テクノロジーの進化や政治、経済などの環境変化が目まぐるしい昨今、変化に適応しながら長期的に成長するためにリブランディングを選択する企業が多くみられます。リブランディングは組織全体で企業イメージを再構築する経営戦略です。一度ついた印象を覆すのは容易ではなく、時間を要します。本記事では、どうやってリブランディングを成功させればいいのか、そのタイミングを6パターンに分けて、ブランディングを常にし直す重要性を解説します。加えて、実際にリブランディングを成功させた有名企業8社の実例もご紹介していますので、リブランディングを行なっていきたい企業様はぜひ参考にしてみてください。リブランディングの意味とはリブランディングとは時代とともに変化する顧客や市場の動向に合わせて、すでに持っているブランドを改めて刷新することをいいます。リブランディングはすでに世間に周知されたブランドであっても、時代の変化で顧客層に世代交代が起きたり、新たな市場を開拓する際にターゲットにした顧客層に対して行われます。ブランディングと違い、すでにブランドイメージが世間に根付いているため、ブランドの周知にコストと期間がかからないという点で有効な手段であり、現在さまざまな企業で行われている手法です。ブランディングについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。ブランディングってどういう意味?メリット9つと構築方法を解説!リブランディングを成功させるコツ4選ここからは、リブランディングを成功させるポイントとして4つの視点をご紹介します。すでにブランドを持っている企業は新たにブランドを立ち上げる必要がないため、新規参入した企業より非常に有利です。つまり、コストをあまりかけずにブランディングし直せる点が大きな強みといえます。成功させるコツ1:継続すること継続は力なり」といわれるように、ブランディングの一環としてリブランディングを常に検討し続けることが必要です。リブランディングは、常にブランディングする上で必要な作業の一つと考えることができます。自らのブランドが市場においてどこに位置し、競合はどこにいるのか、問題点はどこにあるのかを常に把握していきます。そして、ブランド価値を高めるプランニングを開始します。このように、リブランディングはブランディングの一部であり、ブランドとは包括的か部分的かに関わらず、常に再構築がされていく存在といえます。成功させるコツ2:既存のブランドの問題点の見直しブランドの問題点を見直して、常に改善を図ることが大切です。例えば、ある老舗が経営期間はとても長く、それなりに店名というブランドも周知されているものの売り上げが上がらない場合は、顧客からの反応がイマイチであると考えられます。こういったとき、市場の動向や競合相手について分析する必要があります。どのように競合相手は顧客から人気を得ているのか、商品やサービスを研究することはリブランディングを成功させる有効な方法の一つです。成功させるコツ3:客観的な視点客観的な視点に立って自らのブランドを見る必要があります。自分のブランドに対するこだわりは、どのような個人・組織においても常につきまとってくる問題です。もちろんこだわりを持つことで、ニッチな商品やサービス提供につながるため、コアな顧客を味方にできる点で必要な感情です。しかし、時として主観的なものの見方は、独善的な指針を生み出すことになるため、顧客のニーズを無視することにもつながりかねません。リブランディングを成功させるために、時には俯瞰したものの見方が必要になることを留意するべきでしょう。成功させるコツ4:効果が無いプロモーションを見直す効果がないプロモーションはすぐに見切りをつけて、新たなプロモーションを作成することが大切です。プロモーションとは、売りたい商品やサービスを広報することをいいます。具体的には、販売の促進を目指す広告やアフィリエイトといった活動を指します。購買促進のためにプロモーションを作成し、売り上げがどのように変化したのか分析します。このときに、プロモーションが商品の売り上げに貢献しなかった場合、新たなコンセプト開発やプロモーションを作成することが大切です。リブランディングを実施するタイミング6選リブランディングのタイミングを6パターンご紹介します。すでに築いたブランドを見直すために、どういったタイミングでリブランディングを実施すべきか例を6つ挙げます。ここで紹介する例がどのように、自分のブランドに当てはまるのか考えながら見てみてください。実施するタイミング1:古くなったブランドの表現を改める古くなったブランドは、表現の仕方を市場の嗜好に合わせて変えることが大切です。例えば、商品が一世代前と感じられるデザインの場合、商品のデザインそのものを顧客の嗜好を調査して改善する必要があります。しかし商品自体に問題がない場合、広報の内容を変えるだけで売り上げが改善することがあります。どのように古いブランドを変えるのかは、競合相手の商品や顧客の嗜好を調査して新しくしていく必要があります。実施するタイミング2:ブランドのポートフォリオの見直しブランドのポートフォリオは、ターゲットにする顧客層や市場に合わせて変更することが鉄則です。ポートフォリオとは、ブランドが持つ価値とはどういったものなのか、ブランドの全体像のことと考えると分かりやすいでしょう。例えば、シニア向けの商品を売っていたブランドがあるとして、急に若者に向けて同じ商品を売り始めたなら、果たして売れるでしょうか。ポートフォリオを見直すというのは、ターゲットにした市場や顧客層に合わせてブランドの内容を変えるということを指します。シニア向けに商品を売りつつ、別に若者に向けた商品をリニューアルすることが必要と分かるでしょう。実施するタイミング3:ブランディングが成功していない時ブランディングが成功していないことが、リブランディングを始める目安になります。「成功していない」というのは、例えばプロモーションを作成したにも関わらず商品の売り上げが上がらない場合や、サービスの利用者が増えないといったような利益に結びつかないときです。