドポートフォリオ戦略のポイント1:ブランド間でのカニバリ回避ブランドポートフォリオ戦略のポイントとなるのが、複数ブランド間でのカニバリ、重複の回避です。自社に複数の自社ブランドがあるのに、同質化して棲み分けができなくなってしまうと、最悪の場合はカニバリによる共倒れという結果になってしまいます。ブランドポートフォリオ戦略では、複数のブランドが棲み分けながら相乗効果が生まれる方法を実施します。ブランドポートフォリオ戦略のポイント2:複数ブランド保有のリスク回避複数のブランドを保有している企業において、ブランドポートフォリオ戦略を実行すれば、リスクを回避しつつ、投資効果の高いブランド展開が可能になります。ブランド全体の価値を最大に高めながら、リスクを最小化することを目指しましょう。たとえば、新しい商品をメインではないブランドで市場に投入して、メインブランドの強みは維持しながらリスクを回避するということも可能です。ブランドポートフォリオ戦略のポイント3:ブランド縦関係の矛盾回避ブランドポートフォリオ戦略によって、商品ブランドや企業ブランド、事業ブランドなどの縦関係を整理し、役割を明確化して矛盾を回避できます。強いブランド作りを進めていくためには、このブランドアイデンティティとも言える部分に矛盾があれば解消しましょう。ブランドポートフォリオ戦略のポイント4:複数ブランド保有による相乗効果を狙うブランドポートフォリオを明確にして、ブランドを体系化し、ブランド間の関係性をはっきりと理解することで合理的に戦略を進めていけます。各ブランドをどのように展開させていくのかを決定し、相乗効果を生み出せていけるようにできます。どのブランドをどの市場に投入すれば最大の利益が得られ、ブランド同士の相乗効果を目指せるのかというような戦略を立てられるということです。ブランドポートフォリオ戦略は、企業全体の価値を高められます。ブランドポートフォリオマネジメントの注意点ブランドポートフォリオマネジメントで注意が必要なのは、各ブランドの棲み分けが上手くできているかどうかという点です。この点が上手くいっていなければ、各ブランド同士がカニバリ(共食い状態)になってしまいます。同じ企業内で育ててきたブランド同士の共食い状態はできるだけ抑えなければなりません。その上でブランド同士の相乗効果を目指していくというのがブランドポートフォリオマネジメントの重要なポイントです。リスクを最小化しつつ、各ブランドの価値を最大化していくという高いマネジメントスキルが求められます。ブランドポートフォリオ戦略でブランド体系を管理しよう1つのブランドの管理ではなく、複数のブランドを保有している企業が保有ブランドの関係性や役割を整理して構造化するブランド体系を適切に管理するために「ブランドポートフォリオ戦略」は有効です。この戦略によって事業の収益を最大化することが可能です。自社ブランドが複数ある場合はカニバリを防ぐ上に、相乗効果が期待できます。しかし、ブランド間の問題を変に扱ってしまうと成果が出ない可能性もあります。ブランドポートフォリオ戦略は、たとえばコーポレートブランドとプロダクトブランドの価値を高め、相乗効果をより発揮できるようにします。現在、複数のブランドを保有している企業で業績が伸び悩んでいる場合は、ブランド体系を見直し、管理してブランドポートフォリオ戦略にチャレンジしてみましょう。弊社では、クリエイティブを活用した企業の認知拡大・ブランディングのご支援も行っております。多くの企業でブランディングや認知拡大に成功しています。ぜひ各種クリエイティブ活用したブランディングや認知拡大による売上増加を狙いたい企業様はお気軽にお問い合わせください。マーケティングを中心に、EC・D2Cのブランド成長、クリエイティブ制作、およびビジネスで役に立つ「フレームワーク集」等の資料を「個人情報入力不要」で無料で公開しております。