企業がステークホルダーと長期的に良好な関係を築くために必要になるのがブランド戦略です。そこで今回の記事では、ブランド戦略立案のポイントや戦略策定の方法5選と策定のメリットを解説していきます。ブランド戦略立案に大切なポイント3つを押さえ、ターゲットを設定し、自社の強みを分析し、強みを生かしたブランドアイデンティティを決めることで、ブランド戦略を成功させましょう。その成功が会社の商品の差別化につながり、安定した利益と競争力を生み出すでしょう。ブランド戦略の意味とは「ブランド戦略」とは、ある商品銘柄を聞いた時に、ユーザーが頭の中に共通の良いイメージを思い浮かべるようにするための戦略です。例えばIKEAに「機能的で使いやすい、デザイン性があり手頃な値段」といった良いイメージを持っているユーザーは、ソファーが欲しくなった時はIKEAでの購入という選択をするでしょう。ブラントイメージを良くすることで、無数にある商品の中から自社商品の差別化を図り、ユーザーに選んでもらうための戦略と言ってもよいでしょう。戦略立案のポイント3つブランド戦略を立案する際は、ポジショニング、一貫性、インパクトの3つのポイントを押さえておきましょう。よい商品さえ作っておけば売り上げはついてくる、という考えはこの情報社会では通用しなくなっています。価格競争に巻き込まれ、埋もれてしまう可能性があります。逆にブランド力のある商品は長期的で安定した売上と集客が見込め、余裕のある値段設定ができます。上記3つのポイントを押さえ、ブランド戦略をぜひ成功させましょう。戦略立案のポイント1:ポジション決定ブランド戦略において重要なのは、自社のブランド商品がその市場の中で、ユーザーのインスピレーションにすぐ浮かぶような、独自のポジションを築くことです。Seriaは可愛いインテリアやハンドメイド商品を多く提供することで、100均市場で「品質がよくコスパが良い」、さらに「おしゃれで可愛い」というポジションを獲得しました。自社の強みをよく知り、誰に、どんな規模で、どのように提供するかのポジションを決定しましょう。戦略立案のポイント2:一貫性企業が様々なブランド戦略を打ち出す時、ブランドから発信されるコンセプトに一貫性がなければ、ユーザーは一定のイメージが持てず、離れてしまう可能性があります。無印良品は「自然と。無名で。シンプルに。地球大。」という企業理念に基づき、自社で衣服、雑貨、食品と幅広い商品に対し、一貫して「無印良品らしさ」を感じさせることに成功し、世界中にファンを獲得しました。ブレない一貫性がブランド戦略を成功に導いた例です。戦略立案のポイント3:インパクトブランド戦略にはユーザーの感情が働くようなインパクトを与えることも重要です。人は「このブランドを持つとカッコイイ」などの感情が働き、何百万もする時計を購入したりします。その時計の品質だけでなくステータスなども買っているのです。電化製品はパナソニックなら「安心できる」、キャッシュレス決済のPayPayを使えば「買い物が便利になる」など、なにかしらブランドとユーザーにある感情に訴えることがインパクトに繋がるでしょう。ブランド戦略策定の方法5選上記のポイント押さえながらこの項では実際ブランド戦略を策定する方法5つをご紹介していきます。おおまかにご説明すると、まずブランド戦略に重要なターゲットの決定を行います。次に自社の強みをあらゆる角度から分析します。その分析を生かし、ブランド戦略の核となるブランドアイデンティティを明確にし、そのコンセプトを宣伝広告にして打ち出し、ターゲットに合ったコミュニケーション戦略を取る流れになります。ブランド戦略策定の方法1:ターゲットの決定ターゲットを決定することは、ブランド戦略を成功させるかどうかの重要なカギになります。例えば、低迷していたマツダは、ターゲット層を絞り、そのニーズに応える戦略に大転換することで経営を立て直しました。すき家は、ファミリー層にターゲットを広げ、郊外の立地にすることで駐車場を確保し、ブランド戦略を実行しました。ターゲットの決定は、その後のブランド戦略の道標となる大切なものです。慎重に検討しましょう。ブランド戦略策定の方法2:自社の強みの分析市場や競合他社、自社のさまざまな情報分析を行う中で自社の強みを再認識し、ブランド戦略に生かせます。ブランド戦略を練る時に便利で有効なのが、「3C分析」(顧客・市場、競合他社、自社の3つを分析して明示したもの)や「SWOT分析」(社内、社外のそれぞれのプラス面とマイナス面の4つを分析したもの)などのフレームワーク(枠組み)です。上手く活用して市場でのニーズや競合他社の動きを把握し、自社の強み・弱みを分析してみましょう。ブランド戦略策定の方法3:ブランドアイデンティティを明確にするブランド戦略の核となり、重要な理念であるブランドアイデンティティを明確にしましょう。ブランドアイデンティティとは、自社ブランドに対し「ユーザーにどんなイメージを抱いてほしいのか」「ユーザーにどんな価値を提供するのか」というコンセプトのことです。情報分析から、市場でどの競合他社も応えていないユーザーのニーズに応え、自社の強みを生かし、自社のコンセプトを確立することが、大きなブランドに育つために必要になるでしょう。ブランド戦略策定の方法4:ブランドの宣伝広告を打ち出すブランドアイデンティティが決まれば、ブランドの宣伝広告を打ち出し、大勢のユーザーに広めましょう。ブランド戦略において、ブランドアイデンティティを落とし込んだロゴマークやキャッチコピーを「抽象メディア」、それらロゴやキャッチコピーを目に見える形にした印刷物や、動画メディアなどを「可視メディア」と呼びます。ブランドアイデンティティが反映された企業のメッセージが、ユーザーに伝わるものにしましょう。