TwitterやFacebook、Instagram、TikTokなどSNSは多くのユーザーに利用されているツールですが、近年では企業でもSNSアカウントを開設し自社の認知度を高めたり、商品やサービスを広めるなど、SNSマーケティングは企業にとっても欠かせないものとなってきています。しかし、具体的にどのような活用をしたらいいのか、活用のメリットを最大化するにはどうしたらよいのかお悩みの方も多いと思います。そこで今回は、SNSマーケティングの動向や注目されている理由そして効果を最大化するためのポイントを解説します。SNSマーケティングの活用に興味のある方はぜひ参考にしてみてください。SNSマーケティングとはSNSマーケティングとは、ソーシャル・ネットワーキング・サービスを活用したマーケティングの手法のことをさしています。TwitterやYouTube、Instagram、TikTokなどのSNSに企業がアカウントを作成して運用したり、人気クリエイター(インフルエンサー)にプロモーションを依頼したりと、施策は多岐にわたります。現在は業種や事業規模を問わず、なんらかのSNSアカウントを運用している企業・団体が多くなっています。国内のSNSマーケティングの動向インターネット広告代理店が行った調査によると、2020年時点でSNS市場規模は5,519億円、前年比107%が見込まれるほど目覚ましい成長を見せています。予測では、2025年には約2倍に成長すると考えられているようです。また、SNSマーケティングの動向に絞ると、各分野に支払われている費用の見込みは次のとおりとなっておりました。ソーシャルメディア広告:約4,932億円インフルエンサーマーケティング:約317億円企業のSNSアカウント運用支援:約145億円分析ツール:約75億円キャンペーンプランニング・コンサルティング:約50億円中でもソーシャルメディア広告は全体の89.4%を占めるほど、多くの企業から利用されているのが分かります。いずれの分野も前年比100%を超えており、インフルエンサーマーケティングにおいては、2025年には現在の2.5倍に成長するとの予測となっています。※「出典:サイバー・バズ/デジタルインファクト調べ」SNSが企業から注目されている理由マーケティングの場としてSNSが多くの企業から注目されているのには、いくつかの理由があります。SNSが企業の注目を集めている主な理由は、次のとおりです。SNSユーザーの増加総務省の「令和3年版 情報通信白書」によると、SNSの利用状況は全年齢層において増加を見せています。全体の数値だけを見ても、2019年の60.9%よりも2020年のほうが73.8%と、前年より12.9%増加していることが分かります。とくに増加を見せたのが、以下の3グループです。13~19歳:86.1%(前年より5.6%増加)60~69歳:60.6%(前年より8.9%増加)70~79歳:47.5%(前年より6.8%増加)10代(13歳以上)、20代、30代、40代は増加率が異なりつつも、利用状況はいずれの年齢層も80%を超えています。ユーザーの年齢が幅広いことから、SNSマーケティングは若年層に特化したものではなく、中高齢者層もターゲットになり得るといえるでしょう。SNSがユーザーの認知経路となっている商品やサービスの認知経路として、かつてはテレビCMやラジオ、雑誌の広告、該当広告や新聞折込チラシなどがあげられました。ほとんどが現在も利用されている宣伝手法ですが、ユーザーにとっての商品やサービスの認知経路としては、SNSなどインターネット経由が主流となりつつあります。マーケティング調査会社が2021年に行ったSNS利用動向に関するアンケート調査では、利用目的として最も多くの割合を占めたのが「暇つぶしのため」でした。次いで「興味関心のある分野の情報収集のため」「最近のトレンドチェックのため」と答えた層が多く、商品やサービスの認知経路として十分機能していることが分かります。また、中にはSNSの種類によって多少差がありつつも、最初から「買い物の前の情報収集のため」にサービスを利用しているユーザーも一定数存在しています。検索エンジンからSNS検索へ変化メッセンジャーアプリ会社がユーザーを対象に行ったアンケート調査では、2021年時点でインターネットを利用した情報収集時に利用するサービスは次のとおりでした。検索エンジン:93%SNS:59%動画アプリ・サイト:48%その他・分からない:2%(複数回答)年代別に見ても現状は検索エンジンの利用率が高い傾向にありますが、一方で10~20代を中心にYouTubeなどのSNSがあげられています。検索方法はいずれも複数のキーワードを入力する点は共通しており、大きな違いはありません。