国内の多くの市場でコモディティ化と成熟化が進み、人口減少とも相まって大きな事業拡大が見込めない中、どのように売上を拡大していくかは多くの企業が頭を悩ませている課題でしょう。昨今、新規事業や新ブランドの立ち上げを検討されるケースも多いですが、そこには大きなリスクも伴います。そこで用いられる手法の1つが「ブランド拡張」です。企業は消費者に認知されているブランドを新たに展開する事業に使う事があり、これをブランド拡張と言います。ブランド拡張は富士フイルムで成功例があるものの、80%近くは失敗しやすいです。そこで今回の記事ではブランド拡張のメリット・デメリット、ブランド論を学習する書籍を紹介します。ブランド拡張とはブランド拡張は、企業の成長戦略として語られる方法の1つです。企業は、将来にわたって成長が見込めてかつ利益がもたらされると予想される分野に対して、積極かつ計画的な方針として成長戦略を立てます。この時、消費者のニーズの変化に対応して、今まで築いてきた分野でのブランドイメージを越えて、新たな事業を拡大する必要も生じてきます。ブランド拡張とは、企業のその様な事業拡大の成長戦略を可能にする方法の1つです。ライン拡張ライン拡張は、1つの製品ブランドの中で製品ラインを拡張する手法です。企業が通常収益を増やしていくには、新規事業を始めたり、新規顧客を獲得したりする必要があります。これに対してライン拡張は、既存の商品の中身を少し変えて商品ラインを水平に広げ、比較的費用や労力がかからずに、顧客に知られたブランド名で新商品を販売します。そのため、最初から売れる可能性が高いのが利点です。カテゴリー拡張カテゴリー拡張は、大本のブランドと異なる製品のカテゴリーに参入する手法です。カテゴリー拡張は確立したブランドの強みを生かして関係のない分野に事業拡大します。そのため、カテゴリーが活かせない、イメージの整合性で違和感を与える、といった課題もあります。富士フイルムがカメラ・フイルムのブランドを維持しながら化粧品・ヘルスケア事業への展開をしたのは、カテゴリー拡張の成功例です。ブランド拡張のメリット6選企業は、新規にブランドを確立するよりも、ブランド拡張をすることで得ることができるメリットもあります。カルピスは乳酸菌飲料からアイスクリームやキャンディへ、ライザップは、トレーニングから英会話やゴルフレッスンへとブランド拡張が頻繁に行われます。これらは、ある製品やサービスで確立されたブランドを新規事業拡大に使用して成功した事例です。ブランド拡張によるメリットを取り上げます。ブランド拡張のメリット1:売り上げ利益を伸ばせるブランド拡張で新規事業を始めると、企業は他の収益源での確保が可能となります。企業が事業を立ち上げて売上や利益が大きく伸びたとしても、商品やサービスを利用する消費者の数に限りがあるので、ある程度軌道に乗ってしまうと鈍化します。そこで、企業はブランド拡張戦略で新規事業を始めると、新たな消費者獲得から他の収益源を確保できるので、大きなキャッシュフローの獲得が可能になるでしょう。ブランド拡張のメリット2:新規事業を展開しやすい企業は、ブランドの認知にかかる費用や時間を削減可能になります。企業が新規事業を始める時、無名のブランドを使って展開するので、消費者への認知に時間と費用がかかります。しかし、ブランド拡張で新規事業を始める場合、ブランドの認知にかかる時間と費用を削減できるのと、既存ブランドに対する好印象の定義を活かせるメリットがあります。ブランド拡張のメリット3:知覚リスクの削減とトライアル率の向上既に知名度や信頼度の高いブランドがあると、企業がブランドを拡張した場合、消費者からトライアルで購入してもらえる可能性が上がります。企業が認知させてきたブランドは、既に豊富なブランド連想を消費者は持っています。消費者はマスターブランドの知識から得た安心感や期待感から、新たな製品に対するトライアルに結び付ける事が出来るので、企業は新たなブランド確立によるリスクの問題を減らすことができるでしょう。ブランド拡張のメリット4:流通の確保流通業者は、既存ブランドの拡張商品であれば安心して取り扱う事が可能です。流通業者は実績がない新規の商品を陳列棚に大きく割いた結果、売れない事態を避けたいと常に考えています。しかし、既に実績があるブランド拡張の商品であれば、流通業者はある程度売れる見込みを立てる事ができるので、メーカーはコストをかけず、流通面での問題が生じずに済むメリットがあります。ブランド拡張のメリット5:顧客層の拡大企業は、ブランド拡張による新たな価値の提供で、新規顧客層の獲得が可能になるでしょう。企業は、ブランド拡張によって、マスターブランドにない新たな価値を加えて提供できれば、新たな顧客層を確保できます。例えばディズニーは当初アニメ映画でしたが、新たな価値が備わっていくことでテーマパークブランドに拡張して、顧客層を拡大しました。ブランド拡張のメリット6:マスターブランドの再活性化企業はブランド拡張によって、マスターブランド自体に新たな連想を加えることが可能です。企業がブランド拡張による新たな事業を展開していくと、消費者は、マスターブランド自体のブランドの連想を増やしていくので、ブランド力を上げる事ができます。