抽象メディア抽象メディアとは、ブランドアイデンティティを表している言葉やデザインで、キャッチコピーやロゴマークで表されます。キャッチコピーで有名な例として『Inspire the Next』は日立グループの「開拓者精神」が意識されており、その企業のメッセージ性も伝わるものです。ロゴでは、ココ・シャネルの「ココ」を組み合わせたシャネルや、母(クロネコ)が子猫をくわえたクロネコヤマトなど、一目で分かりインパクトがあります。キャッチコピーやロゴは時代に合わせて変化することもあります。可視メディア可視メディアとは、キャッチコピーやロゴマークを「目に見える具体的な形」にしたものです。キャッチコピーやロゴを、看板やパンフレット・雑誌広告などで宣伝したり、名刺や封筒に印刷したり、テレビCMやYouTube広告などの動画メディアに流したり、あらゆる形でユーザーに宣伝します。ターゲット層のユーザーの目に留まりやすいメディアに重点的にアピールすると効果的です。ブランド戦略策定の方法5:コミュニケーション戦略コミュニケーション戦略とは、「広告」「販売促進」「人的販売」「パブリシティ」「クチコミ」などの手段により、自社の商品やサービスの情報を、ユーザーに広く認知してもらう戦略です。ブランドの知名度が上がり信頼感や愛着が生まれると、人はブランドを推奨したくなります。大きな「クチコミ効果」を持つLINEやFacebookなどSNSも活用し、商品の利便性や目を引く広告などでシェアしてもらい、販売拡大につなげましょう。ブランド戦略のメリット5選これまでブランド戦略の立案のポイントと、策定方法をご紹介してきまたが、ブランド戦略が成功した場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここからは、ブランド戦略が成功し、自社のブランドが広く認知され、ブランド力が大きくアップした場合の効果について述べていきます。ブランド戦略のメリット1:商品の差別化ブランド戦略の一番のメリットとも言えるのが、「商品の差別化」です。ブランドへのプラスの感情移入が高まり強い信頼感が生まれると、ユーザーは類似商品と比較せずに購入するようになります。ハイブリッドカーを買いたい人が「トヨタのプリウスを」と指名買いするような状況です。そもそもブランド戦力は、「その市場での競合他社商品との差別化を図り、圧倒的優位に立つこと」を目指したものですから、「指名買い」は目的達成とも言えるでしょう。ブランド戦略のメリット2:価格競争を回避メリットの2つ目はブランドに付加価値が付き、価格競争を回避できることです。ブランド力のない企業は「価格競争」巻き込まれがちです。しかし、ブランド名が広がり、ユーザーのブランドへの思い入れが深まると、ブランドの価値を上乗せした高い価格設定でも購入してくれるようになります。具体的な例としては、「おしゃれ、美味しい、高級感」などの付加価値のついたスターバックスコーヒが挙げられるでしょう。ブランド戦略のメリット3:リピート率の向上メリットの3つ目は、長期的なリピート顧客を確保できることです。そのブランドに信頼寄せたユーザーがリピーターとなり、自社製品を使い続けるようになると、長期的な売上が見込め、安定した利益を確保できるようになるでしょう。さらに、一般的にリピート顧客の5倍の投資が必要と言われている新規顧客の獲得にも資金を回せるようになり、経営を広げるチャンスが生まれます。ブランド戦略のメリット4:コスト削減メリットの3つ目は、宣伝費などのコストを削減できることです。ブランド知名度の高い商品は、販売するだけで売れ続け、新規顧客にも営業がかけやすく、新店を出す場合にも大がかりな広告の必要がなくなるでしょう。そのため「宣伝費」の大きなコスト削減につながります。また、ブランド力のある企業と取引したい企業も増え、「仕入れ値」のコストダウンも期待できます。その分、ブランドのシェアを拡大し、価値を高めることが可能となります。ブランド戦略のメリット5:優秀な人材確保メリットの5つ目は、知名度の高い会社は新卒者にも人気が高く、優秀な人材を確保できることです。ブランド戦略に成功した会社は、ブランドの知名度の高さに惹かれた多くの就職希望者の中から優秀な人材を選ぶことができます。また、ブランディングの確立された会社で働く従業員は、会社に対する愛着や誇りが高くなり、働くモチベーションも高くなるでしょう。ブランド戦略により、企業の内からの競争力も高めることができるのです。ブランド戦略のメリットについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。ブランド戦略のメリット5つ|ビジネス戦略におすすめなビジネス本も紹介!ブランド戦略を実践しょうオンリーワンの自社のブランドアイデンティティを世の中に広め、多くのユーザーに求められる企業を目指しましょう。ブランド戦略が成功し、よい自社ブランドイメージが多くのユーザーに認知されると、信頼感が生まれ、長期的な集客と安定した利益を生み出すことが可能になるでしょう。また、社員のモチベーションにも繋げることができます。しっかりとしたブランド戦略を立て、あなたの会社を国内外に通用する競争力のある企業に育ててみませんか。弊社では、クリエイティブを活用した企業の認知拡大・ブランディングのご支援も行っております。多くの企業でブランディングや認知拡大に成功しています。ぜひ各種クリエイティブ活用したブランディングや認知拡大による売上増加を狙いたい企業様はお気軽にお問い合わせください。マーケティングを中心に、EC・D2Cのブランド成長、クリエイティブ制作、およびビジネスで役に立つ「フレームワーク集」等の資料を「個人情報入力不要」で無料で公開しております。