自社のファンを増やすために重要だと言われるオウンドメディアです。ただその特性を知らないと思う効果が出せない期間もあります。この記事では代表的な企業の事例を取り上げ、運用のコツをお伝えします。オウンドメディアを始めたい方は参考にして見てください。オウンドメディアとは近年耳にすることが増えた「オウンドメディア」ですが、これは自社で保有するメディア全般のことを指します。このため自社サイトはもちろん、パンフレットやカタログまで含まれます。ただし、オンライン上でトリプルメディアを活用したマーケティングにおいては「オウンドメディア」といえばホームページ・ECサイト・ブログなどを指すことが多いようです。今回は、オウンドメディアの目的から事例、メリットまでをお伝えします。オウンドメディアを活用したマーケティングについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。▶︎参考記事:オウンドメディアマーケティングとは?その目的や特徴と注意点を徹底解説オウンドメディアの目的オウンドメディアの目的は大きく2つです。1つ目は製品やサービスを認知させ、初回接触を狙うことです。もちろん広告での認知向上も重要ですが、自然検索から流入してくる潜在顧客も逃さずキャッチしていくのがオウンドメディアの役割です。2つ目は製品やサービス、また企業を好きになってもらうことです。一度接した潜在顧客の興味度を段階的に上げることで見込み顧客に変え、その後の優良顧客へとつなげていくのが重要です。オウンドメディア以外のメディアとは?オウンドメディア以外にも、「トリプルメディア」と呼ばれる三大広報メディアには「ペイドメディア」と「アーンドメディア」というメディアがあります。それぞれ目的と役割が異なりますので、しっかり理解した上で3つを連携させ、運用改善のサイクルを回せるよう設計しましょう。ペイドメディアペイドメディアは、電車広告やテレビCMなどの有料広告のことです。他にもリスティング広告が表示される検索エンジンや、ニュースサイト、またディスプレイ広告枠があるポータルサイトもペイドメディアに当たります。広告を使えば瞬間的な認知の醸成ができ、その点は魅力的ですが、やはり露出の分だけ費用がかかります。継続的に効果を出すにはオウンドメディアとの連携など、使いどころや出し方に工夫が必要です。ペイドメディアについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。▶︎参考記事:ペイドメディアを使うときのポイント5つ|ペイドメディアの役割とは?アーンドメディアアーンドメディアとは、いわゆる口コミサイトなど「第三者の声」が見えるメディアのことです。情報過多と言われる現代のネットワーク社会では、比較検討の際により第三者の意見が重視される傾向があります。企業側からしても、世間のトレンドや自社の評判を知り、さらに消費者の反応をダイレクトに得られるアーンドメディアは、マーケティング活動においては欠かせない存在となっています。オウンドメディアの事例16選ここからはオウンドメディア事例をご紹介していきます。日本の有名企業から海外の企業まで、様々な業種から成功事例16選をピックアップしました。それぞれ、SEO・ブランディング・自社採用に活用する目的で構築されており、非常に参考になります。オウンドメディアの事例1:SoftBank1つ目の事例はSoftBank SELECTION WEB MAGAZINE for Mobile Accessoriesです。スマートフォンやアクセサリに関する記事はもちろん、ステイホームが楽しくなるグッズや「○○の日」にちなんだ記事まで様々な情報が展開されています。グローバルメニューからカテゴリ選択ができたり、関連記事一覧が充実していたりと、欲しい情報にアクセスがしやすくなっているのが特徴です。オウンドメディアの事例2:資生堂2つ目の事例、資生堂のwatashi+は美容に特化したオウンドメディアです。中でも「肌荒れ」「ニキビ」といったよく検索されるキーワードを記事に使い、自然検索からでも見つけられやすくしています。そして、それまで資生堂の商品を使ったことがないユーザーも自社ECサイトに遷移させることで、新たな潜在顧客の獲得を狙っています。このオウンドメディアのおかげで、資生堂のサイトは月間PV数が約500万あります。オウンドメディアの事例3:GrabTaxi Holdings Pte LtdGrabはシンガポールのライドシェア企業です。4つ目の事例メディアは、東南アジアを中心とした8言語に対応しているのが特徴です。広告だけに頼らずオウンドメディアを活用し、記事の量や頻度を自社でコントロールしています。また、各国の特色に合わせたコンテンツの配信も行う徹底ぶりです。