あなたはマーケティング研修に参加したことはありますか。多くの会社や組織が、社員の能力向上や業績アップのためにマーケティング研修を用意しています。この記事では、そうした研修を受けるメリットや活用法について解説しております。興味のある方は参考にしてみてください。マーケティング研修とはマーケティングを学ぶ方法は様です。専門の学校に入る、書籍やビデオで独学する、など個人で勉強する方法がすぐに思いつきますが、コストがかかるだけでなく実践的な理解が難しかったり、モチベーションの維持が困難な場合もあります。組織に属する人であれば、会社など組織内での研修を受講することができます。所属企業によって制度に差はありますが、マーケティング研修には独学に比べ多くのメリットが得られるでしょう。この記事ではそうしたマーケティング研修を受講することで得られるメリットや主な内容、活用法などを解説していきます。マーケティング研修の目的2つマーケティングについて学習するだけなら、参考になりそうな本を読んだり、通信講座やセミナーを受講するという選択肢もあります。そうではなく、多くの企業が社員に対しカリキュラムを組み、社内研修という形でマーケティングを学ぶ機会を設定しているのは、次に示すような二つの目的があるからです。社内コミュニケーションの確立企業の組織は営業、企画、総務、人事、広報のように部署ごとに分かれ、分業化されています。日常の業務はそれぞれのセクションにおいて行われますので、普段は他の部署が具体的にどのような動きをしているのか、あまり意識することはありません。マーケティング研修の場では、そうした様々な部署の人間が「マーケティング」という共通のテーマの下で、リアルな場、もしくはリモートで一堂に会します。そこでは組織横断的なコミュニケーションが発生しますので、自分にない発想や視点を知ることができ、また情報の共有を図ることが可能となります。マーケティングという共通の視座でそれぞれの立場からアプローチすることにより、全社一体としての取り組みをシミュレーションで体験できるという利点もあります。社内会議議論の質の向上社内会議の場では様々な議論が交わされますが、前提として参加者の知識のレベルが揃っていないと時間を浪費したり、考えをうまく言語化できず相互理解が進まないなどのデメリットが生じます。マーケティング研修を通じて社員が考え方のフレームを共有し、ロジカルな思考のテクニックを習得することで、それが社内での議論におけるレギュレーションとなり、望ましい議論を行うための基盤が形成されます。これによりマーケティング思考の共通化が図られ、具体的かつ実践的に組織の集合知を形成するプロセスが実現し、会議が無駄なくスピーディに進められるようになるのです。マーケティング研修を受けるメリット3つマーケティング研修を受けることで得られるメリットはいくつかあります。企業側・受講者側の双方にとって有意義なものですが、ここでは個人のビジネススキル向上に資するメリットとして以下の3つについて説明します。マーケティング研修を受けるメリット1:マーケティングの基礎を学べるマーケティング研修を受けるメリットの1つ目は、マーケティングの基礎を学べることです。マーケティングという言葉は一見わかりやすいように思われますが、それが含む内容は広く深いものです。マーケティング研修では、マーケティングに関する様々な概念やフレームの考え方を網羅的かつ体系的に理解していきます。これまで業務をなんとなくの経験や勘、個人的な洞察といった「暗黙知」で進めていた人でも、研修を通じて「形式知」として理解できるようになります。「形式知」として標準化された基礎知識は、今後別の部署に異動したり、あるいは転職した場合でも活用することが可能となります。マーケティング研修を受けるメリット2:フレームワークを理解できるマーケティング研修を受けるメリットの2つ目は、フレームワークを理解できることです。マーケティングの世界では、過去多くの研究者や実践家が積み上げてきた多くの知見、フレームワーク理論が存在します。これらのフレームワークの目的や特性、使い方をマーケティング研修で学び、さらにケーススタディや自社の場合に当てはめて演習を行うことで、より実践的な理解を深めることができます。マーケティング研修を受けるメリット3:モチベーションを維持できるマーケティング研修を受けるメリットの3つ目は、モチベーションを維持できるという点です。コロナ禍の影響で、実際に参加者が一堂に集合してのマーケティング研修が実施されにくくなっています。それでも、会する人数を制限し座席間の距離を取ったり、またオンラインを活用するなどの対策を講じて、研修というスタイル自体は否定されません。その大きな理由のひとつに「モチベーションの維持」があります。マーケティング研修では講師からアウトプットに対するフィードバックがなされ、自社の状況に合わせた具体的な議論やファシリテーションを体験することができます。不明な点や疑問を講師に質問したり、職場の仲間と相互に啓発しあいながら研鑽を積むという集合研修での経験は、1人で学ぶ場合に比べはるかに「やる気」が継続します。マーケティング研修で学ぶ主な内容8つマーケティング研修では、先人の知見の結晶である汎用的なフレームワークを学び、チームの共通言語として理解を進めていきます。フレームワークはロジカルに物事を考えるうえで有効に活用できるものです。この章ではその主要なもの8つを紹介します。マーケティング研修で学ぶ主な内容1:3C分析3C分析とは、「Customer(顧客・市場)」「Company(自社)」「Competitor(競合他社)」の頭文字である3つのCの観点から行う分析フレームです。