近年、多くの企業がリブランディングに取り組んでいます。リブランディングは、既存のブランドを再構築し、新たな市場や顧客層を開拓するための戦略や取り組みのことです。この記事では成功事例や失敗事例を紹介していますので、それぞれの事例から、リブランディングの戦略・手法・成功の鍵となった要素について学び、自身の企業やブランドの成長に活かしていきましょう。各種事例からインスピレーションを受け、自身のリブランディングプロジェクトに新たな展望を持って取り組んでみてはいかがでしょうか。リブランディングとは?ブランドは年が経つにつれ、消費者や顧客との齟齬が生じやすくなってきます。その古くなってきたブランドを再生することがリブランディング(Re-Branding)です。リブランディングとは単なる再生ではなく、ブランドが形作ってきた歴史の上に、新しい歴史を付け加えることです。しかし、リブランディングは方法を間違えると、新しい顧客の獲得はおろかこれまでの熱心な顧客をも失いかねません。リブランディングの成功事例13選ブランドの立ち上げと維持、そして年数を経てのリブランディングでは、何が違うのでしょうか。リブランディングにおける成功事例を見ながら、ポイントを押さえていきます。それぞれの企業に特有の歴史的背景を背負いながらリブランディングしている事例が多くあります。リブランディングの成功事例1:スターバックススターバックスのロゴデザインが大きく変わったのは、2011年です。それまでロゴに入っていた企業名「STARBUCKS」と商品名「COFFEE」を削除し、伝説の人魚「セイレーン」のみになりました。多くの非難が上がったそうですが、スターバックスは事業展開と取扱い商品点数の拡大を図るため、「コーヒー」だけのイメージを払拭する必要がありました。ロゴ変更は、マーケティング戦略の重要な転換だったのです。リブランディングの成功事例2:マツダ「マツダ地獄」の原因である値下げ販売をやめたマツダは、世界のマツダファン2%にターゲットを絞り、販売戦略を大胆に変更しました。ブランドファンのための自動車を作ることに方針を転換して、ブランドエクイティの構築に成功したのです。リーマンショック以降の消費者ニーズ、必要で気に入ったものなら金を出すという消費傾向の変化にマッチしたリブランディングでした。リブランディングの成功事例3:湖池屋1967年にポテトチップスを発明・販売した湖池屋は、2016年に大胆なリブランディングをしました。すでにポテトチップスをはじめとするスナック菓子はコモディティ化しており、低価格競争に入っていたのです。そのような状況に対し、湖池屋はそれまでの新奇な発想展開を改め、ポテトチップスそのものの見直しとパッケージの一新、そして社内のインターナルブランディングの向上に取り組んだのです。リブランディングの成功事例4:ニベア1911年にドイツで誕生したニベアは既に100年以上の歴史があり、日本での発売は1968年です。日本発売から50年を過ぎ、世代が変わることでマーケティングも変化しています。親から子へという世代間の情緒的価値を打ち出すことでリブランディングするも、商品特性は変わっていません。変化しないものと変化していくものとの区別が、リブランディングの基盤になっています。リブランディングの成功事例5:ニコン創業100年を2017年に迎えたニコンは、これまで6回のブランドシンボルの変更をしています。6回目になる最新の変更は2003年で、1968年の黒と黄色の基調は変わらず、新たに白のデザイン背景が加わりました。「Nikon」のロゴデザインは1968年から変わっていません。企業カラーである黒と黄色を守りながら、新しい方向性を指し示すブランドシンボルのリブランディングになっています。リブランディングの成功事例6:ヤンマー「ヤン坊マー坊」で知られるヤンマーは2013年に創業100年を迎え、グローバル市場でのリブランディングに取り組みました。日本では農機具の製造販売会社、欧米では船舶エンジンのブランド、というイメージの格差を統一して、内外のヤンマーイメージをランクアップするのが目的です。