インバウンドマーケティングとは、「顧客が求めているコンテンツや体験を創出することで、顧客を惹きつけファンに転換していく」ビジネスあるいはマーケティングの考え方のことを指します。ポイントは、顧客が興味を持たない製品・サービスを一方的に売り込むのではなく、あくまでも顧客に取って価値あると考えられるコミュニケーションをもって信頼関係を築いていくことです。顧客の課題解決をベースとして、最終的に組織の貢献(購入・登録など)に繋げます。一方で、テレアポなどのアウトバウンド型営業が定着してしまっており、費用対効果を考えられたインバウンドでの顧客獲得に悩んでいる声もよく聞きます。そこで本記事では、累計500社以上と事業成長のためのプロジェクトを推進してきた弊社の知見を元に、インバウンドマーケティングとはそもそも何かという基礎知識から実践にあたって担当者が意識すべきポイントについて解説します。そもそもインバウンドマーケティングとは何か?インバウンドマーケティングとは、商品やサービスに関連するコンテンツを使い顧客の関心を引き寄せるマーケティング手法です。インバウンドと聞くと、外国人観光客のことを想像する人も少なくないでしょう。外側から内側への動きを指す点では同じです。商品を顧客へ売り込むのではなく、顧客側から商品に興味を持ってもらうマーケティングです。アウトバウンドマーケティングの特徴アウトバウンドマーケティングは内側から外側への営業、つまり顧客の意思とは関係なく売り込むマーケティング手法です。顧客に直接アポイントメントを取る一般的な営業活動はもちろん、TVCMや折り込みチラシなどもアウトバウンドマーケティングです。顧客に直接アプローチできる点では商品やサービスを確実に宣伝できますが、効果は短期的で規模に応じて費用もかかります。アウトバウンドについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。アウトバウンドマーケティングの施策4選|アウトバウンドマーケティングの特徴インバウンドマーケティングとアウトバウンドマーケティングの相違点インバウンドマーケティングとアウトバウンドマーケティングの一番の違いは、情報を顧客みずから選択できるかどうかです。インバウンドマーケティングは商品やサービスに関連する情報をオウンドメディアなどで発信し、顧客が自ら見つけることを「待つ」マーケティングです。顧客に直接働きかけるアウトバウンドマーケティングと比べ、即効性には劣りますが、一度作り上げてしまえば長く利用できてコストもかからない特徴があります。インバウンドマーケティング/アウトバウンドマーケティング即効性低い/高い持続効果長期的/短期的費用低い/高い顧客による情報の取捨選択できる/できないインバウンドマーケティングの6つの展開手法インバウンドマーケティングでは、顧客の購買意欲に応じて段階的にアプローチする手法が有効です。誰もが簡単に情報を手に入れられる現代では、商品やサービスの購入に至るまでのプロセスは長期化しています。インバウンドマーケティングを使って、効果的にオンラインショップの売り上げを上げるためには、顧客にどのようにアプローチすればよいでしょうか。手法その1:ペルソナの設定ペルソナとはターゲットとなる顧客モデルのことです。インバウンドマーケティングでは、商品やサービスを購入するペルソナを設定することから始めます。設定したペルソナをメインターゲットの客層とすることで、インバウンドマーケティングの効果をより引き出せます。手法その2:WEBサイトへのアクセス者を増やすペルソナ自らWEBサイトにアクセスしてくれるように誘導し、アクセス数の増加を目指します。例えば、ペルソナの興味や関心を調査し、自社のオンラインショップとは別に、誰もが閲覧できるトレンドや着こなしを紹介するWEBサイトを作成することで、商品やサービスを知らない層にもアプローチできる場合があります。手法その3:アクセス者を常連さんにするWEBサイトへのアクセスが増加してきたら、常連さんを作ります。WEBサイトをアクセス者にとって興味深い内容にすることで、商品の購入につながります。また、商品を購入することによって、リピーターにつながる場合があります。ペルソナにとって有益な情報を継続して発信し、アクセス者を常連にすることが大切です。手法その4:常連さんに購入してもらう常連さんができたら商品の購入を促す営業努力をします。常連さんの情報や行動を分析し、実際に商品を手に取ってもらえるように購買意欲を高めます。例えば、SNSで「いいね」やコメントがユーザーに多く寄せられた興味が高いアイテムを分析し、常連さんが好みそうなアイテムをSNSで紹介するなどの対応が考えられます。手法その5:購入者をリピーターにするインバウンドマーケティングは購入して終わりではなく、顧客をリピーターに育てることもできます。1度作り上げたコンテンツに加え、購入で得た顧客情報を利用します。例えば、購入に至ったユーザーのEメールアドレスに、アイテムに応じた着こなしを提案するメールマガジンを定期的に配信することで、購入者の好みに応じて最適化された情報を届けることができます。そうすることで、顧客とのつながりを強め、再購入を促す取り組みが可能になります。手法その6:改良すべきところや課題点を探すインバウンドマーケティングは即売り上げにつながる手法ではないので、効果検証と改善点の洗い出しが特に重要です。ペルソナが興味のない情報が増えれば、インバウンドマーケティングは意味のないものになってしまいます。WEBサイトであれば、閲覧数の多いページや少ないページを分析し、すべての情報がペルソナにとって有益な情報になるように改良・改善し続けることが大切です。インバウンドマーケティングにおける4つのメリットインバウンドマーケティングを実施するメリットは大きく4つあります。従来型のアウトバウンドマーケティングと比べるとメリットが良く分かるので、それぞれ解説していきます。