情報整理、分析、戦略立案などで活用できる思考の枠組みである「フレームワーク」。フレームワークを通じてマーケティング特有の思考パターンや分析手法を身につけることで、効果的な施策を講じることができるようになります。マーケティングでも戦略の土台ともいえるフレームワークがあることをご存じですか?ここではビジネスを行う上でとても役に立つ28のマーケティングフレームワークを紹介します。場面によって適切なフレームワーク使い分け、効率よく仕事を行いましょう。マーケティングフレームワークとはマーケティングフレームワークとは、マーケティング戦略の土台となるものです。ビジネス上、「次に何をすればいいのか」を視覚的にわかりやすくまとめたものを、マーケティングフレームワークといいます。ここでは初心者でもおすすめのフレームワークを紹介していきます。マーケティングフレームワークの必要性マーケティングフレームワークが必要な理由は、「顧客のニーズを把握するため」です。フレームワークを使うことでターゲットが求めるモノを素早く把握・分析できます。また、論理的に考えられているので説得力を持たせることができます。戦略立案のためのフレームワーク12選ここからは、マーケティング戦略を立てるときに重要になる12のフレームワークを紹介します。これから示す戦略策定ツールは、自社を取り巻く内部環境と外部環境を分析する方法として使われます。それでは実際にマーケティング戦略立案のためのフレームワークとその使い方を見ていきましょう。戦略立案のためのフレームワーク1:SWOT分析SWOTとは、強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)の単語の頭文字を取ったものです。強み・弱みである内部環境と機会・脅威である外部環境を組み合わせて分析するマーケティングフレームワークで、これを用い、自社の状況を客観的に見ることで今後どうすればいいか戦略を立てられます。また、これらを掛け合わせることも可能です。戦略立案のためのフレームワーク2:バリューチェーンバリューチェーンを直訳すると、価格連鎖となります。仕入れから販売までのマーケティング活動の流れを分類し、それらのどの過程で価値が生み出されているかを分析する方法をバリューチェーン分析といいます。これによって自社の強みや弱みを明確にし、利益を改善していきます。戦略立案のためのフレームワーク3:PPM分析PPMとは、プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントの頭文字を取ったもので、グラフによってあらわす分析の仕方です。縦軸を市場の成長率、横軸を市場占有率として置き、各事業を「花形」「問題児」「金のなる木」「負け犬」の4つに分類します。花形は成長率・占有率両者とも高いことを意味し、負け犬はどちらも低いことを意味します。このグラフ内に事業や商品を分類し、経営資源を配分していきます。戦略立案のためのフレームワーク4:4P分析4P分析とは、製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、販売促進(Promotion)の4つの視点から分析することでマーケティング戦略を考えるフレームワークです。何を、いくらで、どこで、どのように売るかということを、企業側の立場になって考えます。この4つを組み合わせながら戦略を立てていきます。そのため、これらのバランスを考えることが重要になります。戦略立案のためのフレームワーク5:4C分析4C分析とは、顧客価値(Customer Value)、経費(Cost)、顧客の利便性(Convenience)、コミュニケーション(Communication)の4つの視点から分析するマーケティングフレームワークです。4P分析と違うところは、「消費者側」の視点で分析するということです。買う側の立場に立つことで、それが買い手に受け入れられるものかを見極めることが可能になります。戦略立案のためのフレームワーク6:3C分析3Cとは、市場や顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)を意味します。自社と外部環境との関係性を照らし合わせて、他社との差別化を図ることが目的のマーケティングフレームワークです。まずは顧客視点で考えることが重要です。強みや弱みが論理的に分かるため、具体的に何をすればいいか対策案が見えてきます。戦略立案のためのフレームワーク7:PEST分析PEST分析とは、政治的(Politics)、経済的(Economy)、社会的(Society)、技術的(Technology)という単語の頭文字を取ったものです。この4つの要因を調べ、最新の顧客のニーズに対応できるようにすることが目的です。企業を取り巻く環境は絶えず変化しているため、その時々のトレンドに対応するにはどうすればいいか考える必要があります。戦略立案のためのフレームワーク8:5フォース分析5フォースとは、「業界内の競争」「新規参入の脅威」「代替品の脅威」「売り手の交渉力」「買い手の交渉力」という5つの力から業界の収益を分析するマーケティングフレームワークです。5つの力関係が強ければ強いほど収益力が弱くなります。この5つの競合要因を分析することで競合の優位性を把握でき、自社の強化すべきところ、何をチャンスとするかということが明確になります。