1850年代に提唱された「マーケティング理論」には、市場調査、製品計画、販売促進など各分野に数多くのマーケティング理論のフレームワークが提示されています。その特徴・特性をよく理解して、マーケティング戦略に有効活用しましょう。マーケティングとは?「マーケティング」は、企業の行う市場活動の全ての活動を指し、消費者の動向調査、消費者の求める商品企画・開発、広告などの販売促進活動などミックスした「マーケティング戦略」により、総合的・計画的・合理的に商品を販売します。このマーケティングを企業特有の機能として、顧客創造を企業の命題とする「マーケティング理論」を提唱したのは、1850年アメリカのC.H.マッコーミックが最初と言われています。マーケティングの必要性従前のマーケティングは、生産活動に従属するとされ、商品を製造現場から最終販売先の消費者に移転させることがその機能でした。その後の高度な消費社会の出現により、企業には消費者の求める商品・サービスを調査し、商品開発と効率的な販売方法で市場拡大を図るマーケティング戦略が求められています。そのため長期的な視点に立ち、ヒト、モノ、カネ、情報などの経営資源を再分配したマーケティング手法が多くの企業で採用されています。マーケティング理論とは?アメリカのマーケティング理論が日本に導入されたのは1950年代で、経営的視点からの市場調査、商品開発、販売経路などマーケティングに欠かせない基礎理論がドラッカー、コトラーなどから提唱されています。1960年後半、欠陥商品・有害食品・誇大広告など批判する消費者運動の高まりを受け、マーケティング理論も、企業利益とともに、消費者目線にたつ消費者の福利向上の追求も求められるようになりました。マーケティング理論の枠組み17選マーケティング理論を枠組みするさまざまな基礎理論も時代の変遷を経て変化し、高度経済成長期に最新であった生産技術志向、販売志向のマーケティング理論仮説はその役割を終え、「モノあまり」の現代では、顧客志向のマーケティング理論のフレームワークが求められています。このような時代的背景を踏まえ、今どのようなマーケティング理論が提唱されているか?マーケティング理論の一覧からおさえておくべき理論を紹介します。マーケティング理論の枠組み1:STP分析STP分析は、マーケティング理論のフレームワークの一つで、STPは「セグメンテーション」「ターゲティング」「ポジショニング」の英語頭文字を意味します。STP分析は、ターゲットとなる対象(市場・顧客など)を属性の異なる集団にセグメント化し、そのセグメントのどこに施策を集中していくか決定し、自己の有利なポジショニング(小売価格、サービス内容など)で競合他社との差別化を図るマーケティング手法をいいます。マーケティング理論の枠組み2:3C分析3C分析のCは、「市場・顧客」「競合」「自社」の英語頭文字を意味し、外部環境(市場・競合)の分析から「KFS(成功のキーファクター)」を抽出し、マーケティング戦略に生かすフレームワークをいいます。「市場・顧客」で市場規模・成長性などから顧客の潜在層を把握し、「競合」で製品・価格・流通・プロモーションの「4p」の視点から観察・分析して、自社が成功する「KFS」を見出し、競合との差別化を図ります。マーケティング理論の枠組み3:4C分析4C分析では、3C分析のCに「流通チャネル」のCを加えて市場環境分析を行い経営課題を抽出するマーケティング手法で、そのマーケティングリサーチでは、マトリックスの2軸(外部環境、内部環境)の調査分析を行います。外部環境分析は、マクロ(自然、社会、文化、政治、経済など)とミクロ(市場環境、競合他社・商品など)に対し、内部環境分析は、経営組織、人材、財務力、製造力、販売力などに対し調査分析が行われます。マーケティング理論の枠組み4:5つの経営資源5つの経営資源は、取得に多額の費用と時間を要する企業内部の経営資源(ヒト、モノ、カネ、時間、情報)を活用して、企業間の競争優位を獲得するマーケティング手法をいいます。経営資源には、生産設備、不動産など有形資産、ブランド力や特許など無形資産、顧客対応力など組織能力があり、どのリソースが競争優位にマッチングするかは、リソースごとの経済価値、稀少性、模倣困難性、組織の4つの視点から分析・判断されます。