「己を知り敵をしれば百戦危うからず」という言葉がありますが、まず主戦場となるマーケットの市場規模や顧客特性、成長性などを十分調査して把握する必要があります。その上で、競合となる企業や商品のシェア、ポジショニング、強みと弱みを分析します。そして自社の経営資源を考察し、市場というフィールドでどのような展開をすれば優位性が保たれるかを戦略的に考えるのです。マーケティングとは「Market+ing」という字が示す如く、市場の現状を正確に認識するところから始まります。そのために3C分析は欠かせないツールです。マーケティング研修で学ぶ主な内容2:SWOT分析SWOT分析は、マーケットにおける外部環境要因と自社の内部環境要因を、2×2のマトリクスで考察する分析手法です。自社の「強み=Strengths」と「弱み=Weaknesses」を縦軸に、「機会=Opportunities」と「脅威=Threats」を横軸に設定し、得られる4つの象限の中身を具体的に検証していきます。この分析を通じて、今後の市場に対して自社の強みを活かし、弱みを補完するために何が必要か、ロジカルに認識することが可能となるのです。マーケティング研修で学ぶ主な内容3:4Cについてハーバードビジネススクールのマッカーシーが唱えた「4P」理論(Place/Price/Product/Promotion)というベーシックなマーケティング理論があります。これを補完する新たなフレームとして、90年代初頭に広まったのが「4C」です。価値(Customer value) 、コスト(Cost)、 利便性(Convenience)、 コミュニケーション(Communication)の頭文字をとったもので、商品・サービスを提供する側から考察する4Pに対し、4Cは享受する利用者の立場からマーケティングミックスのあり方を考えます。マーケティング研修で学ぶ主な内容4:STPについてSTPは、マーケティングの権威として知られるフィリップ・コトラーが提唱したことで有名なフレームワークです。まず、上述した3CやSWOTを用いて市場とポジションをある程度把握します。次に、STP、すなわちSegmentation(セグメンテーション=市場のさらなる細分化)/Targeting(ターゲティング=狙っていく顧客像の絞り込み)/Positioning(ポジショニング=どのような立ち位置で市場優位性を実現するか)を冷静に設定します。このSTPを前章で解説した4Cと組み合わせて、マーケティングの具体的な構造を設計することになるのです。マーケティング研修で学ぶ主な内容5:AIDMAの心理プロセスAttention=注意→Interest=興味→Desire=欲望→Memory=記憶→Action=行動、の頭文字をつないだAIDMAは、消費者の購買意思決定プロセスを説明するものとしてよく知られた理論です。店頭や広告、営業資材などでまず消費者の注意をひき、興味・関心を持たせて「手に入れたい」という感情を惹起させ、覚えてもらって購入につなげるという一連の流れを表しています。4Cで設定した価値やコスト、利便性などの特性を、消費者や購買担当者とのコミュニケーションにおいていかに設計するかが中心となっていきます。マーケティング研修で学ぶ主な内容6:AISASの心理プロセス2000年代に入り、購買行動においてネットでの検索が当たり前の時代になると、前述のAIDMAをバージョンアップさせた、AISAS理論が登場しました。AISASは、購入する側の心理がAttentionからInterestに遷移したのち、商品・サービスの提供者にアクセスするよりも先に、Search=検索を行うプロセスを重視しています。そしてその結果、実際のActionをどうとったかについて、SNSで感想を書き込む、またはブログにレポートをアップするなどShareするところまで視野に入れています。そのためマーケティングにおいては、以前よりも消費行動がオープンになり、広く共有されることを前提として検討する必要が生じています。マーケティング研修で学ぶ主な内容7:4P戦略とは「4C」を解説したパートで、(Place=場所/Price=価格/Product=製品・サービス/Promotion=広報宣伝)の4つで構成されるマッカーシーの4Pについて触れました。マーケティングの世界では古典的なセオリーとして有名ですが、この4つは「マーケティング・ミックス」とも呼ばれ、それぞれの要素が整合性をもって関連しあうことで、最適な効果を発揮するものです。4Cと合わせて、供給する側と購入する側の両側面からビジネスを考えることが大切です。マーケティング研修で学ぶ主な内容8:PDCAサイクルここまではマーケティングを設計、展開するために用いられるフレームワークを紹介してきました。最後にご紹介するのは、マーケティングの戦略を検証するためのツールです。PDCAサイクルと呼ばれるこの理論はPlan→Do→Check→Actionの4要素から成ります。まず、Planで目標を定め、計画を設計します。次に、Doの段階で実施、行動し、途中段階で目標へのズレが生じていないか、効果が出ているかなどをチェックします。軌道修正が必要な場合にはActionを起こして望ましい方向に計画を修正していきます。サイクルと呼ばれるのは、このPDCAがスパイラル状に継続していくからです。小さな見直しから戦略段階の修正まで、マーケティングは常にPDCAの視点で検証していくことが求められます。