近年、インターネットの普及に伴い、広告やマーケティングの媒体は多様化しています。その中で、宣伝効果を上げたい方も多いのではないでしょうか。この記事では、メディアミックスの概要について紹介します。広告やマーケティングに関心のある方は、ぜひ読んでみてください。メディアミックスとは?メディアミックスとは、広告用語では、ある商品をテレビ・新聞・ラジオ・インターネットなど複数のメディアを使って宣伝することを指します。また、マーケティング用語としてのメディアミックスとは、小説・マンガなどのコンテンツがあった場合、アニメ・映画・ゲームなど他の様々なメディアに展開して、収益性の高いコンテンツに成長させることを意味します。メディアミックスのルーツメディアミックスのルーツとは、その言葉が広く知られるようになった時にさかのぼれるでしょう。メディアミックスが注目され、その言葉が普及したのは、1970年代後半です。当時の株式会社角川書店が、自社発行の小説を原作とした映画をヒットさせ、その映画のイメージを新装カバーに反映させることで原作小説の売り上げをさらに伸ばす、といったビジネスモデルを打ち出したのが、大きなきっかけとなりました。メディアミックスの使われ方メディアミックスを行う場合、どういうメディアが想定されるでしょうか。広告の場合、出稿する媒体としては、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・ポスター・DMなどに加えて、近年はインターネットが多く用いられるようになっています。マーケティングの場合、例えば、小説というコンテンツがあれば、それを原作に、アニメ・映画・ゲームなど様々な媒体を利用して、コンテンツを拡大させていくことが想定されます。クロスメディアとの違いメディアミックスと関連して、クロスメディアという用語もありますが、両者はどう違うのでしょうか。メディアミックスとは、ある商品の宣伝を、複数の媒体を使って、同時多発的に行うものです。広告の内容は同じで、ある商品の認知度を高めることを目指します。クロスメディアとは、ある商品の宣伝を、複数の媒体を使って、媒体ごとの特徴に合わせて行うものです。広告の内容は媒体ごとに違い、1つの広告では完結せず補完し合っています。ある商品の魅力を深く伝えることを目指します。メディアミックスの主な媒体4つメディアミックスの対象となる媒体は多岐に渡りますが、タイプによっていくつかに大別できます。今回は、インターネットメデイア・ニッチメディア・デジタルメディア・アナログメディア、の4つに大別し、それぞれ紹介します。メディアミックスの媒体1:インターネットメデイアインターネットメディアとは、インターネット技術を利用したメディアのことで、広告・マーケティングの媒体として、近年重要性が高まっています。インターネットメディアは、特定の属性のユーザーに絞ってアピールできる「ターゲティング性」と、クリックなどでユーザーがすぐ反応できる「インタラクティブ性」に優れています。広くインターネットメディアといっても、その中に、Webサイト・ブログ・メルマガ・動画配信など様々なメディアがあり、それぞれについて、広告・マーケティングの手法が開発されています。メディアミックスの媒体2:ニッチメディアニッチメディアとは、不特定多数を対象とするマスメディアではない媒体のことです。例えば、会員誌・顧客情報誌・フリーペーパーなどが挙げられます。それぞれのメディアの規模こそ大きくはありませんが、特定の属性のユーザーに絞ってアピールできる、「ターゲティング性」に優れています。メディアミックスの媒体3:デジタルメディアデジタルメディアとは、テレビやラジオのことです。従来から存在するマスメディアであり、不特定多数へのアピール力に優れています。近年、インターネットの存在感が高まっていますが、社会の中で情報インフラとしての地位が確立していますので、主要なメディアであり続けるでしょう。メディアミックスの媒体4:アナログメディアアナログメディアとは、紙面や対面による従来型のメディアのことです。新聞や雑誌は、代表的な従来型の紙媒体で、信頼性や権威性に優れています。近年、マスメディアとしての規模は縮小していますが、多くのコンテンツはインターネットメディアにも配信され、新聞社や雑誌社の影響力は高いままです。