広告の効果を表す指標であるROAS。よく似た指標であるROIやCPAとの違いについても合わせて解説します。経営・事業戦略によって、売上のうち何%を広告費に当てるかという割合は異なりますが、「どの広告がどのくらいの割合で実際の売上につながっているのか?」というところまで、しっかり把握しておくことは、マーケティング計画を立てる上で非常に重要です。広告にも、CM、展示会、雑誌、Web広告と、さまざまな媒体が存在するので、翌年の予算編成には媒体ごとの費用対効果をまとめる必要があります。加えて、広告の効果を数値化することで、広告をする媒体ごとの効果の差や、季節による効果の変動について把握することが可能です。今回は、費用対効果の高い広告を見極める指標として「ROAS」「ROI」「CPA」の3つについてそれぞれ解説します。ROASとは?広告を出した人には当然、その効果や結果が気になるところでしょう。その効果を測る指標がROAS(Return On Advertising Spend)です。この記事では、広告の効果を測る指標であるROASについて説明します。なぜROASを把握する必要があるの?企業にとって製品やサービスの売上は、実施している広告によって大きく左右されます。従って、広告の効果を正確にタイムリーに把握することは重要だと言えます。広告にかけた費用に対して、売上がどれだけ増加したかを数字にしたのがROASであり、これは「費用対効果」とも呼ばれています。どの媒体を利用するのが一番効率的で、広告の効果は持続しているのかをROAS等の指標を参考にすることによって把握できます。また逆にROASが事前に予測できれば、必要な売上を達成するためにどれぐらいの広告費をかければ良いのか戦略を立てることも可能です。ROASの計算方法それでは具体的にROASの計算方法について説明しましょう。ROASは広告によって増加した売上を出費した広告費で割ったものです。ROAS=[広告により増加した売上/広告費]×100(%)で算出することができます。広告費が同じであれば、広告による売上の増加が大きいほどROASの値は大きくなり、広告の効率が高いことを示しています。ROASとROIとCPAの違い広告の効果を示す指標にROAS以外に、ROIやCPAという指標があります。特にROASとROIはよく似た指標で混同されることが多いですが、ここではそれらの違いについて細かく説明しましょう。【ROASとの違い】ROIとはROIとはReturn on Investmentの略語で、投資した広告費でどれぐらいの割合で利益があがったかを示した指標であり、「投資利益率」とも呼ばれています。ROASの場合は「売上の増加」に着目していますが、ROIは「利益の増加」に着目している点が異なります。【ROASとの違い】ROIの計算方法ROIの計算式は、ROI=(広告により増加した利益ー広告費)/広告費X100(%)です。ROASとは異なり、利益に対する広告の効率の高さを示しています。広告をすることにより利益が増加したとしても広告費がかかっているわけですから、その分を利益から減らして計算する必要があります。ROIについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせてご覧ください。マーケティングROIとは?計算方法と分析するメリット3つを解説【ROASとの違い】CPAとはCPAとは「Cost Per Acquisition」の略語で、CVを一つ得るのに必要な広告費のことです。これは「獲得単価」とも呼ばれています。ここでCVとは「Conversion(変換)」の略語であり、広告によって喚起された読者の行動のことです。具体的には一つの商品の購買を「1」と数えたり、あるいはサイトへの訪問や窓口への問合せを「1」と数えたりする場合があります。【ROASとの違い】CPAの計算方法CPAの計算式は、CPA=広告費/CVの数<です。CVあたりの広告費を表す指標ですから、値が小さければ小さいほど安い広告費でCVを得られることになります。しかし、CPAには一つのCVがもたらす売上や利益を考慮に入れていませんので、CPAが小さいから広告効果が高いと単純に判断することはできません。ROAS・ROI・CPAの計算例3つROAS・ROI・CPAの計算例1:ROAS20万円をかけて広告したときに、広告から発生した売上が100万円だったと仮定します。ROAS=100万円(売上)/20万円(広告費)×100=500%となり、この場合のROASは500%となります。ROAS・ROI・CPAの計算例2:ROI20万円をかけて広告し、広告から発生した利益が60万円だった場合、その利益を上げるために広告費の20万円かけていますから、実際の利益は60万円ー20万円=40万円となります。したがって、ROI=60万円(利益)ー20万円(広告費)/20万円(広告費)×100=200%となり、この場合ROIは200%となります。ROAS・ROI・CPAの計算例3:CPA20万円をかけて広告し、その広告経由で5件のCV(購買、サイトの訪問、問合せ等)が発生したとします。その場合にはCPA=20万円(広告費)/5 (CVの数)= 4万円となり、CPAは4万円となります。ROASのメリットとデメリットROASのメリットこのようにROASは広告費がどれぐらい売上に対する効果があるのかを表す指標です。売上に関する情報は比較的簡単に、そしてリアルタイムに獲得できるので広告の効果を簡単に把握できます。さらに、過去の実績からROASがある程度予測される場合には、目標とする売上を達成するためにはどれぐらいの広告費用をかければ良いのかを判断できます。ROASの計算式を変形すると、広告費=[広告により増加した売上/ROAS]×100となります。この式をもとに具体的な計算をしてみましょう。例えば、ROASが500%と見込まれる時に、売上目標が200万円であった場合には、広告費=200万円(広告により増加した売上)/500%(ROAS)×100=40万円となります。広告費を40万円かければ200万円の売上が期待できるというわけです。ROASのデメリットROASは広告費に対する売上の効果を示すものですから、ROASがいくら高くても利益が出ないで赤字という場合も発生してしまいます。ROASが100%を超えていても、ROIが100%を下回ってしまうこともあり得るのです。このように、ROASだけを指標としていたのでは正しい広告運用をすることはできませんので、ROIやCPAの指標を併せて活用していくことが必要になります。またROASはあくまでも費用対効果の割合を示すものですから、ROASが高いからといって必ずしも売上の絶対額が大きいというわけではない点には注意しなければなりません。さらに、売上の規模によってROASが変化することにも要注意です。売上が小さいときには高いROASを示していたが、売上が大きくなるに従ってROASが低下してくる可能性も充分にあります。ROASを活用してより良い広告運用をしよう広告の効果を見極めて、最終的な利益を大きくしていくことが企業には求められます。今まで、述べてきたようにROASは広告の効果を簡単に大まかに把握できる指標です。まずROASで大まかな傾向を把握して、さらにROI、CPAを併せて検討することで広告のより詳細な貢献度を把握できます。このような指標を活用して、より良い広告運用をしていきましょう。弊社ブログではこの他にも各種マーケティングやWebに関するお役立ち情報を多数ご紹介しています。Web担当者の方、デジタルマーケティングに興味がある方はぜひご覧ください。また弊社では、Webマーティングのなかでも動画やクリエイティブを活用したマーケティングに強みを持っております。動画広告など、Web広告運用全般にご対応することも可能ですので、お悩み・ご相談はぜひお気軽にお問い合わせください。