本来は商品の企画や製造を行わない企業が、最近では自社で企画や製造を行い、販売をするために商品を開発することが増えてきています。このような自社ブランドの立ち上げには、メリットとデメリットがあるので、その両方を把握しておくようにしましょう。自社ブランドとは?自社ブランドとは、小売業者のように本来は商品の企画や製造を行わない企業が、自社で企画や製造を行い、販売をするためにブランド化した商品やサービスのことです。自社ブランドはプライベートブランドと呼ぶこともあり、近年ではコンビニやホームセンターなどの小売店で自社ブランドを取り扱われるようになりました。自社ブランドが誕生した経緯とは?物や情報が溢れるようになった現在において、競合他社と区別化をするために、ブランドの重要性が高まっています。しかし、メーカーのように自社で商品を企画、製造をせず、仕入れた物を販売する小売店では、他店との区別化をすることが難しい部分が多いです。そのため、競合他店との区別化をするために自社ブランドを作り、販売されることが多くなっていきました。メーカーによるブランドとの違い小売店では多くの商品を仕入れて販売をします。その商品はすでに完成された物なので、パッケージのデザインや内容を変えることはできません。また、販売価格もある程度は決められています。しかし、自社ブランドは、自社で企画や製造をした商品です。そのため、メーカーのブランドとは異なり、パッケージのデザインや内容、商品価格などを自社で決めることができます。自社ブランドのメリット9個自社ブランドの商品を取り扱うようになった企業は増えてきています。それだけ自社ブランドを持つことにメリットがあるということです。もし、自社ブランドを持つことを検討している場合には、どのようなメリットが得られるのか把握するようにしておきましょう。自社ブランドのメリット1:生産はメーカーに委託できる製造を行わない企業が自社ブランドの商品を製造しようと思っても、その設備を持っていないということがあります。そのため、企画を自社で行い、生産はメーカーに委託するということもあります。生産をメーカーに任せることで、製品作りのノウハウがなくても、質の高い商品を安定して作ることができます。委託なので製造コストはかかりますが、初期投資の費用を抑えたり、製造現場の管理や維持のコストを削減したりすることが可能になるでしょう。自社ブランドのメリット2:仕入れ価格を安くできるメーカーから出来上がっている商品を仕入れるよりも、生産を委託して製造した自社製品の方が、仕入れ価格を安くすることができます。仕入れ価格を抑えることができるため、自社ブランドを販売することで、高い粗利益を確保することがでるでしょう。自社ブランドのメリット3:流通経路を省略できるメーカーから商品を仕入れる場合、店頭に並ぶまでにはいろいろな流通経路を通過してくる必要があり、また経路が長いと店に届くまでにも時間や費用がかかってしまいます。しかし、自社ブランドであれば独自の流通経路を確立して、無駄な経路を省略することで、流通にかかるコストを減らすことができるでしょう。自社ブランドのメリット4:宣伝効果が期待できる自社ブランドの場合は、自社でパッケージのデザインも自由に決めることができます。そのため、自社ブランドのパッケージには自社のロゴを印刷したり、店内ではPOPで目立つように販売したりすることもできます。自社ブランドでは特別な宣伝をする必要がなく、商品自体に宣伝効果を期待することもできるので、広告費を抑えることができます。また、自社商品の評判が高まると、企業自体のイメージアップにも繋がるでしょう。自社ブランドのメリット5:オリジナルの商品を開発できるメーカーからはすでに出来上がっている商品を仕入れることになります。また、仕入れを行うのは自社だけではないため、在庫や仕入れのスケジュールが不安定になってしまうことがあります。しかし、自社ブランドでオリジナル商品を開発すれば、繁忙期や、開発した商品がヒットした場合でも、安定的に仕入れることができ、また閑散期には生産数を抑えるなどの調整も可能です。自社ブランドのメリット6:同業他社との差別化が図れる自社ブランドの商品はメーカーの商品と異なり、同業他社に卸さないという選択をすることもできます。そのため、その商品は自社でしか取り扱っていないという状況を作ることもできるので、他社との区別化を図ることができます。また、その自社ブランドの商品がヒットすれば、他社では購入できないため固定客を増やしていける可能性もあるでしょう。自社ブランドのメリット7:メーカー側は在庫を抱えなくて済む自社ブランドでは、そのブランドを持つ側の企業だけでなく、そのブランドを委託されて製造する側のメーカーにもメリットがあります。注文を受けてから商品の製造を行うメーカーもありますが、中には在庫を抱えながら製造を行うメーカーもあります。在庫を抱えることには、売れ残りや品質管理などのリスクがあります。しかし、自社ブランドの製造では、品質管理や在庫管理などを行う必要がなくなるため、メーカーの負担が減ります。自社ブランドのメリット8:顧客のニーズを正確に把握できる自社ブランドの商品を他社に卸さない場合は、その販売数を正確に把握することができます。そのため、売上からその商品に対するニーズを把握することもできます。また、自社ブランドの場合は商品の内容やパッケージ、価格などを自由に決めることができるので、自社の顧客のニーズに合わせた商品を開発することが可能になるでしょう。自社ブランドのメリット9:広告宣伝費が節約できる先に述べた通り、自社ブランドの製造は委託される側のメーカーにも得られるメリットがあります。メーカーが製造するナショナルブランドの場合は、その商品の認知を広めるために大きな広告宣伝費が必要となります。