YouTubeは個人が動画を投稿する場としてだけではなく、企業がチャンネルを持ち、ビジネスとして活用するのが当たり前になりました。実際に、Googleが2022年に実施した調査では、国内の18歳以上のユーザー数は7,000万人(2022年5月時点)を超えており、「YouTubeの影響でもともと買う予定のなかったものを買ったことがある」と回答した割合は、全体のユーザーの7割近くに及ぶことが明らかになっています。このようにビジネスに大きな影響を与えるYouTubeチャンネルの活用ですが、成功に導くためには適切にKPIを設定し、正しく運用していくことが求められます。本記事では、企業でYouTubeチャンネルを立ち上げたいけど、KPIの設定方法が分からないそもそもKPIの重要性が分からないといった課題を抱えている方に向けて、YouTubeチャンネルを運用していく上で重要なKPIの立て方を解説していきます。KPIを決める前にKGIを設定することが大切具体的なKPIを設定する前に、最終的なゴールである「KGI(Key Goal Indicator)」を設定することが求められます。そもそも、KPI(Key Performance Indicator)とは、「重要業績評価指標」のことです。企業がYouTubeを運用する目的は「ブランド力の強化」「認知度アップ」「売上向上」など企業によってさまざまですが、KPIは狙っている目的をどれくらい達成できているのかを測る指標となります。一方で、KGI(Key Goal Indicator)は、最終的なゴールとして定める「経営目標達成指標」のことです。つまり、まずはゴールを明確に設定しなければ、中間目標であるKPIを決めることはできません。例えば、YouTubeチャンネルの運用目的が自社ECサイトへの送客だったとします。KGIに「YouTube経由で訪れたユーザーの売上を1年後に2倍にする」といったゴールを定めることで、売上を2倍にするために必要なチャンネル登録者数や視聴回数・YouTubeからのユーザー遷移数などの数値を決めていくことができます。KGI:YouTube経由で訪れたユーザーのサイト売上を1年後に2倍にするKPI:チャンネル登録者〇〇人・視聴回数△△回などこのKGIが曖昧になっており、なんとなく動画を投稿しチャンネル登録数が増えても、ビジネスにどれくらいのインパクトを与えているのかが分からず、「効果がいまいち出ていないから」と中断を指示される可能性があります。YouTubeチャンネル運営の効果をはかり、進捗を明確にするためにも、プロジェクトを開始するときには最終的なゴールであるKGIを設定し、その上でKPIを決めていくことを意識するようにしましょう。チャンネル運用の目的でKPIの決め方は異なる先述したようにKPIは、YouTubeチャンネルを運用する目的であるKGIに紐づいたものです。そのため、チャンネルを運用する目的が「認知拡大」のケースと「購買促進」のケースでは、当然ながら設定すべきKPIは変わってきます。ここからは、目的別に設定すべきKPIの例を解説していきます。ケース①:認知拡大自社の会社名やブランド、商品・サービスの認知拡大を目的としている場合、以下のような指標がKPIとして設定されます。インプレッション数視聴回数ユニーク視聴者数関連動画からの流入数インプレッション数や視聴回数を増やすことで、ユーザーとの接点を得ることができ、ブランドや商品の認知拡大につながります。ケース②:購買促進商品やサービスの販売促進が目的の場合は、以下のような指標がKPIとして設定されます。サイトへの遷移数平均再生時間視聴維持率最も大切なのが、自社サイトへどれだけ遷移があったのかを示す指標です。どれだけ費用や時間をかけて動画を制作しても、サイトへの遷移がなければ売上には繋がりません。どれくらいの視聴回数があり、そのうち何割がサイトに移動しているのかを確認しましょう。また、平均再生時間や視聴維持率を確認することで、ユーザーがどれくらい商材に興味を持っているのかを確認できます。ケース③:ブランディングブランディングが目的の場合は、以下のような指標がKPIとして設定されます。チャンネル登録者数高評価率コメント数ブランディングのように視聴者から良いイメージを獲得できたかを判断するためには、登録者数や動画への高評価率といった指標を確認しましょう。例え、インプレッションや視聴回数が増えていても、「チャンネル登録に繋がらない」「低評価の割合が高い」といった場合は、ブランディングとして成功していると言えないでしょう。YouTubeアナリティクスで確認できるKPIとなり得る数値前述のとおり、YouTubeアナリティクスには複数の視点で効果測定ができます。