さらに、ライドシェアサービスではドライバー・利用者双方に向けたコンテンツをそれぞれ打ち出すことで、適切な情報を届けています。オウンドメディアの事例4:ソウルドアウトソウルドアウトは中小・ベンチャー企業の支援事業をしています。LISKULというオウンドメディアでは、Webマーケティングのノウハウを公開することで「リスティング広告」などのキーワードを獲得しSEO評価を上げています。現在LISKULの月間PV数は約50万、問合せ件数も当初の3件から200件にまで増えたそうです。ユーザーにとって有益な情報を自ら発信することは、コンバージョンにもつながるのです。オウンドメディアの事例5:Costco Wholesale Corporation日本でも人気の高い会員制スーパーのコストコですが、そのカタログサイト「COSTCO Connection」は会員以外でも閲覧できます。さらに英語版サイトではオンラインショッピングにも対応しており、商品写真をクリックするとECページに遷移する工夫もあります。COSTCO Connectionの事例は商品紹介に加え、世間の話題を取り上げてアンケートをとるコーナーにより双方向メディアとしても活躍しています。Costco Connectionhttp://www.costcoconnection.com/connection/オウンドメディアの事例6:株式会社TypeBeeGroupこちらの事例のキャッシュバック賃貸が運用するメディア「SINGLE HACK」では住まいに関わる「騒音トラブル」や「一人暮らし」、「ペット」と言ったキーワードで記事コンテンツの配信をしています。オウンドメディアには多くの情報がありますが、TOPページで注目記事とその他の記事を3種類の画像サイズで表示したり、見出しやテキスト・カテゴリーも明記したりすることで記事内容が一目で分かる工夫がなされています。SINGLE HACKhttps://cbchintai.com/singlehack/オウンドメディアの事例7:ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社「somu-lier[ソムリエ]」は、総務人事に関する情報提供メディアです。各記事ではSNSでシェアできるようにシェアボタンを見やすく複数設置し、ネットユーザー間で共有される仕組みをつくっています。こちらもグローバルメニューがあるため情報にアクセスしやすく、記事内にある関連資料のダウンロードページやメルマガ登録ページのリンクも設置されており、コンバージョンの導線がしっかりと敷かれている事例です。オウンドメディアの事例8:LINELINEが運営するオウンドメディア「LINE HR BLOG」は採用メディアの事例です。自社のダイバーシティや年齢層を含んだ職場の雰囲気が伝わるよう制作されているのが特徴で、採用後のミスマッチ軽減にも寄与しています。自社の職場環境の魅力を伝えるほか、「LINEでの外国籍社員のサポート体制を紹介します」というテーマなどには英語版の記事もあり、従来の求人媒体では届きにくい海外人材をも確実に狙っています。オウンドメディアの事例9:Native Instrumentsドイツはベルリンの音楽ソフトウェアメーカー、NATIVE INSTRUMENTSはオウンドメディアで自社製品の使い方をたくさん紹介しています。また、自社製品の愛用者であるアーティストにインタビューをする記事では、実際の作曲シーンを動画でも紹介しています。これまでソフトの使い方は説明書を読まないとわかりませんでしたが、オウンドメディアで動画を積極的に使うことで、楽しみながら学べる画期的な事例です。オウンドメディアの事例10:クラシコムジャーナル「北欧、暮らしの道具店」はECサイトで、かつオウンドメディアでもある事例です。特徴としては商品ページで使用例を紹介し、また説明で「リネン/ブランケット」「北欧デザイン」などの検索流入につながるキーワードを多く使っています。さらにオリジナルドラマも制作し配信しているため、動画検索にも引っかかりやすくなっています。商品の動画が見たいユーザーは、既に商品に興味がある客にリーチする仕組みができています。オウンドメディアの事例11:mercarimercariのオウンドメディア「mercan(メルカン)」は、転職希望者に自社の魅力を伝え、採用のミスマッチを減らすため運営されています。技術部門で活躍するエンジニアやプログラマーの転職経緯から現在手がけるプロジェクトまでを語ってもらうことで、リアルなイメージが伝えられる作りとなっています。mercanの月間PV数は約3万あり、社内の情報を発信する人事ブログの中では飛び抜けた数字を誇っています。オウンドメディアの事例12:BAKEお菓子メーカーのBAKEが展開する「THE BAKE MAGAZINE」では、単なる商品紹介だけでなく、BAKEのビジネスモデルなども配信することでBAKEという会社自体に興味をもってもらえるような工夫がなされています。