しかし、自社ブランドであればその広告宣伝費は必要ありません。広告に関わるコストを抑えることができるのも、自社ブランドが安く仕入れられる理由の1つとなっています。自社ブランドのデメリット4個自社ブランドを取り扱うことで、いろいろなメリットを得ることができるようになります。しかし、自社ブランドを取り扱うことには、メリットだけでなくデメリットもあります。そのため、自社ブランドを持つことを検討している場合は、メリットだけでなく、デメリットも把握しておくことが大切になるでしょう。自社ブランドのデメリット1:小売側の売り上げに影響を受ける委託される側のメーカーは自社ブランドの製造を受けることで、ナショナルブランドのように在庫や品質管理などのリスクを持たなくて済み、収益率は下がるものの、安定的な売上を期待することもできます。しかし、その自社ブランドが、委託側での販売数が伸びなければ、収益率が低い仕事にも関わらず、必要な仕事量を確保できなくなってしまい、売上を落としてしまう原因になる可能性もあります。自社ブランドのデメリット2:クレームに対応しなければならないメーカーから仕入れたナショナルブランドであれば、その商品に問題が起きたときや、問い合わせが必要となったときは、製造したメーカーが対応することになります。しかし、自社ブランドの商品であれば、メーカーに委託をして製造した物であっても、顧客からの問い合わせは、その自社ブランドを持つ企業が対応しなければなりません。そのため、サポートやクレームなどに対応するコールセンターを設置する必要があるでしょう。自社ブランドのデメリット3:委託先への技術やノウハウが流出する危険性がある自社ブランドの製造を委託する場合、その商品に関する情報をメーカー側に渡すことになります。また、メーカー側は自社ブランドの商品の製造工程や、できること・できないことの条件を確認することになります。これらはお互いに技術やノウハウをやりとりすることになるため、その技術やノウハウを社外に出すことで、流出のリスクが発生します。自社ブランドのデメリット4:返品・転売が不可自社ブランドの商品には、自社のロゴや問い合わせ先などが記載されています。また、自社ブランドは他社に卸さないというルールを作っている場合もあります。そのため、これらが理由で自社ブランドの商品はメーカーに返品ができなかったり、簡単に販売チャンネルを変えることができなかったり、転売によって在庫処分をすることが難しい場合もあります。在庫を抱えてしまった場合の、管理や処分を考える必要があるでしょう。自社ブランドの事例4つ自社ブランドを持つ企業は増えています。特に、同業他社と区別化が図りにくいコンビニ業界では、自社ブランドの開発に力を入れてきました。そのため、コンビニ間で自社ブランドによる優位競争が起こり、それぞれのコンビニでは他社に負けないように質の高い自社ブランドが展開されてきました。その結果、コンビニの自社ブランドの認知度は高まり、大きな人気も獲得しています。自社ブランドの事例1:セブンプレミアム(セブンイレブン)セブンプレミアムは、セブン&アイグループの自社ブランドとして立ち上げられました。当時の自社ブランドにはナショナルブランドに類似させて、価格を抑えた物という印象がありました。しかし、セブンプレミアムではメーカーと共同開発を行い、高いクオリティの自社ブランド商品を次々と生み出しました。今では自社ブランドで扱う商品は食料品だけでなく、飲料や洗剤、衣料品など、その幅は非常に広いです。自社ブランドの事例2:ローソンセレクト(ローソン)コンビニは社会の変化に合わせて、求められるニーズも変わってきました。ローソンセレクトでは利便性、規格、品質、美味しいと健康をコンセプトにされていて、働く女性やシニア層のニーズに焦点を当てた商品開発がされています。このような生活者の視点から自社ブランドを展開しているで、コンビニへ入ることに抵抗があった人も、気軽に利用できるようになったのではないでしょうか。自社ブランドの事例3:ファミリーマートコレクション(ファミリーマート)ファミリーマートも、ファミリーマートコレクションという自社ブランドの展開を始めています。ファミリーマートコレクションでは、主に食料品を中心に商品が用意されていて、さらに商品が、レギュラーラインとプラチナラインというグレード分けがされています。また、ファミリーマートコレクションは、利用する側もその良さを認識しやすいように考えられた商品が豊富にあります。自社ブランドの事例4:みなさまのお墨付き(西友)コンビニではありませんが、西友でもみなさまのお墨付きという自社ブランドを展開しています。みなさまのお墨付きという名前の通り、その自社ブランドで商品化されるのは、一般消費者も参加する商品テストに合格した物だけです。また、その合格ラインは高く、支持率80%以上となっています。発売された商品も定期的にテストが行われ、支持率を80%以上維持できなかった物は、改良や販売終了にするなど、徹底されています。魅力的な自社ブランドを確立しましょう同業他社との区別化のために、自社ブランドを立ち上げるという企業も増えています。ただし、自社ブランドを立ち上げても、その商品に魅力がなければ多くの人に利用してもらうことはできません。そのため、魅力的な自社ブランドを立ち上げ、他社のブランドに負けないブランドを確立しましょう。弊社では、マーケティング戦略の立案、各種マーケティング施策の企画や設計・実際の運用、クリエイティブ制作等の支援だけでなく事業開発のご支援も行っています。無料のオンライン相談を実施していますので、マーケティングや新規ブランド立ち上げに課題を抱えている企業様がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。