若年層を中心としたユーザーが情報収集にSNSを利用する理由で最も多かったのが、「最新・リアルタイムな情報が得られるから」となっていました。対して、検索エンジンを利用する理由で最も多かったのは、「使い慣れているから・いつも使っているから」となっています。実際、検索する目的別で見ると、検索エンジンは知らない漢字や言葉、天気情報、ニュースなどが多いのに対して、SNSはエンタメ情報やグルメ、ファッションなどトレンドに関するジャンルが多くなっています。トレンドを発信する最適な場が、検索エンジンからSNSへ徐々に変化している様子がうかがえます。※「出典:LINEリサーチ」購買プロセスがAISCESからULSSASへ変化ユーザーの購買プロセスが、従来から大きく変化していることも、企業からSNSが注目される理由のひとつです。購買プロセスを「テレビ時代」「ネット時代」「SNS時代」の3つに分けると、それぞれ次のとおり細かな部分が異なります。テレビ時代:AIDMA(注目→興味→欲求→記憶→行動)ネット時代:AISCES(注意→関心→検索→比較→検討→行動→共有)SNS時代:ULSSAS(いいね→SNS検索→ネット検索→行動→拡散)テレビ時代にはなかった行動後のステップとして、ネット時代では共有、SNS時代では拡散が存在しています。これまではインターネット普及にともない、ネット時代のAISCESが一般的な購買プロセスとされていましたが、SNS利用者数が増加しつつある近年は、もう一歩進んだULSSASへ変化しつつあります。ULSSAS(ウルサス)はSNS時代特有の新たな購買プロセスとして提唱されており、SNSによる「いいね」や拡散でUGCが生まれ、自律的に売上が上がっていくシステムのことです。ULSSASが好循環となれば、少ない広告費で継続的にユーザーのアテンション(注目)を得られるようになるでしょう。ULSSASには前提としてSNSでの「いいね」や拡散が含まれることから、企業がSNSに注目しています。SNSマーケティングのメリット企業がSNSマーケティングを行うメリットは多くなっています。ここでは代表的なメリットを6つご紹介します。企業や店舗の認知拡大につながる前述のとおり、今やSNSユーザーは中高齢層も増加してきています。利用者が多いため狙えるターゲットの母数も必然的に大きくなり、認知を獲得したりブランディングに最適なプラットフォームといえるでしょう。企業や店舗が公式アカウントを作成すれば、従来の利用者を中心にフォロワーを獲得したり、バズった投稿をきっかけに幅広い層からの新たな認知を獲得したりすることも可能です。ユーザーの投稿(自社商品に関する感想など)に反応すれば、多くのユーザー層が「自分にも返事をくれるかもしれない」と期待して関連情報を投稿してくれるようになります。自社の公式アカウント以外からの投稿がきっかけで、認知拡大が起こる可能性もあります。イメージ向上が期待できる普段は関わることのない企業の内部の様子を、投稿を介してユーザーに伝えられるのがSNSの1つの特徴です。電機メーカーのアカウント『シャープさん』のように、企業らしからぬくだけた投稿を繰り返すアカウントは、「思ったよりも親しみやすい」とイメージ向上につながることもあります。ユーザーの声を直接聞けるSNSは、他ユーザーからのコメントやダイレクトメッセージを受け取ることも可能です。設定によってすべての投稿に対するコメントを拒否することもできれば、一部の投稿のみ許可することも可能です。ユーザーが自由にコメントできるよう設定しておくと、商品やサービスに対する質問や不満点、満足な点など、感想を直接収集できるでしょう。対面によるインタビューや実名によるアンケートではいいにくい部分も、匿名性の高いSNSならユーザーが正直に伝えてくれる可能性が高くなります。コンテンツやECサイトに誘導できるSNSの投稿やプロフィールページにURLを貼り付けておくと、狙ったコンテンツやECサイトへユーザーを誘導できるメリットもあります。SNSによってはURLの貼り付けが所定の場所・方法以外は不可となっている場合もありますが、Instagramのショップ機能のようにうまく活用できれば購入や資料請求などのコンバージョンにつなげられるでしょう。また、一部のライブ配信機能があるYouTubeやTikTok等のSNSは、配信中に商品の購入を受け付けられる(ライブコマース)場合もあります。ユーザーの反応が分かりやすいSNSはフォロワーでなくても、誰でも気軽に「いいね」・拡散機能を利用できます。面白いもの、好ましいものはユーザーの反応が顕著なため、どのような投稿が好まれるのか推測しやすいでしょう。ただし、炎上した場合も反応数が爆発的に増えることがあるので、単純に数値だけで判断するのは危険です。