また、ブランド拡張によって消費者に新鮮なブランド連想が加わる事は、企業ブランドの情報量が増えることにもつながるため、さらに認知度が高まるメリットがあるでしょう。ブランド拡張のデメリット3選企業はブランド拡張に失敗すると、新製品が売れないのみならず、既存ブランドを低下させる恐れがあります。ブランド拡張で注意が必要なのは、既存ブランドのイメージとの整合性や毀損した場合のリスク、カニバリゼーションです。企業はこれらを考慮する必要があります。特に独りよがりなブランド拡張には注意が必要となるでしょう。ブランド拡張のデメリット1:既存ブランドイメージとの矛盾や弱体化ブランド拡張は、既存のブランドが新しい商品に適切か否かの判断を間違えると、効果が得られない場合があります。例えば、安さを売りにしているお菓子のブランドについて消費者は「安い」イメージを持っているのに、拡張ブランドを高級食品に変えると、消費者の既存のブランドイメージとの矛盾が起きます。例え商品が良くても売れず、既存ブランドの価値が低下してしまう可能性もあります。ブランド拡張は、既存ブランドの価値の低下に注意が必要です。ブランド拡張のデメリット2:マスターブランドが低迷すると連鎖が起こるブランド拡張は既存ブランドへの影響に注意しないと、ブランド力が低下するデメリットがあります。例えば、高級ブランドの名前を使って安価な日用品を販売すると、消費者から既存のブランドイメージである「高級」が薄れてしまい、拡張したブランドにすることが難しくなります。さらに、既存ブランドの収益力までも低下する恐れがあります。ブランド拡張する時は、既存ブランドの価値を低下させないかを確認することが必要になるでしょう。ブランド拡張のデメリット3:カニバリゼーションブランド拡張による新商品導入が、既存ブランドの売上を落としてしまう問題があります。マーケットにおいてのカニバリゼーションとは、新商品の導入で既存の商品の売上減少や新規チャンネルによる既存チャンネルの侵食を意味します。ブランド拡張でも、既存ブランドの顧客が新規に拡張したブランドに移行して、既存ブランドの売上が減少するので、企業は消費者に違いを明確にすることが必要になるでしょう。ブランド拡張学習おすすめ書籍4選紹介する4つの書籍は、ブランドとしての役割や機能について学習できます。ブランド拡張を学習するには、「ブランド」としての機能や役割も理解してからのほうが理解しやすくなります。ここで紹介する4冊は、ブランド論からブランド戦略まで、成功例や失敗例を交えて解説しています。特に2020年に発刊された『問題解決力を高める「推論」の技術』は、ぜひ読んで欲しい一冊となっています。ブランド拡張学習おすすめ書籍1:戦略的ブランド経営この書籍は本来の「ブランド」としての機能や役割について解説しています。この本の著者は、株式会社B.I.Pジャパン取締役の岡田裕幸氏です。様々な消費財メーカーや生産財メーカーなど多岐にわたる企業のブランド戦略プロジェクトに参画した参画経験から、ブランドという発想が事業戦略や企業経営の質を高める重要な視点になる事を解説しています。%3Ciframe%20style%3D%22width%3A120px%3Bheight%3A240px%3B%22%20marginwidth%3D%220%22%20marginheight%3D%220%22%20scrolling%3D%22no%22%20frameborder%3D%220%22%20src%3D%22https%3A%2F%2Frcm-fe.amazon-adsystem.com%2Fe%2Fcm%3Fref%3Dqf_sp_asin_til%26t%3Dstartx2020-22%26m%3Damazon%26o%3D9%26p%3D8%26l%3Das1%26IS1%3D1%26detail%3D1%26asins%3D4502172111%26linkId%3Dcd75a50eb600ecb497e442103e690ff7%26bc1%3Dffffff%26lt1%3D_top%26fc1%3D333333%26lc1%3D0066c0%26bg1%3Dffffff%26f%3Difr%22%3E%0A%20%20%20%20%3C%2Fiframe%3E戦略的ブランド経営ブランド拡張学習おすすめ書籍2:ブランド論 無形の差別化を作る20の基本原則著者のデービット・アーカー教授が確立した、ブランド論の研究成果をまとめた1冊です。アーカー教授はブランド論の第一人者で、ブランド拡張やブランド・アイデンティティという言葉を送り出しました。この書籍は20年におよぶ研究成果をまとめて、初心者にも分かるように紹介しています。