企業が市場において実績を上げていくには、マーケットシェアの分析は重要です。特に低成長、成熟時代と言われる現在では、いかにマーケットシェアをとるのかが企業業績の分かれ道です。そこで今回の記事では、マーケットシェアの基本や戦略について解説を行います。マーケットシェアとは?マーケットシェアとは市場占有率という意味です。自社の商品やサービスを展開する際、市場の中の限られたパイをどれだけ獲得できたのかを表す指標になります。基本的に世の中のビジネスは、このマーケットシェアを奪い合う戦いです。マーケットシェアのことを理解しておくことで、今後、とるべき戦略や、どのような商品、サービスを生み出す必要があるのかというヒントを企業は得ることができます。マーケットシェアの目標数値6つマーケットシェアについて、参考になるのが「ランチェスター戦略」です。「ランチェスター戦略」にはマーケットシェアを高めるための戦略が解説されており、市場を分析し、自社が市場に与えている影響と他社と比較した場合の位置付けを示しています。「ランチェスター戦略」には「市場占有の目標値レベル」が設定されており、自社の状況を目標値レベルに当てはめることで、自社の影響力と位置付けが把握できます。マーケットシェアの目標数値1:存在目標値6.8%存在目標値は市場の中では一番弱者の位置付けです。ただし、弱者とはいっても、市場の中で存在を示せてはいますので、新規参入の場合、まずはこの目標値を目指していきます。このレベルに到達できるか否かで、市場における更なる展開を続けるか撤退かを見極める数値にもなります。この段階では、まだ消費者の選択肢には入りづらいため、この目標値を達成したあとの展開、戦略が鍵になるといえるでしょう。マーケットシェアの目標数値2:影響目標値10.9%影響目標値に達することで、市場におけるシェア競争に参加できる存在になります。ここまで来ることで、初めて市場の戦いに参加できるといえます。ただし、この段階ではキャンペーンや値下げを行っても、まだ市場に与えるインパクトは低いでしょう。市場で大きな影響力を与える存在になるための「きっかけ」となるためのポジションに位置します。今後のビジョン次第では、大きく成長することも、後退することも有ります。マーケットシェアの目標数値3:上位目標値19.3%市場における強者と呼ばれるためには、上位目標値19.3%を超える必要が有ります。上位目標値のシェア率の場合、市場ではまだ弱者の立場ですが、弱者の中では強者のポジションといえるでしょう。ここからの展開で弱者にとどまるか、強者に成り上がるのかの分かれ目になります。積極的にキャンペーンや宣伝を行い、消費者に認知度を高めていくとで、市場の中で一歩抜きんでた存在になれる可能性を秘めています。マーケットシェアの目標数値4:下限目標値26.1%弱者から強者に切り替わる境目が下限目標値です。業界によっては、下限目標値のシェアを持っている企業が、市場を牽引している存在となっている場合も有ります。ただし、この下限目標値のシェアでは、逆転を許してしまう可能性も十分に有りますので、圧倒的な強者のポジションではありません。圧倒的な強者のポジションを目指し、市場を占有したい場合には、下限目標値を明確に超える必要があります。マーケットシェアの目標数値5:安全目標値41.7%市場において、安定したポジションを有していると言われる数値が「安全目標値」です。この数値を超えることで、2位のポジションにつけている企業からの追随にも簡単には屈さない、強靭な地位を築いていると判断されます。企業が市場において目指すポジションがこのポジションであり、安定したポジションであることから「40%ポジション」とも呼ばれます。マーケットシェアの目標数値6:上限目標値73.9%市場を73.9%以上確保することができれば、市場を独占したとみなされます。業界によっては、100%のシェアを奪取することも可能ですが、ランチェスター戦略では、これ以上シェアを独占はしない方がいいとされています。企業からすれば、できるだけ売上高を伸ばしたいと思うところですが、これ以上、シェアを伸ばした場合、企業内におごりやほころびが生じ「成長」「収益」「安全」が損なわれるとも言われています。マーケットシェアの4つの戦略企業が市場において、一定以上のマーケットシェアを狙う場合、闇雲に営業を行ってもうまくはいきません。まずは、市場において自社がどのようなポジションにいるのかを客観的に分析することが重要です。市場におけるポジションは、主に4つに分類されます。「フォロワー」「ニッチャー」「リーダー」「チャレンジャー」です。ここでは、それぞれのポジションにおける戦略を解説していきます。