新商品・サービスが次々と市場でリリースされ、企業間競争が激化する昨今の経済環境の中、「競合より低価格なのに、売上が伸びない」「プロモーションに多額の予算を投じているに、市場認知度が低い」「大都市メインで店舗展開しているのに、新規顧客が増えない」といった悩みを抱えているマーケティング担当者は多いのではないでしょうか。さらなる事業拡大に向け、マーケティング戦略の策定や見直しを図る上で大切なのが、今回のテーマとなる、「マーケティングミックス」です。今回は、そんなマーケティングの概念である「マーケティングミックス」の中でも、4Pと4Cについての区別とその解説を中心にしながら、実際にマーケティングミックスを導入している大手企業の事例などにも触れていきますので、参考にしてみてください。マーケティングミックスとはマーケティングミックスとは、マーケティング戦略において「実行戦略」とも呼ばれています。企業によって立案されたマーケティング戦略を、実際の商品企画や宣伝、営業活動といった現場サイドへと落とし込むために、フレームワークを組み合わせながら想定していきます。その代表的なものとしては4P、そして4Cと呼ばれるものがあり、それらがマーケティングミックスの根本的な考え方です。4Pとはマーケティングミックスの中でも代表的な考え方に、「4P」と呼ばれるフレームワークがあります。これは、製品(Product)、価格(Price)、プロモーション(Promotion)、流通(Place)という4つの言葉の頭文字から付けた名称です。もしワインを販売するのなら、価格帯や流通する場所(高級百貨店なのかコンビ二なのか)、富裕層なのか普通の人々なのかなど、この4つの観点から整合性を見出します。マーケティングにおける4Pについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。マーケティングにおける4Pとは?6つのステップと4Cについても解説4Cとはマーケティングミックスでの4Pを、買い手の立場で見直したのが「4C」です。顧客価値(Customer Value)、経費(Cost)、コミュニケーション(Communication)、利便性(Convenience)の頭文字から付けられています。先のワインの場合も、シチュエーションによりけりです。気軽な会食用、あるいは高級品を嗜むといった、顧客の要望に適切な条件で提供するためのフレームワークです。マーケティング戦略においての4Pマーケティングミックスの4Pという概念が初めて登場したのは1960年です。もうすでに50年以上も、マーケティング分野にてフレームワークの基準として使われ続けています。では、マーケティングミックスの4つのPについて、さらに詳しく見ていきましょう。マーケティングミックスにおける4Pその1:製品(Product)マーケティングミックスにおける4Pの一つは、製品(Product)です。有形無形問わず、企業は何らかの製品やサービスを販売することで成り立っています。製品こそが、すべての構成要素の基礎であることは言うまでもありません。製品を市場のどのような顧客に向けて売りたいのか、そのターゲットへの差別化が十分に行われるか、といったことを分析しながら戦略します。マーケティングミックスにおける4Pその2:価格(Price)マーケティングミックスの4Pの二つ目は、価格(Price)です。価格の決定こそ、売り上げに直説的に関わっていく要素だと言えます。顧客にとっても、その製品が適正な価格であることが望みです。それに競合に対しての差別化や、利益を確保できるかどうかについても、価格の設定はとても重要です。マーケティングミックスにおける4Pその3:流通(Placeマーケティングミックスの4Pの3つ目は、流通(Place)です。完成した製品やサービスと顧客とを結ぶための、物流の方法を含意させることも大切です。必要な製品を、必要な場所へ的確に供給できるかについて分析し、その最適なルートの確保と実施を促します。マーケティングミックスにおける4Pその4:プロモーション(Promotion)マーケティングミックスの4Pの4つ目が、プロモーション(Promotion)です。プロモーションは言い換えれば「宣伝」「広告」のことです。製品を顧客に認知してもらう戦略で、企業にとっては、これをしなければターゲットに対して製品イメージを伝えられないので積極的に行いたい部分です。ただし、近年では宣伝行為を嫌がる顧客も多いため、どのような方法で行うかは、企業のセンスと戦略にかかってきます。マーケティング戦略においての4Cマーケティングミックスの要素には、4Pのほかに4Cという考え方があります。4Cのほうが、より顧客目線な概念なので、4Pとは若干の違いがあります。当初から存在していた4Pに対して、視点を顧客側から再定義しています。そのため、差はあれども4Cと4Pは要素が対応していて、この2つを組み合わせながらマーケティング戦略を練るのが通常です。マーケティングミックスにおける4Cその1:顧客価値(Customer Value)マーケティングミックスでの顧客価値とは、製品やサービスの購入をすることで得られる意義のことです。それは時として製品そのものに限らず、アフターサービスなども含めた情緒的なベネフィットも含まれます。顧客としては、その製品やサービスから「満足感」「充足感」を得たいわけです。買い手である顧客としては、満足や問題解決をしてくれる製品だから欲しいと感じます。