%3Ciframe%20style%3D%22width%3A120px%3Bheight%3A240px%3B%22%20marginwidth%3D%220%22%20marginheight%3D%220%22%20scrolling%3D%22no%22%20frameborder%3D%220%22%20src%3D%22https%3A%2F%2Frcm-fe.amazon-adsystem.com%2Fe%2Fcm%3Fref%3Dqf_sp_asin_til%26t%3Dstartx2020-22%26m%3Damazon%26o%3D9%26p%3D8%26l%3Das1%26IS1%3D1%26detail%3D1%26asins%3D4478027595%26linkId%3D6368d422edfecb02c173e13dadb0ad0e%26bc1%3Dffffff%26lt1%3D_top%26fc1%3D333333%26lc1%3D0066c0%26bg1%3Dffffff%26f%3Difr%22%3E%0A%20%20%20%20%3C%2Fiframe%3Eブランド論---無形の差別化を作る20の基本原則ブランド拡張学習おすすめ書籍3:ブランディング22の法則この書籍は、ロレックスやエビアンなど認知された「ブランド」の秘密を解き明かします。著者はアル・ライズ氏とローラ・ライズ氏で、企業が収益性を高めるにはどのように自らをフォーカスするかの方法をまとめた、「フォーカスーあなたの会社の未来はフォーカスにかかっている」を執筆しました。この書籍は、マーケティング・プロセスに焦点を当て、ブランドを構築する目的とポイントをまとめました。%3Ciframe%20style%3D%22width%3A120px%3Bheight%3A240px%3B%22%20marginwidth%3D%220%22%20marginheight%3D%220%22%20scrolling%3D%22no%22%20frameborder%3D%220%22%20src%3D%22https%3A%2F%2Frcm-fe.amazon-adsystem.com%2Fe%2Fcm%3Fref%3Dqf_sp_asin_til%26t%3Dstartx2020-22%26m%3Damazon%26o%3D9%26p%3D8%26l%3Das1%26IS1%3D1%26detail%3D1%26asins%3D488497073X%26linkId%3D16423fe91648bd242d10b30731d98aec%26bc1%3Dffffff%26lt1%3D_top%26fc1%3D333333%26lc1%3D0066c0%26bg1%3Dffffff%26f%3Difr%22%3E%0A%20%20%20%20%3C%2Fiframe%3Eブランディング22の法則ブランド拡張学習おすすめ書籍4:問題解決力を高める「推論」の技術外資系コンサルティングファームである著者が、3つのシンプル思考によって、答え無き時代における仮説の立て方を解説しています。この書籍の著者である羽田康祐氏は「Mission Driven Brand」のwebサイトで、ブランディングやブランド戦略の基本を解説しています。『問題解決力を高める「推論」の技術』はWebサイトで解説した内容を書籍化し、ブランド構築スキルのベースとなる様々な思考法を提示しています。%3Ciframe%20style%3D%22width%3A120px%3Bheight%3A240px%3B%22%20marginwidth%3D%220%22%20marginheight%3D%220%22%20scrolling%3D%22no%22%20frameborder%3D%220%22%20src%3D%22https%3A%2F%2Frcm-fe.amazon-adsystem.com%2Fe%2Fcm%3Fref%3Dqf_sp_asin_til%26t%3Dstartx2020-22%26m%3Damazon%26o%3D9%26p%3D8%26l%3Das1%26IS1%3D1%26detail%3D1%26asins%3D4866800615%26linkId%3D152dc8843dbcd60802980ce009a67c89%26bc1%3Dffffff%26lt1%3D_top%26fc1%3D333333%26lc1%3D0066c0%26bg1%3Dffffff%26f%3Difr%22%3E%0A%20%20%20%20%3C%2Fiframe%3E問題解決力を高める「推論」の技術既存のブランド力を活かし効果的な事業展開をしよう企業がブランド戦略を構築して事業を展開していく事が必要です。企業は、ブランド拡張を頻繁に行ったとしても、失敗する確率もあります。失敗が多い理由は、誤ったブランド戦略に基づくものが多いからで、ブランドをどのように構築していくかを考えることで、成功する可能性もあります。ブランド経営を考えながら、企業は効果的な事業展開を進めましょう。弊社では、クリエイティブを活用した企業の認知拡大・ブランディングのご支援も行っております。多くの企業でブランディングや認知拡大に成功しています。ぜひ各種クリエイティブ活用したブランディングや認知拡大による売上増加を狙いたい企業様はお気軽にお問い合わせください。マーケティングを中心に、EC・D2Cのブランド成長、クリエイティブ制作、およびビジネスで役に立つ「フレームワーク集」等の資料を「個人情報入力不要」で無料で公開しております。