広告にかける費用を削減できるSNSの多くは、単純にアカウントを作成して投稿するのみなら、個人・企業問わず無料で利用可能です。投稿を中心にユーザーのファン化や新しいターゲット層へのリーチなどを狙うなら、広告費をかけずに実施するのも不可能ではありません。リスティング広告など従来のインターネット広告のように、あらかじめ予算を決めたうえで配信できる有料広告サービスもあり、目的や予算に応じた運用が可能です。SNSマーケティングの基本的な流れSNSマーケティングを始めるときの大まかな流れを、ステップごとにご紹介します。マーケティングの目的を明確化するまず取り組むべきことは、SNSマーケティングの目的を明確にすることです。ブランドイメージの確立特定の商品・サービスの認知度拡大サイトへの誘導フォロワー獲得(ファン化)など何のためにSNSアカウントを作成・運用するのか明確にしておかなくては、効果的な施策を見つけられないため、まずは目的の明確化を意識してください。ターゲットとプラットフォームを決める目的に応じて、ターゲットとプラットフォーム(SNSの種類)を決めることも大切です。たとえば10~20代の女性に人気のコスメブランドなら、InstagramやTikTokなどでのアカウント作成が適しているでしょう。動画で商品の魅力を伝えられるので、視覚的にブランディングしやすい傾向にあります。SNSの市場や競合を調査する参入を決めたSNSで、競合にあたる企業や団体のアカウントを調査してください。リサーチが9割とも行っても過言ではないほど非常に重要な工程となります。フォロワー数は何人か投稿頻度はどの程度か投稿コンテンツはどのような内容かどのようなターゲティングをしているかなど分析結果をもとに、自社アカウントの差別化できる部分を探していってください。具体的にKPIを決める次に、運用目的を達成するためのKPIを決定しましょう。自社に関するユーザーの投稿を月30件増やすなど、具体的な数値を入れて期間やKPIを設定するのがポイントです。最終的な達成数値だけでなく、各SNSの管理画面のダッシュボードから確認可能な数値を元にSNS上でのKPIを細かく設計することも非常に大切です。はっきりとした指標があれば、達成率や費用対効果を客観的に判断できるでしょう。投稿やイベントの実施アカウント作成後は、目標を達成するために定期的に投稿してください。コラボ企画やキャンペーンなどを行う場合は、必要に応じて企画やキャスティングも行う必要があります。最初は分析も兼ねて、あえて時間帯をずらして投稿してみるのも良いでしょう。ユーザーの反応が良い投稿内容や時間帯、曜日などを調べていきましょう。結果を分析する投稿に対してユーザーがどのような反応をしたか、前回と今回の投稿でフォロワー数はどのように変化したかなど、多角的に結果を分析してください。SNSによっては簡易的なレポートを閲覧できる機能もありますが、分析ツールを導入してより詳細を調べるのも良いでしょう。自社に分析できる人材がいない場合は、専門会社のサポートも検討してみましょう。SNSマーケティングの効果を最大化するコツSNSマーケティングのメリットを最大限に引き出すためには、アカウントの運用方法に注意すべきです。最低限、意識したいのが次の3つです。商品やサービスの宣伝以外も投稿するフォロワー数を増やす努力をする効果測定や分析は定期的に行うたとえば『シャープさん』など、人気企業アカウントは、毎回自社の商品やサービスを宣伝しているわけではありません。ユーザーが親しみやすさ、共感を覚えるような投稿も交えることで、距離を縮めることが大切です。また、コメントに返信したり、自社について投稿しているユーザーに「いいね」したりと、フォロワー数を増やす努力も欠かせない業務です。面白い投稿だけがフォロワー増加につながるわけではないため、地道な努力を重ねていきましょう。効果を判断して次の施策に活かすためには、効果測定や分析を定期的に行うこともポイントです。まとめSNSマーケティングでは、正しく戦略や施策を設計しアカウントを利用することで認知度を高めたり、企業の集客や売上をアップすることが可能です。ぜひこの記事でご紹介したSNSマーケティングのメリットやデメリットを最大化する方法を参考に、SNSマーケティングを行ってみてはいかがでしょうか。SNSマーケティングを実施するには、全て内製で行うだけでなくSNSマーケティングのプロに依頼するのもおすすめです。弊社では、YouTubeをはじめとしたSNSマーケティング/PRのご支援も行っています。無料のオンライン相談を実施していますので、SNSマーケティングに課題を抱えている企業様がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。