マーケットシェアの戦略1:フォロワー戦略マーケットでまだ弱いポジションであるフォロワーがとるべき戦略は、上位のポジションに位置する相手に追従し、戦略を模倣する戦略です。上位企業が展開する商品やサービスは、大抵消費者に受け入れられます。フォロワー戦略では、上位のシェアを持つ企業の商品やサービスを模倣し、低価格で市場に提供することで、一定のシェアを獲得する戦略です。資金や開発力に劣る場合、このような戦略が有効です。マーケットシェアの戦略2:ニッチャー戦略大手企業のような経営資源がない企業がニッチ市場で独自性を活かし、限定的な市場で存在感を持つ戦略がニッチャー戦略です。ニッチャー戦略では、他の企業が関心を示さない、限定的でニッチな市場を狙います。大手企業が関心を示さないマーケットであるため、売り上げは限定的ですが、安定した利益は確保できます。どれだけニッチで一定程度の需要がある市場を見つけられるのかがポイントです。マーケットシェアの戦略3:リーダー戦略市場を牽引する立場の企業が行う戦略がリーダー戦略です。リーダー戦略を行う企業は、市場の流れを決める力をもち、マーケットを拡大させる役目を担っています。リーダー企業は、その他の戦略のように、低価格やニッチの戦略をとることはありません。リーダー企業は豊富な経営資源を活かし、マス広告を駆使し、市場を席巻します。二番手以降の企業が差別化戦略をとってきた場合、同質化を図り、戦略を無効化する力を持っています。マーケットシェアの戦略4:チャレンジャー戦略リーダー企業を追随する二番手企業のとる戦略がチャレンジャー戦略です。チャレンジャーの立場の企業は、リーダー企業に匹敵する力を持っていますが、リーダー企業よりも経営資源が少ない場合も多いです。少ない経営資源を補うために、リーダー企業とは違う差別化戦略をとることがありますが、リーダー企業による同質化戦略により戦略を無効化されることもあります。マーケットシェアを分析するタイミング4つ企業がマーケットシェアを分析することは、その市場で生き残るためには必要なことです。企業はどのようなタイミングでマーケットシェアを分析した方がいいのでしょうか。ここでは、企業がマーケットシェアを分析すべきタイミングについて解説を行っていきます。分析するタイミング1:新規参入を考えているとき企業が市場に参入しようと考えている時は、マーケットシェアを分析するタイミングです。参入しようとしているマーケットのシェア配分や、リーダー企業の占有率などを調べることで、自社が参入した場合のメリット、デメリットを把握できます。競合他社がひしめくレッドオーシャン市場なのか、それとも一社が独占していて、競合他社がほとんど参入していないニッチ市場なのかを見極めることで、戦略は変わるはずです。分析するタイミング2:自社の特徴を知りたいときマーケット内での自社の特徴を知る場合にも、マーケットシェアの分析は有効です。自社の特徴を知るには、地域や年齢層、価格帯といった限定的な市場を分析することで、自社の強みや弱点が浮き彫りになります。そこで浮かんだ自社の特徴を客観的に分析し、改善することで、更に市場で存在感を上げることが可能になります。分析するタイミング3:自社の影響力を知りたいとき市場における自社の立ち位置や影響力を知りたいときにも、マーケットシェアの分析は有効です。影響力が高ければ高いほど、市場における主導権を握りやすくなります。日頃から市場での自社の立ち位置や影響力を知っておくことで、その後の展開方法が変わってきますので、マーケットシェアの分析は重要です。分析するタイミング4:消費者の購入基準が知りたいときマーケットシェアの分析で、消費者の購入基準も見えてきます。リーダー企業を分析することで、なぜその企業の商品が買われるのかが解ってきます。消費者行動のメカニズムを理解することで、より自社の商品シェアを伸ばすことも可能です。マーケットシェア分析は自社のポジションを知るだけではなく、売り上げを伸ばすための消費者行動の分析にも応用できます。マーケットシェアを上手に活用しよう今回はマーケットシェアに関して解説を行いました。市場の成長率が低い現代であればこそ、マーケットシェア分析は重要です。ただし、マーケットシェア分析はあくまでも指標であり、企業努力以外の要素も、実績には絡んでくるということを忘れてはなりません。自社が市場において、どのようなビジネスを行いたいのかというビジョンを持ちながら、マーケットシェアの調べ方を理解し、強い企業を目指していきましょう。弊社Start-Xは総合的なマーケティング支援を得意としております。他のマーケティング支援会社と比較すると、コストパフォーマンス高く支援可能なメニューが多くございますので、何かお困りごとがございましたらお気軽にお問合せください。ご相談はいつでもオンラインで無料でご対応可能です。