メリットその1:土足でお客様の生活に踏み込まない個人情報の問題もありますが、多くの情報が簡単に手に入る現代では、顧客の生活に土足で踏み込むような営業手法は成功しないことが多くなってきました。営業手法によっては、顧客が離れてしまう要因にもなります。メリットその2:コストを削減できるインバウンドマーケティングはコストを削減するメリットもあります。広告・折り込みチラシ・販売員によるセールスなど、アウトバウンドマーケティングにはその都度費用がかかります。インバウンドマーケティングは主にWEB媒体を利用しますが、一度構築してしまえば長く利用し続けられるため、費用が掛かりにくいです。メリット3:ペルソナだけ誘導できるインバウンドマーケティングはペルソナだけにアプローチできるのもメリットです。TVCMや折り込みチラシなど、アウトバンドマーケティングの多くは不特定多数に向けたマーケティングです。これに対してインバウンドマーケティングは、商品やサービスに興味がある人や、潜在的な需要が一致している層に絞れるため、効率的なマーケティング活動が可能です。メリット4:情報が拡散するWEB媒体を利用するインバウンドマーケティングでは、情報が見込み客同士で拡散していく効果も期待できます。一度仕掛けて終わりになりがちのアウトバウンドマーケティングに対し、インバウンドマーケティングで一度構築した仕組みはWEB上に残り続けます。見込み顧客にとって有益な情報であれば、商品やサービスの口コミはSNS等で拡散し、売り上げにつながる可能性もあります。インバウンドマーケティングの手法について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。インバウンドマーケティングのより良い手法とは?成功事例5点と失敗事例インバウンドマーケティングにおける2つのデメリットインバウンドマーケティングは万能ではなく、当然ながら弱点もあります。TVCMや折り込みチラシなどを代表とするアウトバウンドマーケティングがなくならないのは、インバウンドマーケティングでは発揮できない効果があるからです。デメリットその1:時間がかかるインバウンドマーケティングのデメリットは即効性がないことです。例えば、今週中に売れ残った商品100着を処分したいと考えたとき、インバウンドマーケティングでは効果がありません。この場合は、TVCMや折り込みチラシなど、顧客に直接働きかけるアウトバウンドマーケティングのほうが効果的といえます。デメリットその2:レベルの高い情報を発信し続けるインバウンドマーケティングでは質の高い情報を継続して発信する必要があります。オウンドメディアやSNSを通じて発信する情報も、発信頻度が低い場合や、ペルソナにとって有益でないと判断されれば、顧客は離れていってしまいます。一度仕掛ければ効果の出やすいアウトバウンドマーケティングと比較すると、費用は掛かりにくいものの、長期的な労力は必要ということです。インバウンドマーケティングに特に役立つ5つのコンテンツ主にWEB媒体を利用するインバウンドマーケティングですが、効果を上げやすい5つのコンテンツがあります。それぞれの特徴を理解して、自社の商品やサービスに最適なコンテンツを選びましょう。役立つコンテンツその1:ブログブログはペルソナに幅広くアピールできるコンテンツです。既存顧客はもちろん、商品やサービスを知らなくても潜在的なニーズが一致しているペルソナにもアピールできます。例えば、ペルソナが好む着こなしやトレンドを紹介するブログを開設すれば、ブログのファンをつくれる可能性があります。ペルソナと企業をつなぐファーストステップとしてもブログは有効です。役立つコンテンツその2:SNSTwitterやFacebookなどのSNSは、顧客が情報を取捨選択して閲覧するコンテンツです。見たいときに見るSNSは、情報をよりダイレクトに顧客へ届けられます。また、フォローや「いいね」などを通して顧客とコミュニケーションを簡単に取れるため、顧客から情報を収集するツールとしても役立ちます。役立つコンテンツその3:動画動画は分かりやすく感覚的に商品を紹介できるコンテンツです。視覚・聴覚を通じて訴求が可能なため、文字媒体よりも興味を引きやすく、感覚的に分かりやすく情報を提供できます。作成した動画はブログとSNSと組み合わせて情報発信すればより効果的です。役立つコンテンツその4:メールマガジンメールマガジンはペルソナごとに有益な情報を絞り込んで提供できます。もともとペルソナに寄り添う方法で展開するインバウンドマーケティングですが、個人ごとに配信するメールマガジンはペルソナの求めている情報を厳選して提供できます。例えば、オンラインショップで購入された商品ごとに、コーディネートの提案をメールマガジンで行えば、より効果的な情報提供になります。役立つコンテンツその5:SEO対策WEB検索で簡単に情報が手に入る現代だからこそ、SEO対策は重要です。ペルソナが検索するキーワードを検索サイトで上位表示できれば、自社の商品やサービスを効果的に世に広められます。例えば「30代 ワンピース」といったキーワードで検索したとき、オウンドメディアが上位表示されれば、ペルソナとかぶる層が知るきっかけを作れます。インバウンドマーケティングで集客と売上を増加させよう!情報が簡単に手に入る現代において、集客や売り上げを増加させるにはインバウンドマーケティングは必要不可欠です。インバウンドマーケティングのメリットとデメリットを理解した上で、自社にマッチした方法を選択し、アウトバウンドマーケティングと上手く見合わせる視点も必要です。弊社では、マーケティング戦略の立案や各種マーケティング施策の企画や設計・実際の運用のご支援も行っています。無料のオンライン相談を実施していますので、マーケティングに課題を抱えている企業様がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。