戦略立案のためのフレームワーク9:VRIOVRIO分析とは、経済価値、希少性、模範困難性、組織(Value、Rarity、Imitability、Organization)という英単語の略で、4つの要素から成り立っています。それぞれの要素を持っているか?という問いにYesかNoかで答えることで、競争劣位、競争均衡、一時的な競争優位性、持続的な競争優位性のどれかに分析できます。この分析で自社を取り巻く環境の理解を深めることが可能になります。戦略立案のためのフレームワーク10:STP分析STPとは、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングという単語の略で、「誰に・どのようにして売るか」を分析するマーケティングフレームワークです。セグメンテーション(市場細分化)で市場や顧客の洗い出しを行い、ターゲティングで狙うべき市場を決め、ポジショニングで自社の立ち位置を決定します。戦略立案のためのフレームワーク11:ビジネスモデルキャンバスビジネスモデルキャンバスとは、ビジネスモデルの重要な要素を9つに分けて図示したものです。これにより、ビジネスモデルを視覚的に理解できます。具体的に挙げると、「顧客、価値提案、チャネル、顧客との関係、収益の流れ、キーリソース、主要活動、キーパートナー、コスト構造」の9つです。今まで可視化できていなかった部分が見えてくるため、何が重要で、何が足りないのかを一目で確認することが可能になります。戦略立案のためのフレームワーク12:TOWSTOWS分析とは、クロスSWOT分析のことです。一番初めに記述したSWOT分析の要素を掛け合わせることで視野をさらに広げられます。例えば、強み×脅威では自社の強みを活かして脅威に対処するマーケティング戦略を考えたり、弱み×機会では自社の弱みを克服することで機会をつかむ戦略を考えたりします。こうすることで優先順位がはっきりとし、行動に移すことができます。ロジカルシンキング系フレームワーク5選ここからはロジカルシンキング系フレームワークを5つ紹介します。ロジカルシンキングとは筋道を立てながら物事を考える方法で、論理的思考とも呼ばれます。ロジカルシンキングにより物事を客観的にとらえることで、マーケティングを展開できます。それではロジカルシンキングに役立つフレームワークをみていきましょう。ロジカルシンキング系フレームワーク1:ピラミッドストラクチャー最初のマーケティングフレームワークは、ピラミッドストラクチャーです。ピラミッドストラクチャーとは、伝えたいことを頂点としてピラミッドのように根拠を書いていくフレームワークです。まず論点を書き、そこからなぜ?どのように?といったことを加えていきます。情報を論理的に整理できるため、相手に伝わりやすくなり、説得力も上がります。ロジカルシンキング系フレームワーク2:5W1H続いては5W1Hです。5W1Hとは、いつ(When)、どこで(Where)、誰が(Who)、何を(What)、なぜ(Why)、どのように(How)を示す言葉です。この言葉は聞いたことがある人が多いのではないのでしょうか。実はこれはマーケティングの基本で重要なフレームワークです。これらに沿って一つずつ書いていくことで、まとまったわかりやすいアイデアを生み出すことが可能になり、相手に伝えやすくもなります。ロジカルシンキング系フレームワーク3:As is/To beAs is/To beとは、As is(現状)とTo be(あるべき理想の姿)を比較して問題解決を図るフレームワークです。まずは理想を書き出し、その次に現状を書き出します。理想と現実のギャップが目に見えて分かり、今の自社の状況と問題点を可視化できます。ロジカルシンキング系フレームワーク4:ロジックツリー次はロジックツリーです。直訳すると「論理の木」という意味ですが、これは問題点をツリー上に分けていく方法です。左から右へ行くごとに細分化されていきます。こうすることで問題点の全体像を把握でき、1つの物事をあらゆる視点から分析することが可能になります。またプラスかマイナスかが一目でわかるため問題点を見つけやすく、優先順位をつけて考えることもできます。ロジカルシンキング系フレームワーク5:MECEMECEとは、相互に、重複せず、全体的に、漏れがないという意味の(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)単語の頭文字を取ったものです。漏れもダブりもないことを表しています。このフレームワークでは、3C分析やSWOT分析などを用いることがあります。このように、他のマーケティングフレームワークと合わせて分析するやり方もあります。データ分析を行うフレームワーク6選ここからはデータ分析を行うフレームワーク6選を紹介します。マーケティング戦略を立てる際にデータを用いて、より具体的な分析をするためのフレームワークです。データ分析をすることにより、買い手の行動パターンを把握したり自社の問題点が明らかになったりします。それではマーケティングで使えるフレームワークをいくつか見ていきましょう。データ分析を行うフレームワーク1:コホート分析コホートは「仲間・集団」を意味する言葉です。マーケティングにおいてのコホート分析とは、ユーザーをグループごとに分けて、サイト内でのユーザーの行動を分析する方法です。それぞれのユーザーの行動パターンが分かり、獲得したユーザーが再訪したかを表す「ユーザー維持率」を調べることが可能です。また、この分析で将来的な行動パターンも予想できます。データ分析を行うフレームワーク2:クラスター分析クラスター分析は階層的クラスターと非階層的クラスターの2つに分けられます。