マーケティング理論の枠組み5:イノベータ理論イノベーター理論は、企業が新商品・サービスなどを市場に提供する際に用いるマーケティング理論の枠組みで、消費者を5つに分類し、新商品・サービスなどが分類された消費者ごとにどのように受け入れられ市場に普及していくかを分析するマーケティング手法です。イノベーター理論では、消費者を「革新者」「初期採用者」「前期追随者」「後期追随者」「遅滞者」に5区分し、それぞれの市場占有率や訴求ポイントを調査分析します。マーケティング理論の枠組み6:4P分析4P分析は、経営的視点から企業が市場に新商品・サービスなどを提供する場合に検討を要する4つの要素(製品、価格、流通、販売促進)を分析するマーケティング手法で、「マーケティングの4P」と呼ばれています。これら4Pは、自社が市場に提供する商品やサービスの分析、低価格路線か高級路線かの選択、ターゲットにする地域、店舗販売か通販かなどの検討、メディア媒体の選択などマーケティング戦略の立案に役立ちます。マーケティング理論の枠組み7:PEST分析PEST分析は、マクロの外部環境要因(政治的要因、経済的要因、社会的要因、技術要因)を抽出し、それらの分析軸ごとに分析・予測などして事業の戦略立案に生かすマーケティング手法をいいます。事業の成否は、マクロの外部環境要因に大きく依存しているため、事業におけるチャンスや課題など調査分析する3C分析は、その分析結果と外部環境要因の間に整合性がなければマーケティング戦略としては機能しないといえます。マーケティング理論の枠組み8:SWOT分析SWOT分析は、経営戦略立案に際し、自社の強み・弱み・機会・脅威のマトリックス4軸について調査分析し、その結果をマーケティング戦略に生かす手法をいいます。SWOT分析では「内部環境」「外部環境」に区分けして分析します。外部環境(機会・脅威)は市場規模・成長性、競合他社、景気・経済の動向、政治状況、法的環境など、内部環境(強み・弱み)は価格・品質、インフラ、認知度・ブランド力などが要素となります。マーケティング理論の枠組み9:PDCAPDCAとは、「計画(Plan)」「実行(Do)」「チェック・調整(Check)」「統制(Action)」の英語頭文字の用語で、管理機能の基本サイクルをいいます。製造業の標準原価計算の管理プロセスとして活用する場合、「1.標準価格の設定」「2.生産の実施」「3.標準原価と実際原価との差異分析」「4.原価標準の見直し」というプロセスに置き換えでき、コストコントロールのマーケティング手法として利用できます。マーケティング理論の枠組み10:MECEMECEは、「Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive」の略語で、互いにかさならず全てを網羅することを意味し、問題や課題の構造の分析・洗い出しの際に、重要なものを見落とさず整然と整理するロジカル・シンキングの手法・ツールです。4Pや3Cと言ったフレームワークは、対象の見方をMECEで示したもので、現状分析するときの思考法の基礎として重要視されています。マーケティング理論の枠組み11:ファイブフォース分析ファイブフォース分析は、外部環境を重視した競争戦略分析のフレームワークで、5つの競争要因により構成されています。この5つの競争要因は、「1.新規参入の脅威」「2.競合他社との競争状況」「3.代替品の脅威」「4.買い手の交渉力」「5.サプライヤーの競争力により構成」され、自社の競争戦略を立てる際に、どの要因が最も影響力を持っているかを考えます。そのうえで、ファイブフォース分析は効果的なマーケティング手法となります。マーケティング理論の枠組み12:コア・コンピタンス分析コア・コンピタンス分析では、企業が将来にわたり持続的な高い競争力を持ち続けるため、他社と差別化された独自技術・能力の蓄積などの集合体であるコア・コンピタンスの要素を抽出・明確化します。コア・コンピタンスは、自社の経営資源のなかで、他社が模倣しにくいこと、顧客価値を創出すること、事業展開力があることなどを要件とし、競争優位性のバックボーンとなるため、経営戦略構築に欠かせない要素となっています。マーケティング理論の枠組み13:ロジックツリー分析ロジックツリー分析は、問題や課題の構造の分析・洗い出しの際に、重要なものを見落とさず整然と整理するロジカル・シンキングのマーケティング手法です。ロジックツリーは、検討すべき「問題・課題」をルーツにし、原因や解決策を枝葉として展開します。その結果、樹形図が作成され、問題の原因分解や解決策の体系が示されます。