こういった状況のとき、上記の例ではプロモーションが成功していないため、商品はそのままでプロモーションを変えるか、顧客層そのものを変更することができるでしょう。実施するタイミング4:市場環境が変化した市場環境の変化に合わせて、ブランドイメージを変えていくことが大切です。時代の変化とともに市場の環境は変わるため、その都度リブランディングする必要があります。自社のブランドの年齢層を広げることで市場を拡大し、市場の動向や顧客層に合わせてブランディングし直しましょう。実施するタイミング5:新規参入する時新たな市場を開拓するとき、リブランディングが必要になります。新規開拓のためにリブランディングした事例として「メニコン」が挙げられます。同社は2018年に1日使い捨てソフトコンタクトレンズ「Magic」のターゲット層を女子中高生にシフトし、プロモーションを展開しました。同商品のイメージを10代の女性に受け入れられるようなデザインのパンフレットを作成し、WEBメディアを新たに立ち上げるなど、各方面で広報を展開しました。このように、新たな市場開拓にリブランディングは欠かせません。実施するタイミング6:将来の方向性や理想をアピールする時リブランディングは、ポジティブな場面でも活用できます。リブランディングは、ブランドが浸透しなかったり、売り上げが上がらないときなど、ネガティブな局面ばかりでなく、ブランディングの成果が好調のときでもさらなる成果を得るために有効です。ただし、リブランディングの結果、成果が低迷することもあるため、注意が必要です。リブランディングの成功事例8選ここからは具体的な社名を挙げて、リブランディングの成功例をご紹介します。ポテトチップスでお馴染みの湖池屋をはじめ自動車メーカーのマツダ、カメラメーカーのニコンなどリブランディングを成功させた大手企業の事例を中心に見てみましょう。リブランディングの成功事例1:湖池屋湖池屋は社長の交代と共にリブランディングを開始しました。湖池屋は、2016年に新社長就任と同じくして新プロジェクトを開始しました。このプロジェクトは、同社の「カラムーチョ」や「スコーン」などと同じく、新たなロングセラー商品の開発を課題に掲げました。リブランディングの成功事例2:ニコンニコンは、時代の流れを見据えたリブランディングを実施してきました。ニコンは競争力強化のため市場環境を分析し、同社のポジションを把握することを常に行ってきました。新しい時代を見据えることで、ニコンの姿勢表明としてブランドシンボルを刷新し、高い品質と革新的な技術といったブランドイメージを確立してきました。リブランディングの成功事例3:ダイワハウスダイワハウスは、創業50周年を迎えると同時にロゴを刷新するリブランディングを行いました。ダイワハウスは、ロゴである「エンドレスハート」を開発しました。このマークは、「人・街・暮らしの価値共創グループ」と将来の方向性の象徴になりました。テレビCM、新聞広告、WEBメディアなどでプロモーションを展開し積極的なリブランディングを行いました。リブランディングの成功事例4:マツダ株式会社マツダは、起死回生のコア層に向けた戦略で不調を脱却しました。スタイリッシュなデザインの車が印象的なマツダ株式会社ですが、1990年代にグローバル100万台目標を掲げ、多種のブランドを展開しました。期待に反し、これは思ったような売り上げにはつながりませんでした。しかし「2%戦略」という名のリブランディングによって、世界シェア2%の顧客層に特化したブランドを狭く展開することで、ブランドイメージの向上に成功しました。リブランディングの成功事例5:ヤンマー株式会社ヤンマーは、創業100周年を迎えリブランディングを行いました。ヤンマーは、パワーショベルや耕作機械で有名な大手機械メーカーですが、創業100周年という節目で「YF2112」という取り組みを開始しました。これは、次の100年を支えるテクノロジーとして、長期視点で環境や持続可能性を掲げたものです。まずは、自社ビルの年間CO2排出量ゼロを皮切りに、次の100年を目指す壮大なリブランディングです。リブランディングの成功事例6:祇園辻利祇園辻利は、創業以来からの商品のパッケージを刷新しました。祇園辻利は、1860年の創業の老舗企業で、創業以来、京都・宇治抹茶にこだわり続けてきました。2011年に商品パッケージをリニューアルし、一枚の紙を折って包み紙兼箱の斬新なデザインを採用しました。同年にグッドデザイン賞も受賞しています。リブランディングの成功事例7:DoveDoveは、単に汚れを落とすだけの石鹸に潤いを与えるというコンセプトを付加したブランディグを行いました。Doveは、1957年に米国で創業した石鹸メーカーです。石鹸をとおして「自分らしい美しさを肯定する」というブランドアイデンティティを掲げ、世界の女性たちから強い支持を得てきました。既成概念に囚われない商品の開発が同社の特徴でしょう。リブランディングの成功事例8:エスエス製薬「ハイチオールC」エスエス製薬は代表商品である「ハイチオールC」の客層を変更することでリブランディングしました。ハイチオールCは、元々男性向けの二日酔い改善薬でしたが、売り上げ低迷を期に女性の美白対策の薬としてリブランディングさせました。同商品に含まれる有効成分「Lシステイン」が美白効果があることから、ターゲットを男性から女性に変更させ、リブランディングを成功させました。リブランディングを成功させようリブランディングは、既存のブランドイメージを変えられるチャンスです。リブランディングは、ブランドのさらなるイメージアップやネガティブなイメージを刷新するために、非常に有効な手段です。また、新規でブランドを立ち上げる企業と比べて、スタートから優位にブランドの定着が可能です。企業利益の拡大のため、ぜひリブランディングの余地がないか確認してみてください。弊社では、動画や各種クリエイティブを活用したブランディング・リブランディングのご支援も可能です。お問い合わせページよりぜひお気軽にご連絡ください。