階層的クラスターとは対象に近いものを集めて、最終的に一つのクラスターにまとめることです。非階層的クラスターとはあらかじめ設定しておいたクラスターに所属するよう全体を分割することです。この分析法ではそれぞれのクラスターに合った情報を提供できます。データ分析を行うフレームワーク3:デシル分析デシルという言葉にはラテン語で「10等分」という意味があります。デシル分析とは、顧客の購入金額を高い順に並べていき、それらを10等分して分析する方法です。購買金額の比率を調べるため、有益な情報を得ることが可能です。シンプルな分析なので、短時間で実践できます。マーケティングをする上で効率のいいフレームワークといえるでしょう。データ分析を行うフレームワーク4:アトリビューション分析アトリビューション分析とは、簡単に言うと「間接効果」という意味です。サイトの閲覧者が実際に商品を買ったというアクションだけでなく、すべての接触したメディアにおいての貢献度を分析する方法です。メリットは、適切な予算配分の判断と、マーケティング全体を最適化することも可能になります。データ分析を行うフレームワーク5:RFM分析RFM分析とは、最新購入日、購入頻度、購入した金額を表す単語の頭文字を取ったものです。3つの視点から顧客をグループ分けし、それぞれのグループの性質を知ることで適切なマーケティングの対策を行うフレームワークです。デシル分析は購入金額のみで分析するため簡単にデータ分析ができますが、3つの視点から考えるRFM分析の方がさらに正確にデータを集計できます。データ分析を行うフレームワーク6:ヒューリスティック分析ヒューリスティックには「発見を助ける」「経験則」といった意味があります。分析する専門家の経験値だけで分析していくため正確性には欠けますが、費用削減や時間短縮につながります。正しい分析結果を出すために、知識の豊富な専門家に依頼したり事前に目的や条件をきちんと把握したりということがマーケティングにおいて重要になります。目標達成・計画実行を行うフレームワーク5選ここでは、マーケティングにおいて目標達成や計画を実行する際に役立つフレームワークを5つ紹介します。マーケティングを行うときに、まず目標を立てるのは重要です。それでは実際に目標達成と計画実行を行うフレームワークを詳しく見ていきましょう。目標達成・計画実行を行うフレームワーク1:ガントチャート初めに紹介するマーケティングフレームはガントチャートです。これはプロジェクトの進捗状況を管理するフレームワークのことで、作業計画を視覚化するために使われます。横軸に日付、縦軸に作業項目を並べます。プロジェクトが計画通りに進んでいるか一目で分かり、スケジュール調整も適宜行うことが可能です。目標達成・計画実行を行うフレームワーク2:KPTKPTとは継続すべきこと(Keep)、改善すべきこと(Problem)、新しく試すべきこと(Try)という3単語の頭文字を取ったものです。仕事の振り返りをする時に使われるフレームワークです。1つのプロジェクトが終わったら振り返り、この3つについて書き出します。よかったこと・悪かったことを分析し、そこから次にどんなアクションを起こすかを決めていきます。具体的に書き出すことで効率よくマーケティングができます。目標達成・計画実行を行うフレームワーク3:PDCAPDCAは、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Action)を表すフレームワークです。マーケティング分野だけではなく幅広い分野で使われています。このPDCAでは評価を行い、振り返ることが大切です。また「PDCAサイクル」とも言われるように、繰り返し行うことで効果がでてきます。目標達成・計画実行を行うフレームワーク4:SMARTSMARTとは具体的(Specific)、測定可能(Measurable)、達成可能(Achievable)、関連性がある(Related)、期限がある(Time-bound)という意味の言葉です。このフレームワークはマーケティングで多用されます。この5つを重視して目標設定を行いましょう。このような条件をつけることで明確な目標を設定し、実行できます。目標達成・計画実行を行うフレームワーク5:マンダラマンダラとは、3×3のマスで構成されるフレームワークです。中心に課題を書き、その回りに解決策や要点などを入れていきます。これによって全体のバランスが取れ、階層化した情報を一目で把握することが可能になります。シンプルですが、マーケティングを行う上でとても便利なフレームワークです。用途に合ったマーケティングフレームワークを活用しようここまでたくさんのマーケティングフレームワークを紹介してきましたが、いかがでしたか?これらのフレームワークを用いて分析や問題解決を行えば、戦略を手助けすることになるでしょう。場面によって適切なマーケティングフレームワークを使い分け、仕事を効率的に行いましょう。弊社では、企業のマーケティング・ブランディング・クリエイティブ制作のご支援も行っております。多くの企業でマーケティングや事業成長に成功しています。ぜひ各種クリエイティブ活用したマーケティングやブランディングによる売上増加を狙いたい企業様はお気軽にお問い合わせください。マーケティングを中心に、EC・D2Cのブランド成長、クリエイティブ制作、およびビジネスで役に立つ「フレームワーク集」等の資料を「個人情報入力不要」で無料で公開しております。