ニーズを捉えて満たす製品やサービスの提供こそ価値です。マーケティングミックスにおける4Cその2:経費(Cost)コストは、マーケティングに重要な要素の1つですが、顧客が製品やサービスにお金を支払う際、その製品の満足度とコストを比較検討します。またコストは製品本体価格だけではなく、購入や利用した際の移動時間やその他諸費用なども含めた上で考慮されます。つまり顧客にとっては経費とも言い換えられます。コストを掛けてでも、その製品を得たいと思えるのかがポイントとなってきます。マーケティングミックスにおける4Cその3:利便性(Convenience)製品やサービスをいかに顧客が入手しやすくできるかが利便性の目安です。優れた製品やサービスだとしても、入手困難なものでは意味がありません。4Pでの流通は、顧客側にとっては利便性となって活かされます。販売エリアや販売方法(直販、販売代理店契約など)、流通チャネルを最適に仕向けることが大切です。マーケティングミックスにおける4Cその4:コミュニケーション(Communication)マーケティングでは、顧客と企業の間でコミュニケーションがあることで正常に働きます。一方的な情報提供だけに終始して、顧客の声を聞かない企業は、ますますものが売れない時代になってきました。コールセンターを設置する企業が多いのもその解決策の一つです。また近年では、インターネットやSNSなどでのマーケティングが多様化しています。マーケティングそのものがネット上で取り交わされているともいえます。マーケティングミックスの導入マーケティングミックスの4Pや4Cを、様々な視点から検討して組み合わせることが、成功の秘訣です。整合性が取れているかどうかがポイントです。マーケティングミックスにおいては、どのような顧客をターゲットにし、どのようなポジションでの商品・サービスなのかをしっかり規定して、具体的施策に落とし込んで整合性がとれた戦略をすることが大切です。マーケティングミックスの導入例を5つ紹介!4Pや4Cなどを通じて、マーケティングミックスを実際に導入して成功している企業は存在します。では、その具体的な内容はどうなっているのでしょうか。ここでは、マーケティングミックスを導入している事例についてご紹介します。その他マーケティングミックスの事例ついて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。マーケティングミックスの事例5選!4Pを導入するときのポイントも紹介マーケティングミックスの導入例1:スターバックススターバックスは、商品が国により異なります。例えば、抹茶系ドリンクなどは、日本と一部の国のみで提供したり、トールより小さいショートなどのサイズは、日本独自の展開です。価格も、コンビニのセルフよりも割高で、ホテルのラウンジや喫茶店よりも安い絶妙な設定にされています。広告宣伝活動を一切行わず、自然発生する口コミとPRでプロモーションしています。店舗立地でも、銀座に一号店を出店し独自性を打ち出しました。マーケティングミックスの導入例2:ドモホルンリンクルドモホルンリンクル(再春館製薬所)でのマーケティングミックスは、比較的に年齢層の高い女性をターゲットにし、肌の悩みを解決する基礎化粧品をテーマに展開しています。CMや新聞、折り込みチラシといった既存のマスメディア効果で見込み客を集め、コールセンターでの悩み相談にてコミュニケーションを重ねていく方法です。基本セットが月36,000円という高額な設定ながら、ロイヤル顧客やリピートで人気となっています。マーケティングミックスの導入例3:H&Mファストファッションブランドの世界展開をしているH&Mのマーケティングミックスでは、4Pの中でも製品、価格、流通の3つがポイントです。高級ブランドの類似品を低価格で提供というコンセプトで、代替品でも満足できる顧客層のニーズに応えています。そのため価格も、独自デザインによるコスト削減で、低価格を実現させました。また流通に関しても、安価な海運輸送をシステム化させてコストを抑えています。マーケティングミックスの導入例4:ヘルシア緑茶ヘルシア緑茶は健康機能を訴求するため、特定保健用食品の認可を厚生労働省から受けることで、体脂肪が気になる方向けという、分かりやすい戦略にしました。しかも350ml入りペットボトルで180円という高価格に設定することで、有効性や安全性をより打ち出し販売しました。流通販路をコンビニエンスストア限定商品とし、流通とプロモーションの相乗効果までもが生まれました。マーケティングミックスを導入して自社の戦略を見直そうマーケティングが大事だとは分かっていながら、具体的な戦略を立てられないような場合は、4Pおよび4Cになぞってマーケティングミックスを導入してみましょう。自社の置かれている現状の把握と、将来的なターゲットの決定を行うことができます。また、マーケティングミックス戦略を実行した後は、結果を測定しながら見直していく機会も持つようにしましょう。その繰り返しで、より精度が高まって成果が上がっていく期待が高まります。弊社では、マーケティング戦略の立案や各種マーケティング施策の設計・実際の運用のご支援も行っています。無料のオンライン相談を実施していますので、マーケティングに課題を抱えている企業様がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。