農業関係も農作業ウェアからトラクターまで、デザインによるブランディングを目指しています。リブランディングの成功事例7:かっぱ寿司100円回転ずしの元祖「かっぱ寿司」が、2016年10月ロゴを一新してリブランディングを実施しました。ロゴから河童のキャラクターが消え、代わりにお皿が重なったデザインになりました。店舗の造りも変えて、安いというイメージを変えたのです。リブランディングの成功事例8:祇園辻利創業萬延元年(1860年)の祇園辻利は、2011年に商品パッケージのデザインを一新しました。いわゆるブランドデザインを大胆に変更したのです。祇園辻利は、コーヒー文化に押されて消費が落ち込んだ日本茶を再興するために、様々なマーケティングをしてきました。茶そのものは変えずに、日本茶と消費者を結ぶプロセスをリブランディングを通じて作ってきたのです。リブランディングの成功事例9:ダヴユニリーバのブランド「ダヴ」は2004年から「リアルビューティー・キャンペーン」を始め、女性の美しさに対する価値観の転換を求めています。1957年に「潤い」という新しい価値を盛り込んだ固形石鹸を発売したダヴは、消費者と価値観の共有を作って来ました。それが「ダヴ」のブランディングです。リブランディングの成功事例10:レッドブルすでに過密を極めていた清涼飲料市場、そこへ1987年参入したのがレッドブルです。そこでのマーケティング・コンセプトは、マス広告の大量投入による顧客獲得ではなく、文字通り顧客創造でした。エナジードリンクとしての効果ではなく、エクストリームスポーツイベントの開催を通じて愛好家を顧客として創り出すのが、レッドブルのブランディングです。その姿勢は創業以来変わることがなく、多くの支持を得ています。リブランディングの成功事例11:大和ハウス大和ハウスはプレハブ住宅の元祖で1955年に創業、その後、分譲住宅・賃貸住宅・流通店舗事業・ホテル経営など順調に事業を拡大しています。プレハブ倉庫建設の実績を通じて全国展開していたので、都市部だけでなく地方にも営業基盤を持っていることが、事業拡大の支えとなっています。リブランディングの成功事例12:東京ディズニーランド「東京ディズニーランド」は日本企業オリエンタルランドがウォルトディズニーカンパニーとのライセンス契約で経営しています。ウォルトディズニーのブランドに対する考え方、姿勢は非常に厳しく徹底しています。ブランドの管理は著作権・版権の管理であり、キャラクターなど商標の流出は皆無でなければならないのです。だからこそディズニーランドの園内にしかミッキーと会えない、ブランドエクイティが生まれるのです。リブランディングの成功事例13:ドルビーラボラトリーズドルビーラボラトリーズは録音再生におけるノイズ低減技術として1960年代から実用・商業化していました。その技術が映画サウンドの革命的なリアリティをもたらしたのです。アメリカ映画を見れば、必ずと言っていいほどドルビーのロゴがエンドタイトルロールに現れます。これはライセンス提供に紐づけられた契約に基づくものです。このことによってドルビーのブランドロイヤリティは高められていきました。リブランディングの失敗事例5選リブランディングは成功ばかりではなく、ブランドを台無しにすることもあります。せっかく立ち上げたブランドを壊さないためにも、リブランディングは慎重になされなければなりません。5つの失敗事例を見ながら、何を変えて何を変えてはいけないのか、そのポイントを押さえていきましょう。リブランディングの失敗事例1:コカ・コーラ1985年4月、コカ・コーラは「ニュー・コーク」として従来のコカ・コーラの味を変えました。当時ですでにコカ・コーラは99年の歴史を持っていましたが、ペプシコーラの追い上げで業績は落ち込んでいたのです。味の変更は苦渋の選択でしたが、コカ・コーラには自信がありました。しかし、結果は惨憺たるもので、たった3ヶ月後、コカ・コーラは元の味に戻されたのです。リブランディングの失敗事例2:ドクターペッパー低カロリー飲料として発売されたリブランディング商品「Dr Pepper Ten」は、男性限定にしたマーケティング展開で女性消費者の怒りを買いました。