目的に応じて測定項目を組み合わせる必要がありますが、ここでは一般的なKGIに適したKPIとして、代表的な3つの数値ご紹介します。視聴回数YouTubeにアップロードした動画が、実際に視聴された回数を表す数値です。独自の判定基準にもとづき、条件を満たした正当な視聴回数のみがカウントされるため、動画がどれだけのユーザーに見てもらえたか正確に測れます。注意点として、視聴回数の正当性を判断するために、YouTubeアナリティクスに数字が反映されるまでは一定の時間を要することがあげられます。チャンネルや動画の認知度向上を目的とする場合は、KPIに加えておきたい項目のひとつです。チャンネル登録者数YouTubeチャンネルに登録しているユーザーの数のことです。チャンネル登録者は配信者や動画に強い興味をもち、継続的に視聴したいと思ってくれているファンでもあります。チャンネル登録者は、登録していないユーザーよりも2倍ほど多くの動画を視聴する傾向にあるとYouTube公式でアナウンスされており、ブランディング目的のチャンネルに最適なKPIのひとつです。ただし最初から有名な企業やブランドなどは動画の質に関係なく、知名度で多くのチャンネル登録者を獲得する可能性があるため、正確なKPIとしての活用は期待できません。高評価率YouTubeは、動画ごとにユーザーが評価をつけられるシステムになっています。高評価の数が多かったり、低評価に比べて高評価の比率が大きかったりする場合は、ユーザーが動画を好意的に見ていると言えます。複数の動画をアップロードしている場合は、高評価の数や比率を参考に、ターゲットにウケやすい動画のテイストを把握できるのもメリットです。動画に低評価がついているとネガティブな気持ちになりますが、どのような動画にも低評価をつけるユーザーは一定数存在するため、極端に多いわけでなければ気にする必要はありません。YouTubeアナリティクスの活用について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。▶︎参考記事:YouTubeアナリティクスの使い方!6つの項目に分けて詳しくご紹介▶︎参考記事:アクセス解析とは?YouTubeアナリティクスにおける使い方の手順7つYouTube Studioで確認できるので、こまめに確認しよう上記のような、KGI達成のためのKPIは、いずれもYouTube Studioで確認できます。他にもインプレッション数、クリック数、コメント数、時間帯別の視聴数などさまざまな視点からチャンネルの状況を評価できるため、KGIに合ったKPIを設定しましょう。YouTube StudioでKPIを確認するときは、視聴回数のようにデータ反映までにタイムラグが起こりやすい項目に要注意です。また、インプレッション数など一定条件を満たさなくてはカウントされない項目もあるため、設定したKPIそれぞれの確認方法や注意点も把握しておく必要があります。このようにKPIの確認方法にはいくつかの注意点がありますが、迷走せずKGIの達成を目指すためにも、こまめにKPIの確認と分析を行いましょう。YouTube Studioの活用について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。▶︎参考記事:【YouTube Studio】チャンネルを作るなら知っておきたい機能と使い方を解説▶︎参考記事:YouTubeチャンネルを作成したなら「YouTube Studio」をチェックしよう!YouTubeチャンネル運営を本格的にやるなら、まずは専門家に相談をブランディングやプロモーション目的でYouTubeのチャンネル運営を始めるときは、長期的なプロジェクトとなることを理解したうえで取り組む必要があります。長期間でもきちんと進捗や成果を確認できるよう、あらかじめKPIも明確にしておきましょう。また、コスト重視なら自社対応もやむを得ませんが、効果や効率重視なら専門家に運営をサポートしてもらうこともおすすめです。専門家に相談すれば、YouTubeチャンネルの運営が初めての方でも魅力的な企画の立案から動画制作、分析や改善まで効率良くこなせるため、KPIをスムーズに達成できます。弊社では現役YouTuberがYouTubeマーケティング戦略策定から、動画企画・撮影・編集・投稿・分析・その後の改善まで一貫した業務を代行させて頂くことが可能です。また、YouTubeマーケティングのみならず、SNS活用などのWebマーケティングにも精通しているため、SNS単独のマーケティングだけでなくYouTubeとSNSを組み合わせてより効果的に宣伝したいなどございましたら、ぜひお問い合わせ窓口より相談ください。その他、YouTubeに役立つ資料も無料公開中です。