この場合、各項目をMECEで展開し、モレなくダブりのない状態で仕上げる必要があります。マーケティング理論の枠組み14:バリューチェーン分析バリューチェーン分析は、製品が消費者に届く過程の連鎖により価値が付加される「価値連鎖」の各過程について、コストや強み・弱みを分析し明確化するマーケティング手法をいいます。価値を生み出す企業活動を主活動(購買物流、製造、出荷物流、販売・マーケティング、サービス)と支援活動(調達活動、技術開発、人的資源管理、全般管理)に大別し、諸活動の役割・コスト・貢献度など分析し、競争優位の判断基準を明確化します。マーケティング理論の枠組み15:アンゾフの成長マトリクスアンゾフの成長マトリクスは、市場、製品の2軸で構成され、各軸を事業の既存・新規に区分けし、事業・製品・市場のシナジーを分析して中・長期の成長戦略に反映するマーケティング手法をいいます。その戦略概念は「1.市場浸透(既存製品の既存市場でのシェア拡大)「2.市場開発(既存製品の海外市場、異なる顧客層への販売など)」「3.新製品開発(既存市場に新製品を投入)」「4.事業多角化(新製品を新市場に販売)」に大別されます。マーケティング理論の枠組み16:PPM分析PPM分析は、マトリクスを市場成長率とシェアの2軸で構成し、シェアの大小、市場成長率の高低で区分けしたマトリクスに各事業を当てはめ、その効率的な資源配分と事業の組み合わせを図るマーケティング手法をいいます。このマトリクスで各事業は、「花形(現状維持・拡大)「金のなる木(成長率は低いが、収益を回収・収穫できる)」「負け犬(廃止・撤退の対象)」「問題児(急成長でシェアが低い、育成対象)」に大別されます。マーケティング理論の枠組み17:カスタマージャーニー分析カスタマージャーニー分析は、顧客の商品購入やサービスの利用の中で、顧客と企業とのあらゆる接点を抽出してその購買行動などを時系列でセグメント化し、各セグメントでの商品との接点(行動、思考、感情など)をパターン化・可視化するマーケティング手法をいいます。カスタマージャーニー分析は、広報戦略などでトレンドになっているペルソナ設定というマーケティング手法の原形といえます。マーケティング理論活用の3つのコツ1850年、アメリカのC.H.マッコーミックが提唱したといわれる「マーケティング理論」は、「顧客の創造」を企業の命題としています。以来、この基本的命題のもとに数多くのマーケティング理論のフレームワークが提示されていますが、具体的にどのように活用していくべきか、そのコツを考えてみましょう。マーケティング理論活用のコツ1:顧客や市場を分析して自社を知るマーケティング理論活用のコツの一つは、顧客や市場を分析して自社を知ることです。4C分析などの分析フレームワークなど活用することにより、市場環境や競合他社など分析でき、自社の経営組織、財務力、製造力、販売力など自社の内部環境を知ることができます。マーケティング理論活用のコツ2:ターゲットを絞るマーケティング理論活用のコツの二つ目は、顧客獲得などについてターゲットを絞ることです。STP分析の活用により、ターゲットとなる対((市場・顧客など)を属性の異なる集団にセグメント化し、そのセグメントのどこに施策を集中していくかを決定することができ、自己の有利なポジショニング(価格、サービス内容など)で競合他社との差別化を行います。マーケティング理論活用のコツ3:自社の価値を創出するマーケティング理論活用のコツの三つ目は、自社の価値を創出することです。SWOT分析により、自社の強み・弱み・機会・脅威のマトリックス4軸について調査分析し、その結果をマーケティング戦略に生かして価格・品質・認知度・ブランド力など自社の価値を創出して顧客満足度を高めます。理論を知って必要なフレームワークの有効利用を!1850年代に提唱された「マーケティング理論」では、その後、市場調査、製品計画、販路対策、販売促進、販売管理など各分野にわたる数多くのマーケティング理論のフレームワークが提示されています。それぞれのフレームワークの特徴・特性を理解して、マーケティング戦略に有効に利用していきましょう。弊社Start-Xは総合的なマーケティング支援を得意としております。他のマーケティング支援会社と比較すると、コストパフォーマンス高く支援可能なメニューが多くございますので、何かお困りごとがございましたらお気軽にお問合せください。ご相談はいつでもオンラインで無料でご対応可能です。