2011年のことで、性別による役割決定を差別とするコンセンサスができている時代でした。そういった背景を理解せずに、女性をマーケットから排除したことに大きな反発が起き、リブランディングは頓挫したのです。リブランディングの失敗事例3:トロピカーナ果実飲料のトロピカーナは2008 年にパッケージを全面リニューアルしました。しかし、売り上げが激減し、わずか1ヶ月で元のパッケージデザインに戻されたのです。理由は、消費者にとって商品認知のしにくいデザインだったことです。パッケージ正面から見て、トロピカーナだとすぐには分からないデザインになってしまったのでした。マーケティングにおける消費者目線を考慮しなかったことが原因です。リブランディングの失敗事例4:バーガーキングバーガーキングは話題作りのために、ブランド名を「FRIES KING」、ロゴデザインをフライドポテトに変えました。この事例は、消費者を戸惑わせて失敗した例になります。バーガーキングにとって主力商品はハンバーガーのはずですが、ブランドシンボルからハンバーガーが無くなりました。消費者が置き去りにされてしまった事例です。全く話題にもならず、マーケティング効果はありませんでした。リブランディングの失敗事例5:GAPこの「GAP」の事例はロゴデザインの変更、リブランディングとその対応の仕方によって、信頼を失った事例です。大胆なロゴデザインの変更はSNS上で多くの批判的反響を呼びました。GAPはそれに応えるように柔軟な姿勢を示しましたが、これが逆に優柔不断な企業である、と見做されてしまったのです。20年以上ブランドシンボルとして定着してきたロゴデザインは、安易な変更が許されなかったという事例です。リブランディング成功の秘訣リブランディングを成功させるには、自社ブランドの持つ歴史と特性をしっかり就かんでおかなくてはなりません。これまでの事例でも理解できるように、変えるべきものと、変えてはならないものとの区別が重要です。2つの点について以下に述べていきます。1つは自社ブランドを客観的に把握する必要性と、2つ目には現状に対する改善点の明確化です。ブランドを客観視する先ず自社ブランドが顧客や市場においてどう認知されているかの現状を把握することが大切です。つまり、周囲からどういうイメージで見られているのか、という分析が必要なのです。それをどれだけ客観的に掴むことができるかどうかが、リブランディング成功のカギを握ります。なぜなら、自社がどう見られたいのかという事とのギャップを知ることが重要だからです。現状の不満を具体化する次にこれまでの事例から見えてくる、自社ブランドに足りないものをはっきりさせることです。それはブランドの現状に対する不満を明らかにするという事です。それは、ブランドの維持すべきコンセプトを明確にしながら、足りない部分を冷静に取り出す作業です。リブランディングを実行する前の準備として周到に注意深く行われなければなりません。リブランディングの成功のコツについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。リブランディングを成功させる4つのコツ|リブランディングの成功事例8選を紹介リブランディングを成功させようリブランディングは、これまで培われてきたブランドの歴史を壊してしまうかもしれません。しかしこれまでの事例のように、企業が時代の変遷に適応していくためには、欠くことのできない変革でもあります。ブランドアイデンティティのコンセプトを守りながら、顧客・消費者に支持されるようなブランドの進化―リブランディングを成功させましょう。弊社では、クリエイティブを活用した企業の認知拡大・ブランディングのご支援も行っております。多くの企業でブランディングや認知拡大に成功しています。ぜひ各種クリエイティブ活用したブランディングや認知拡大による売上増加を狙いたい企業様はお気軽にお問い合わせください。マーケティングを中心に、EC・D2Cのブランド成長、クリエイティブ制作、およびビジネスで役に立つ「フレームワーク集」等の資料を「個人情報入力不要」で無料で公開しております。