なんと顧客には競合の商品も紹介し、さらに他社のマーケティング担当には自社SEOの取り組みやアクセス状況も堂々と公開していくスタイルで、BAKEのファンを着実に増やしています。オウンドメディアの事例13:株式会社マネーフォワードマネーフォワードが運営する「MONEY PLUS – くらしの経済メディア」は、記事カテゴリをグローバルメニュー化し、またサイト自体も見やすいレイアウトを採用することでユーザー視点のデザインになっています。「個人向け経済メディア」という一見とっつきにくいテーマであっても、サイトのTOPでアピールしたい記事とその他の記事をしっかり区分けすることで、欲しい情報にスムーズにたどり着ける事例の一つです。オウンドメディアの事例14:レッドブル・ジャパン株式会社自社ブランディングの観点でオウンドメディアを活用している代表格がRed Bullです。企業として出資しているモータースポーツや音楽などのエンターテインメントに関する情報を発信しています。このメディアの特徴は、なんと記事中でエナジードリンクについて全く表記していないことです。あくまで自社の認知醸成・ブランディングに特化することで、ターゲット層へ確実に「Red Bull」の名前を浸透させているのです。オウンドメディアの事例15:eアイデムアイデムとバーグハンバーグバーグの2社が共同運営する「ジモコロ」は面白い記事を配信し、他社との差別化に成功しているメディアの一つです。地元の求人に強いアイデムとコンテンツ制作が得意なバーグハンバーグバーグがタイアップすることで、どこの地元でもありそうな魅力ある情報を多数掲載しています。記事一つひとつにしっかりとボリュームがあり、イラストや画像も多く使われているので、読みごたえがあるのも特徴です。オウンドメディアの事例16:共同印刷株式会社仕組みもきれいに整理され、ターゲット層と目的が明記されている「Hint Clip」は共同印刷が運営するオウンドメディアです。サイトのヘッダーに「販促担当者のためのHint(ヒント)をClipする」と表示されているので見る人を迷わせません。プロモーションやマーケティングを中心にコンテンツが展開されていますが、サイトのトーン・マナーが統一されておりとても見やすいデザインになっています。オウンドメディアを成功するためのポイントこれまでの事例で見てきたように、オウンドメディアを運用すると多くのメリットを享受できます。ただし、その運用方法を間違うとなかなか効果につながらないこともあるので注意が必要です。自社でオウンドメディアを運用する上で理解しておきたいポイントは2つです。以下で順にご紹介していきます。社内理解を求める努力をするオウンドメディアはその特性上、成果を出すには一定の時間がかかります。このことに対し、社内全体の共通認識が必要です。オウンドメディアの担当部署や担当者が理解しておくことは当然ながら、「すぐに結果が見えないので打ち切り」などとという事態が起こらないよう事前のすり合わせから綿密に行いましょう。またメディア担当者は、社内のメンバーから挙がる質問に対し、常に的確に答えられるようにしておくことが大切です。すぐに成果が出ないことを理解する上記で述べたように、オウンドメディアはすぐ効果が出るメディアではありません。記事をアップしてすぐにPV数が稼げるものではないのです。仮に1本がバズったとしても、ユーザーが必ずしもファンになってくれるとは限りません。オウンドメディアは中長期的な集客に有効性を発揮します。このためサイトのSEOも必要不可欠です。すぐに諦めず、コツコツ努力を重ね、メディアを育てていく覚悟で臨みましょう。オウンドメディアを利用してファンを獲得しよう自社オウンドメディアは、中長期的に運用すれば見込み顧客の獲得や自社ブランディング、採用の強化まで様々な効果が見込めます。また、メディアのファンが増えると自社の商品サービスを知ってもらえる機会も増えます。まずはオウンドメディアの特徴を全社的に理解し、成果目標に対しコツコツ取り組める体制づくりをしてください。そして、ユーザー目線のコンテンツとデザイン・導線づくりをすることでファン獲得につなげましょう。本記事では、オウンドメディアの事例とポイントについて解説しました。オウンドメディアは、「コンテンツを制作すること」「なんとなく長く運用すること」が目的になりがちですが、現状の課題から運用目的を定め、成果指標に沿って運用していく必要があります。弊社では、コンテンツマーケティングの企画や戦略設計・実際の運用のご支援も行っています。無料のオンライン相談を実施していますので、コンテンツマーケティングに課題を抱えている企業様がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。