ダイレクトメールやテレフォンアポイントメントは、紙面や電話を使った従来型メディアですが、特定の人に働きかける手段として、一定の役割を保っています。街頭や店頭での宣伝は、対面式の従来型メディアですが、特定地域の中でお店や商品の宣伝をするのであれば、シンプルながら効果的な手段となります。メディアミックスの目的とメリット3つメディアミックスの目的とは、複数のメディアでより多く宣伝することです。なぜなら、広告費を1つのメディアだけに注ぎ込むよりも、複数のメディアに振り分けた方が、宣伝効果を上げやすいからです。メディアミックスには、次のような3つのメリットがあります。メディアミックスの目的とメリット1:より多くの客層に訴求できる1つ目のメディアミックスのメリットとは、より多くの客層に訴求できることです。広告・マーケティングの対象となるメディアは様々ですが、メディアによって客層が異なります。例えば、新聞の読者は中高年層やビジネス層、インターネットのユーザーは若い層が多い傾向があります。であれば、どちらかだけに広告を出すより、メディアミックスとして新聞・インターネットの両方に広告を出した方が、より多くの層の人に訴求できます。メディアミックスの目的とメリット2:広告回数を増やせる2つ目のメディアミックスのメリットとは、広告回数を増やせることです。広告の効果を上げるには、人々の広告への接触回数を増やすことが大事です。例えば、ある人が朝の新聞で広告を見て興味を持っても、それだけだとすぐ忘れてしまうからです。ですがメディアミックスにより、朝の新聞で見たのと同じ広告を昼間スマホで、夜にテレビで見たりすると印象に残りやすくなります。結果、その人の購買行動につながりやすくなるといえるでしょう。メディアミックスの目的とメリット3:各メディアで弱みを補える3つ目のメディアミックスのメリットとは、各メディアで弱みを補えることです。各メディアは、それぞれユーザー層が違いますが、メッセージの伝わり方も異なります。例えば、テレビのCMは、短時間に動画・音声・文字を凝縮するので、強いイメージ・インパクトを与えられますが、詳細な情報を伝えにくい傾向があります。対して、新聞広告は、落ち着いて長時間見てもらえるので、より詳細な情報を伝えられますが、強いイメージ・インパクトを与えるのは不得手です。こうした場合、メディアミックスとして、テレビ・新聞の両方で宣伝すれば、双方の弱みを補い合い、より高い宣伝効果が期待できます。メディアミックス事例2つメディアミックスとは、広告用語としても、マーケティング用語としても用いられる言葉です。両者は、複数のメディアを活用して宣伝効果を上げようとするのは同じですが、やや異なる部分もあります。ここでは、それぞれの事例を見てみましょう。テレビCM広告におけるメディアミックスとは、同じ内容の宣伝を、複数のメディアを使って行うことです。例えば、従来、テレビCMはテレビの中だけで流すものでしたが、近年、テレビのCM素材を流用し、ネットやYouTubeにもCMを流すというメディアミックスが行われるようになっています。テレビCMは、商品を不特定多数の人に初めて知ってもらうには最適です。興味を持った人がネット検索し、そのテレビCM動画のあるサイトを見つけたら、立ち止まって、商品情報も詳しく見てくれるでしょう。マンガを実写映画化マーケティングにおけるメディアミックスとは、あるメディアの中のコンテンツを、他の様々なメディアに展開して、収益性の高いコンテンツに成長させることです。例えば、ヒットしたマンガを実写映画化すれば、映像媒体として新たな収益が上がりますし、映像媒体がヒットすればするほど、原作マンガの売り上げ増も見込めます。メディアミックスを上手に組み合わせてみようメディアミックスとは、1970年代後半から広く知られるようになった、すでにオーソドックスな広告・マーケティングの手法です。しかし、近年のインターネットの普及に伴い、メディアミックスの重要性はますます高まっています。今後も、メディアミックスは、インターネットを中心に進化していくでしょう。とはいえ、その流れによって、インターネットメディアだけが力を持つわけではありません。例えば、出版や放送のメディアは、メディアミックスとしてインターネットをさらに活用することで、より優れたコンテンツを生み出せるでしょう。どのメディアにとっても、より良い活動のために、上手にメディアミックスを行うことが求められます。