マーケティング研修の受け方2つ組織が主催するマーケティング研修には、社内のノウハウやリソースを用いたり、講師を招聘して実施するなど企業内部で行う方法と、企業が費用を負担して社外で行われるセミナーや講座を受講させる方法の2つがあります。ここからは、その2つの方法について、具体的にご説明していきます。社内で受ける場合社内でマーケティング研修を受ける場合は、主催する企業側が行う制度設計に基づいて実施されます。新人、中堅、マネジメントなどの各層に応じてカリキュラムが組まれ、研修内容や目的に沿ってメニューが用意されます。仕事の一環として上位職者から参加を指示されますので、日常の業務とは別に時間を取って行われるのが普通です。場所も社内の会議室だけでなく、専用のルームや研修施設を使用する場合があります。また、集中して実践的な戦略を立てる場合には、数日にわたり宿泊研修を実施することも珍しくありません。ただし昨今では、コロナ禍の影響でリモート技術を利用したeラーニングなども増えています。社外で受ける場合社外研修には、会社が示した外部の講座の中から希望するものを選んで参加する場合と、受講したい講習会のコースや研修商品を会社に申請して受講する場合の二通りがあります。外部機関が行う研修メニューには様々なものが用意されており、自分の属する業界や職位、職種に適合するものを会社と相談しながらうまく選ぶ必要があります。費用の相場は受講時間にもよりますが、1人当たり1万5千円から3万円程度のものが主流です。複数日にわたったり、宿泊を伴う場合には10万円前後と高額になることもあります。マーケティング研修で習得したことを活かすために行うべきこと4つマーケティング研修は受講したらそれで完了、ではありません。むしろ習得した理論や技術を活用して、今後に活かすことこそが本来の目的です。便利で優れた道具でも、使い方や用いる人の心がけ次第で発揮できる力が異なってきます。望ましい活用のために、行うべきことを以下に4つ紹介していますので、ぜひ参考にしてください。行うべきこと1:新たな業界への専門知識の習得行うべきことの1つ目は、新たな業界への専門知識の習得です。企業におけるマーケティング研修ではほとんどの場合、自社に関係する分野、カテゴリーに基づいてカリキュラムが設計されます。そのため、セオリー自体は汎用性が高くても、専門性という観点ではなかなか新しい知見を得にくいものです。また、技術の進展と共に業際化が進む現代では、自分の属する狭い分野の知識だけ習得していれば事足りる、というわけにはいかなくなっています。組織としても個人としてもさらなるビジネスパワーを向上させるために、これまで知らなかった新たな業界の専門知識を得ることは、マーケティング能力を補完し強化することにつながります。行うべきこと2:消費動向や競合企業の特性のデータ精査能力の向上行うべきことの2つ目は、消費動向や競合企業の特性のデータ精査能力の向上です。研修で学ぶ各種のセオリーは、言ってみれば標準化された箱です。そこにどのような情報をインプットし、分析を通じてどのようなアウトプットを取り出すかは、扱う人の能力によって変わってきます。より精緻で的確な成果物を得るためには、適切にデータを選択し、精度の高い情報をインプットしなければなりません。優位性のある情報を見極め、分析することができるよう日頃からあらゆる情報源に接して能力を磨いていくようにしましょう。行うべきこと3:データで見えてこない側面を見通す能力を付ける行うべきことの3つ目は、データで見えてこない側面を見通す能力を付けることです。分析や考察においてデータは非常に重要ですが、数字だけに頼っていると見えてこない側面があることも忘れてはなりません。例えば、現場の販売員のなかには、購入者自身も気づいていないニーズを接客や会話の中から掘り起こし、意外な商品をお勧めしてお客様に感謝される、という人が時々います。なぜそのようなことができるのでしょうか。それは、お客様が発する声や表情などの情報も総動員して、隠された本当のニーズを見通すことができているからです。以上のように、世の中の動向を数字だけでなく、定性的な情報からもつかむことを意識するだけでも、能力が向上していきます。したがって、見聞を広め、街に出てよく遊ぶことも大切なのです。行うべきこと4:統括的な判断力を付ける行うべきことの4つ目は、統括的な判断力を付けることです。マーケティング研修では、多くのフレームや理論を学びますが、それぞれの知識はパーツ、断片に過ぎません。紹介したセオリーやノウハウも、有機的に組み合わせることでより強力なツールになり得ますが、そのように使いこなすためには全体を見通す統括的な視点が必要です。優秀なマーケターは、小さな発見・発想を糸口に緻密な計画を立てていきます。それを可能にするのは、細部を統括して結びつける判断力であり、それを養うためにも、実地での経験の積み重ねといった鍛錬は欠かせません。マーケティング研修で基礎を学ぼういかなるビジネスや部署においても、マーケティングの発想や考え方は大事です。上手に活用できれば、能力を何倍にもすることができ、時間も短縮することが可能になります。そのためには、マーケティング研修の制度をうまく使ってまず基礎を学んでいきましょう。必ず今後のステップアップに資するものとなるはずです。弊社Start-Xは総合的なマーケティング支援を得意としております。他のマーケティング支援会社と比較すると、コストパフォーマンス高く支援可能なメニューが多くございますので、何かお困りごとがございましたらお気軽にお問合せください。ご相談はいつでもオンラインで無料でご対応可能です。